HOME > 雑 誌 > medicina > バックナンバー一覧 > 57巻12号(2020年11月号) 特集の理解を深めるための17題
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特集の理解を深めるための17題


問題1

関節リウマチ診療について,正しいものはどれか.

A
寛解達成は困難である.
B
関節破壊は晩期に起きる.
C
炎症性サイトカインを直接阻害する治療がある.
D
現在使用可能な生物学的製剤は1種類である.
E
有効性の高い薬剤はすべて注射製剤である.

問題2

現代の関節リウマチの臨床試験で,骨関節破壊の評価に用いられるのはどれか.

A
Simplified Disease Activity Index(SDAI)
B
Health Assessment Questionnaire-Disability Index(HAQ-DI)
C
van der Heijde-modified Sharp score
D
SteinbrockerのStage分類
E
LarsenのGrade分類

問題3

以下のうち,正しくないものはどれか.

A
本邦における国民医療費は年々増加傾向にある.
B
最近の傷病分類別医科診療医療費構成割合では,関節リウマチが含まれる「筋骨格系及び結合組織の疾患」は,「循環器系の疾患」,「新生物<腫瘍>」に次ぐ第3位を占めている.
C
医療費は直接費用と間接費用から成る.
D
関節リウマチは指定難病として医療費助成の対象疾患であり,高価な生物学的製剤であっても,患者負担は大きくならない.
E
関節リウマチ患者では,生物学的製剤使用により労働生産性の改善が得られるとする報告が散見される.

問題4

全身性エリテマトーデス(SLE)の治療経過において,現在使用可能な生物学的製剤はどれか.

A
インフリキシマブ
B
アバタセプト
C
ベリムマブ
D
トシリズマブ
E
リツキシマブ

問題5

ループス腎炎に特徴的な組織所見として,誤っているものはどれか.

A
メサンギウム沈着物
B
血管や尿細管基底膜への沈着物
C
フルハウス染色
D
糸球体内皮細胞のtubuloreticular inclusion
E
C1q≧2+の陽性所見

問題6

全身性エリテマトーデス(SLE)のダメージについて,正しいものを選べ.

A
SLEDAIを用いてダメージを評価する.
B
予後が不良になるのはSDI≧5点である.
C
SLE発症5年以内に10%の患者にSDIの上昇がある.
D
SDIは疾患活動性によるもの,そうでないものの合算スコアである.
E
ループス腎炎は活動性に伴うダメージが多い.

問題7

強皮症に関する記載のうち,誤っているものはどれか.

A
新しい分類基準は1980年の分類予備基準と比較し,感度・特異度とも大きく上昇した.
B
肺動脈性肺高血圧症は1980年の分類予備基準には含まれていなかった.
C
特異自己抗体の抗体価は疾患活動性の指標となる.
D
手指より近位に及ぶ皮膚硬化があれば,新しい分類基準でも強皮症と分類される.
E
抗セントロメア抗体,抗トポイソメラーゼ抗体,抗RNAポリメラーゼⅢ抗体の測定は強皮症の分類の一助となる.

問題8

強皮症における自然経過やスキンスコア(mRSS)について,正しいものはどれか.

A
疾患修飾療法はびまん皮膚硬化型強皮症のどの時期でも対象となる.
B
びまん皮膚硬化型強皮症の皮膚硬化は進行性で,無治療では改善しない.
C
限局皮膚硬化型強皮症は皮膚硬化の進行が軽く,臓器病変は出現しない.
D
mRSSは17カ所で評価し,各部位は0~10点までのスコアをつける.
E
腎,心病変が発症するのは,びまん皮膚硬化型強皮症での皮膚硬化進行時である.

問題9

強皮症と比して,原発性Raynaud症候群でもみられる毛細血管異常は何か.

A
毛細血管の拡張
B
巨大毛細血管
C
毛細血管周囲の出血
D
毛細血管の減少
E
毛細血管の蛇行

問題10

次のうち,間質性肺炎を合併する筋炎特異的自己抗体を2つ選べ.

A
抗ARS抗体
B
抗トポイソメラーゼI抗体
C
抗TIF1抗体
D
抗MDA5抗体
E
抗Mi-2抗体

問題11

筋炎に併発する間質性肺疾患の予後不良と,最も関連のある筋炎特異自己抗体はどれか.

A
抗ARS抗体
B
抗CCP抗体
C
抗MDA5抗体
D
抗Mi-2抗体
E
抗TIF1-γ抗体

問題12

『ANCA関連血管炎診療ガイドライン2017』において,ANCA関連血管炎の寛解導入治療としては推奨されていない薬剤はどれか.

A
リツキシマブ
B
アザチオプリン
C
メトトレキサート
D
シクロホスファミド
E
グルココルチコイド

問題13

21歳女性.繰り返す発熱を主訴に来院した.幼少時より,年に数回程度の発熱を自覚していたが,数日で自然に解熱していた.受診3カ月前より月に1~2回の頻度で38℃台の発熱を繰り返している.発熱時には吸気時の胸痛と,激しい腹痛とを伴う.発熱と随伴症状は3日以内に消失する.受診時に自覚症状はなく,最後の発熱は1週間前である.特記すべき既往歴・家族歴はない.
身体所見:体温36.9℃.眼瞼結膜と眼球結膜に異常はない.頸部リンパ節は触知しない.口腔粘膜に異常はない.心音と呼吸音に異常はない.腹部は平坦・軟で,肝と脾を触知しない.下腿に浮腫はない.神経学的所見に異常はない.関節腫脹はない.
検査所見:血液所見:RBC 384万/μL,Hb 10.5 g/dL,WBC 10,800/μL,Plt 20.1万/μL.免疫血清学所見:抗核抗体40倍(基準:20倍以下),CRP 2.2 mg/dL.
最も可能性が高い疾患はどれか.

A
詐熱
B
リウマチ熱
C
家族性地中海熱
D
Sjögren症候群
E
全身性エリテマトーデス

問題14

肺高血圧症を合併した強皮症患者の病態を把握するうえで,有用でない検査はどれか.

A
胸部CT
B
呼吸機能検査
C
肺拡散能
D
自己抗体
E
FDG-PET

問題15

生体内で抗体産生を促進する活性のあるT細胞サブセットを2つ選べ.

A
Th1細胞
B
制御性T細胞
C
濾胞性ヘルパーT細胞(Tfh細胞)
D
末梢性ヘルパーT細胞(TPH細胞)
E
CD8陽性T細胞

問題16

ヒト体内の分子特徴を網羅的・多層的に見る解析法として注目されているのはどれか.

A
マイクロサテライト解析
B
メタゲノム解析
C
ゲノムワイド関連解析
D
マルチオミックス解析
E
パラメトリック連鎖解析

問題17

ゲノムワイド関連解析(GWAS)によって期待される結果をすべて選べ.

A
疾患に関連する細胞・臓器の同定
B
疾患に関連する生物学的パスウェイの同定
C
創薬ターゲットの同定
D
疾患の遺伝的リスクの推定
E
疾患サブタイプごとの病態の解明

(解答は本誌掲載)