HOME > 雑 誌 > medicina > バックナンバー一覧 > 56巻11号(2019年10月号) 特集の理解を深めるための27題
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特集の理解を深めるための27題


問題1

次の組み合わせで正しいものはどれか?
1:サイトメガロウイルス感染症,EBウイルス感染症では,発熱がそれぞれ3週間,2週間程度持続する.
2:サイトメガロウイルス感染症の方がEBウイルス感染症と比べて扁桃炎,頸部リンパ節腫大が軽度である.
3:海外旅行後の発熱のトップ3(世界全地域)は,マラリア,デング熱,ジカ熱である.
4:梅毒Ⅱ期では,発熱と全身のバラ疹をきたすことがある.

A
1,2
B
2,3
C
2,4
D
1,2,4
E
1~4のすべて

問題2

不明熱において感染性心内膜炎を疑うべき所見はどれか.

A
リウマチ因子陽性
B
蛋白尿
C
脳梗塞
D
眼球結膜出血
E
A~Dすべて

問題3

粟粒結核を疑い,診断を確定するのに有用でない検査はどれか.1つ選べ.

A
喀痰結核菌PCR
B
早朝胃液抗酸菌塗抹培養
C
尿結核菌PCR
D
骨髄穿刺抗酸菌塗抹培養
E
便結核菌PCR

問題4

感染症の中でいわゆる「繰り返す発熱」を呈するものは以下のうちどれか.

A
マラリア
B
ブルセラ症
C
結核
D
回帰熱
E
腸チフス

問題5

次の中でTSS(toxic shock syndrome)の診断基準に含まれていないものはどれか.1つ選べ.

A
体温>38.9℃
B
びまん性斑状紅皮症
C
発症後0~1週後の落屑
D
発症時の嘔吐または下痢
E
重度の筋肉痛

問題6

killer sore throat疾患に含まれないものはどれか.1つ選べ.

A
扁桃周囲膿瘍
B
Ludwig's angina
C
Lemierre症候群
D
溶連菌性咽頭炎
E
無顆粒球症

問題7

結節性多発動脈炎で正しいものはどれか.2つ選べ.

A
若年女性に多い疾患である.
B
MPO-ANCA陽性が診断の手掛かりとなる.
C
過半数の患者では炎症に伴う全身症状以外の症状を伴わない.
D
皮膚生検では真皮深層まで検体を採取する必要がある.
E
皮膚生検で病変が検出されなくても本疾患を否定することはできない.

問題8

一般に,下記の症状の中で,多発血管炎性肉芽腫症(GPA)の経過で最初に認めるものはどれか.1つ選べ.

A
鼻閉感
B
浮腫
C
血尿
D
咳嗽
E
胸痛

問題9

リウマチ性多発筋痛症で特徴的な病歴はなにか.正しいものを1つ選べ.

A
緩徐発症の指関節痛
B
急性発症の近位筋痛
C
顎跛行を伴う
D
夕方に症状が悪化する
E
若年発症

問題10

成人Still病にみられる臨床的特徴として誤っているものはどれか.2つ選べ.

A
皮下結節がみられる.
B
肝機能障害をきたす.
C
好中球が増加する.
D
抗核抗体が陽性である.
E
血球貪食症候群をきたしうる.

問題11

腫瘍熱の診断をするうえで,適当でないものはどれか?

A
感染症やアレルギーを除外する.
B
早期がんでも起こりえる.
C
ナプロキサンテストが補助診断になる.
D
血清CRPが高値で診断可能.
E
発熱初期から診断することは困難な場合が多い.

問題12

血管内リンパ腫について正しいのはどれか?1つ選べ.

A
血球減少は常に重度である.
B
骨髄検査で異常を認めないときには否定できる.
C
皮疹がなくてもランダム皮膚生検が有用である.
D
LDHの上昇は見られないことが多い.
E
呼吸器症状や低酸素血症は生じない.

問題13

骨髄異形成症候群でフォロー中の高齢男性が,大量の下血を主訴に来院された.大腸内視鏡検査にて,回腸終末部に多発する潰瘍性病変が発見された.この病態を説明する正しいものを2つ選べ.

A
穿孔する可能性は低く,保存的に経過観察すべきである.
B
大量に出血することは稀である.
C
Trisomy8が陽性のことが多い.
D
白血病細胞が浸潤している可能性があり,免疫染色を追加すべきである.
E
予後は良好である.

問題14

原発不明がんのアプローチにおいて重要なことを以下から3つ選べ.

A
原発巣検索を終えてから治療を行うこと.
B
各科と連携し,生検を急ぐこと.
C
PET-CTなど高度な医療機器を備えた施設でアプローチすること.
D
予後良好サブセットの判断をすること.
E
早期から症状緩和を行うこと.

問題15

心房粘液腫について間違っているものはどれか.2つ選べ.

