HOME雑 誌medicina誌面サンプル 46巻11号(2009年11月号) > 連載●手を見て気づく内科疾患
●手を見て気づく内科疾患

第11回テーマ

さじ状爪,診断のヒント

松村正巳(金沢大学医学部付属病院 リウマチ・膠原病内科)


図1 第1指にさじ状爪を認める
図2 第1指にさじ状爪を認める
図3 右第2指にさじ状爪を認める
患者:39歳,女性
病歴:18歳時に発熱,関節炎,蛋白尿,白血球減少,抗核抗体陽性を認め,全身性エリテマトーデスと診断された.現在,プレドニゾロン内服加療中である.
身体所見:両第1指にさじ状爪を認める(図1).

診断:全身性エリテマトーデスに認めるさじ状爪

 図2は82歳,女性,6年前からRaynaud現象のある患者の第1指のさじ状爪です.診断は混合性結合組織病(mixed connective tissue disease)です.
  図3は69歳,女性,以前から貧血を指摘されていた患者の右第2指のさじ状爪です.血色素 10 g/dl,MCV(平均赤血球容積)75にて精査したところ,胃に腫瘍が見つかりました.

 さじ状爪(koilonychia)は,鉄欠乏性貧血,ヘモクロマトーシス,Raynaud病,全身性エリテマトーデス,混合性結合組織病,nail-patella syndromeで認めます1).鉄欠乏でも鉄過剰でもさじ状爪を認めることは興味深い現象です.
  手の観察がさまざまな疾患の診断のヒントになることは稀ではありません.よく観察することをお勧めします.


(画像は本誌をご覧ください)

文献
1)Fawcett RS, et al:Nail abnormalities;Clues to systemic disease. Am Fam Physician 69:1417-1424, 2004