HOME雑 誌medicina誌面サンプル 47巻3号(2010年3月号) > 連載●手を見て気づく内科疾患
●手を見て気づく内科疾患

第15回テーマ

ブシャール結節,ヘバーデン結節,生活を支えてきた証

松村正巳(金沢大学医学教育研究センター リウマチ・膠原病内科)


図1 近位指節間関節にブシャール結節(Bouchard’s nodes)を認める
図2 遠位指節間関節にヘバーデン結節(Heberden’s nodes)を認める
患者:63歳,女性
病歴:指の関節は15年くらい前から痛かった.指輪が入らないので困っている.
身体所見:近位指節間関節(proximal interphalangeal joint)が硬く腫れている(図1)

検査所見:血算;WBC 1,400/μl(リンパ球27%),抗核抗体1,280倍(speckled pattern),抗Sm抗体陽性,抗SS-A抗体陽性

診断:ブシャール結節(Bouchard’s nodes)を呈する変形性関節症

 変形性関節症は40歳以上の方,特に60歳以降に高頻度に認められる関節症です.慢性多発関節炎の鑑別診断の1つです1).遠位指節間関節(distal interphalangeal joint)のものをヘバーデン結節(Heberden’s nodes)といいます(図2).女性に罹患頻度が高く,遺伝的要素もあります.手のこわばりを呈することもありますが,30分以上は持続しません.また,罹患関節を使いすぎると痛みが悪化します2).女性でよく手を使ってこられた方に高頻度に認めます.生活を支えてきた手の歴史を感じます.


(画像は本誌をご覧ください)

文献
1)上野征夫:関節痛と関節炎─単関節炎,多関節炎からの鑑別,リウマチ病診療ビジュアルテキスト第2版,pp 6-10, 医学書院,2008
2)Felson DT:Osteoarthritis, Fauci AS, et al(eds):Harrison’s Principles of Internal Medicine, 17th ed, pp 2158-2165, McGraw Hill, New York, 2008