A
心房粘液腫は,疾患特異的な症状や身体所見を認めないことがある.
B
心房粘液腫は,発熱や炎症反応上昇などをきたして不明熱の原因となることがある.
C
心房粘液腫の診断には,心電図が有用である.
D
心房粘液腫は悪性度の高い腫瘍であり,見つかったとしても根治は困難である.
E
心房粘液腫は良性腫瘍であり,摘出術により根治が期待できる.

問題16

Hodgkin's lymphoma(HL)を含む悪性リンパ腫でみられるPel-Ebstein熱が該当する熱型は以下のうちどれに該当するか.

A
間欠熱
B
弛張熱
C
稽留熱
D
波状熱
E
周期熱

問題17

次のうち,家族性地中海熱と診断される患者の過去の既往や臨床プレゼンテーションとして特徴的ではないものはどれか.

A
虫垂炎の罹患の反復
B
胆石症・胆嚢炎の罹患の反復
C
骨盤内炎症症候群の反復
D
発熱が遷延して紹介される不明熱
E
原因不明の胸膜炎の反復

問題18

家族性地中海熱の治療に関する第一選択薬はどれか.1つ選べ.

A
メソトレキサート
B
インフリキシマブ
C
エタネルセプト
D
カナキヌマブ
E
コルヒチン

問題19

数年間にわたり,発熱を繰り返している25歳男性が来院.診断のために聴取すべき情報はどれか.

A
発熱期間
B
発熱周期
C
随伴症状
D
家族歴
E
体重減少

問題20

数年間にわたり,扁桃炎様の症状を繰り返している25歳男性が来院.診断のために行うべきものはどれか.

A
胸腹部CT
B
血清アミロイドA測定
C
H2ブロッカー内服
D
アセトアミノフェン頓用
E
ステロイド頓用

問題21

コルヒチンの副作用で一番多いのは,圧倒的に下痢であるが,次のうちコルヒチンの副作用とはなりにくいものはどれか.

A
腎機能障害
B
高CK血症
C
トランスアミナーゼ上昇
D
血球減少
E
末梢神経障害

問題22

古典的不明熱について正しいのはどれか.1つ選べ.

A
悪性腫瘍が最多である.
B
感染症による不明熱は増加している.
C
「原因不明の不明熱」の割合は減少している.
D
感染症よりも非感染性炎症性疾患のほうが多い.
E
「原因不明の不明熱」の50%以上は半年以内に死亡する.

問題23

次のうち正しくないものを1つ選べ.

A
続発性副腎不全の症状として,食欲低下,倦怠感,下痢,嘔吐,腹痛,筋痛・関節痛などの症状がみられ,所見としては低血糖,低Na血症,好酸球増多傾向や色素沈着がみられる.
B
副腎不全では低血糖症状や精神症状(うつ状態など)が見られ,精神疾患と間違われることがある.
C
ACTH単独欠損症では,ACTH分泌の基礎分泌が保たれる不全型の例が少なからず存在する.このため,ACTHやコルチゾールの基礎値だけではなく,診断には負荷試験を行う必要がある.
D
不全型のACTH単独欠損症の場合,通常無症状であり,感染や発熱,外傷などのストレス時に初めて症状が顕在化することがある.
E
ACTH単独欠損症は他の視床下部・下垂体系ホルモンに分泌異常を合併する例が少なくない.そのため検査結果の解釈が難しく,コルチゾール補充後に再度負荷試験を行い診断を確定する場合もある.また,他の自己免疫疾患の合併も比較的多く,橋本病などが合併した場合は,原発性甲状腺機能低下症が同時にみられることもある.

問題24

CRPが陰性となりうる発熱疾患の鑑別は次のうちどれか?

A
発症3時間目の敗血症性ショック
B
肝硬変患者の尿路感染症
C
無菌性髄膜炎
D
Basedow病
E
すべて

問題25

次のうち,特発性後天性全身性無汗症(AIGA)の特徴として適切でないものはどれか.1つ選べ.

A
Minor法による発汗試験を行い,発汗低下が認められれば診断可能である.
B
コリン性じんま疹を合併することがある.
C
熱中症で発症することがある.
D
指定難病の申請が可能である.
E
生活に支障をきたすなど,重症例ではステロイドパルス療法を行う.

問題26

若年患者の不明熱について正しいものはどれか.1つ選べ.

A
家族歴がなければ家族性地中海熱は否定できる.
B
炎症性腸疾患ではCrohn病のほうが潰瘍性大腸炎よりも不明熱になりやすい.
C
高安動脈炎では血圧の左右差が初期からみられる.
D
菊池病では再発率が高い.
E
若年性特発性関節炎(JIA)の全身型では稽留熱となるのが特徴である.

問題27

次のうち薬剤過敏性症候群(DIHS)の特徴として当てはまらないものはどれか.1つ選べ.

A
粘膜疹を伴うことはない.
B
肝機能障害をきたすことが多い.
C
発熱を伴うことが多い
D
好酸球上昇を伴うことが多い.
E
原因薬剤として抗てんかん薬の報告が多い.

(解答は本誌掲載)