日進月歩の医学の進歩を逃さず,かつ日常臨床に役立つ洗練した情報を提供する内科医必読の座右の書 |
45巻11号(2008年11月号) 今月の主題 浮腫をどう診るか (目次詳細・ご注文はこちら!) 鍋島邦浩(藤田保健衛生大学) 浮腫は,一般診療においてしばしば遭遇する,ありふれた症候の一つですが,その原因は多岐にわたります.浮腫はそれ自体が治療対象ではなく,その原疾患が治療対象となります.緊急性があるものとしては,特に肺水腫を伴うような重症心不全が代表的ですが,ほかに気道閉塞をきたす可能性のあるアナフィラキシーや血管浮腫,肺血栓塞栓症を合併しうる深部静脈血栓症,気道熱傷,壊死性筋膜炎,また,きわめて稀ですが,致命的な血液濃縮を伴いうるsystemic capillary leak syndromeなどが挙げられ,これらの病態は迅速な診断と処置を要する病態といえます.しかし多くの場合,浮腫自体に緊急性はなく,したがって,まず原因を鑑別することが重要です. |
内科認定医・専門医試験対策に!! |
●今月の主題 |
「理解のための28題」 (力だめしにいかがでしょう.解答は本誌掲載.解説が大幅に充実) |
●今月の主題 座談会 |
心不全と腎不全を合併する浮腫をどう診るか――その大多数の背景に潜む糖尿病 |
本特集のテーマである浮腫をきたす疾患は,多岐にわたる.なかでも,心不全と腎不全は,ともに全身性浮腫をきたす代表的な疾患であるとともに,互いの増悪因子となる.そこで,本座談会では心不全と腎不全をクローズアップして取り上げるとともに,その背景に多く潜む糖尿病が心疾患に与える影響や糖尿病性腎症の特徴などについて,それぞれのエキスパートにご議論いただいた. 浮腫をきっかけとして,その複合的な病態や原因へどうアプローチするか,多角的に診る重要性が浮かび上がる. |
連載 |
●研修おたく海を渡る |
アメリカでの研修も3年が過ぎ,今回,光栄にも散文を連載させてだくことになりました.内科研修3年間の振り返りと,はじまったばかりの腫瘍内科研修での日常を織り交ぜながら,小話に使ってもらえるような話題を提供できればと考えています.毎回おちがつくといいのですが.どうかよろしくお願いします. |
白井敬祐(サウスカロライナ医科大学) |
●聖路加Common Diseaseカンファレンス |
聖路加Common Diseaseカンファレンスとは,聖路加国際病院内科で2006年11月から始まった新カンファレンスである. 稀な疾患や複雑な疾患の検討ではなく,比較的ありふれた疾患(common disease)を複数例で検討しようというカンファレンスである.ありふれた疾患に迅速に的確なアプローチができる“反射神経”を養うことを意図している.11の専門分野(循環器,消化器,呼吸器,内分泌,神経,腎臓,感染症,膠原病,血液,一般,心療)の専門医が毎月の持ち回りで,指導医が研修医と質疑応答を繰り返す.それを誌上で再現したのが,今回の連載である. |
森信好・古川恵一(聖路加国際病院) |
●見て聴いて考える 道具いらずの神経診療 |
「神経内科の診察、特に神経所見の取り方は難しく、時間もかかる」と、研修医や他科の先生方は考えている.実際、神経内科専門医でも神経所見の取り方は難しいが、全例で詳細に所見を取るわけではない. そこで本連載では、日常診療でできる神経診療について概説したい.患者さんの訴えや動作に現れるサインを見逃さないよう、専門医には当たり前だが非専門医は意外と知らないこと、わずかな質問で診断がつくコツなど、実例を挙げ紹介したい. |
岩崎 靖(小山田記念温泉病院) |
●患者が当院(ウチ)を選ぶ理由 内科診察室の患者-医師関係 |
最前線にいる内科臨床医にとっては、医科学的な問題の解決法ばかりではなく、むしろ個別の患者への具体的なアプローチの方法こそが知りたい、という場合も少なくない.患者は千差万別であり、患者-医師関係も千差万別である.毎月の2000人もの患者数が受診する人気開業医は、診察室の中でどう患者に向き合っているのか、その診療スタイルと技術をわかりやすく紹介する. |
灰本 元(灰本クリニック) |
●市中感染症診療の思考プロセス IDATEN感染症セミナーより |
日本感染症教育研究会(通称IDATEN)による本格的な情報発信の第一弾.臨床感染症に関する良質の邦文教材が乏しい現状を踏まえ、感染症診療のエキスパートたちが、標準的な市中感染症診療の考え方・進め方をわかりやすく解説する. |
矢野晴美(自治医科大学) |
●目でみるトレーニング |
1994年から続いている雑誌「medicina」の名物連載.写真・画像を中心とした「症例提示」と症例に関する「問題」、「解答と解説」からなり、クイズを通して症例疾患への理解を深める. |