HOME > 雑 誌 > medicina > バックナンバー一覧 > 54巻11号(2017年10月号) 特集の理解を深めるための25題
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特集の理解を深めるための25題


問題1

急性冠症候群の発症時に非典型的な症状を呈する要因でないものはどれか.1つ選べ.

A
高齢
B
糖尿病の合併
C
喫煙者
D
女性
E
冠動脈バイパス手術の既往

問題2

非循環器内科医によるACSの初期診療において有用性が強く認められているものはどれか.

A
アスピリン
B
全患者への酸素投与
C
ヘパリン
D
クロピドグレル
E
リドカイン

問題3

下記で正しいのはどれか.2つ選べ.

A
急性冠症候群において心電図でST上昇を認めなければ不安定狭心症と診断される.
B
健常人のSTレベルが最も高いのはV5,6誘導である.
C
急性前壁梗塞で高度なV2~4誘導のST上昇は左前下行枝近位部閉塞を疑う.
D
急性下壁梗塞で右室梗塞合併例には血管拡張薬の投与は避ける.
E
急性下壁梗塞で右室梗塞の診断にV4R誘導のST上昇が有用なのは発症早期である.

問題4

以下のうち,正しいものはどれか.

A
心内膜面が描出できていなくても,壁厚の増加率をエコーで見ることにより,壁運動を評価できる.
B
虚血カスケードで最初に異常が生じるのは,収縮能である.
C
胸痛患者の心エコー図検査で,壁運動異常が認められなければ虚血性心疾患は否定できる.
D
乳頭筋断裂による急性僧帽弁逆流では,心雑音が聴取されないことも多い.
E
右冠動脈心筋梗塞で生じる心室中隔穿孔では,心尖部に欠損孔が認められるため見逃されやすい.

問題5

心筋梗塞の診断について正しいものはどれか.

A
CK,CK-MBが第一選択のバイオマーカーである.
B
トロポニンが高値であれば,すべて心筋梗塞である.
C
高感度トロポニンTとIは同じ検体であれば同じ数値が出る.
D
高感度トロポニンは心不全で上昇することがある.
E
高感度トロポニンはトロポニンCという測定系もある.

問題6

冠動脈造影所見から冠微小血管障害の程度を評価する指標はどれか.

A
Forrester分類
B
blush score
C
TIMI grade
D
brush score
E
Killip分類

問題7

以下の項目で正しいものはどれか.

A
急性冠症候群の患者が救急受診したら直ちに冠動脈CT angiography(CTA)を行う.
B
脈拍が80回/分以下なら問題なくCTAが撮影できる.
C
冠動脈に石灰化があると狭窄度を過小評価する.
D
CTAは冠動脈起始異常や走行異常の診断に有用である.
E
CTAは冠動脈造影と同様の角度で診断できる.

問題8

以下のうち,正しいのはどれか.1つ選べ.

A
STEMIのPCIの適応は4時間以内である.
B
STEMIのPCIでは,必ず血栓吸引を行うほうが予後が良い.
C
STEMIのPCIでは,ステント挿入が必須である.
D
STEMIで補助循環は出血性合併症が多いので,なるべく使用しない.
E
STEMIの入院後の死因は心不全が最も多い.

問題9

UA/NSTEMI患者のなかで最も治療を急ぐべき状態はどれか.1つ選べ.

A
GRACEリスクスコア144点
B
左室駆出率35%
C
至適薬物治療開始後の繰り返す胸痛
D
狭心症に対する1カ月前のステント留置
E
トロポニン異常高値

問題10

64歳男性.2日前から続く胸痛を主訴に来院した.
血圧100/65 mmHg,脈拍90回/分,呼吸数24回/分,SpO2 94%(room air),前胸部で汎収縮期雑音を,肺野では湿性ラ音を聴取し,末梢は冷たく湿っている.
心電図ではII,III,aVFでQ波,および陰性T波を認める.
次に行う検査・治療として不適切なのはどれか.1つ選べ.

A
心エコー検査
B
大動脈内バルーンパンピング(IABP)
C
ノルアドレナリン投与
D
輸液負荷
E
心臓外科へコンサルト

問題11

60代男性.前日より胸痛と呼吸苦を自覚し緊急受診.
発症より24時間は経過していたが,前壁心筋梗塞と診断された.胸部X線ではうっ血を認め,心エコーでは中隔から心尖部を含む広範前壁でsevere hypoでLVEF 30%.冠動脈造影では左前下行枝Seg 6に90%の一枝病変であった.自然再疎通しており,心不全コントロールを優先し薬物療法を開始した.しかし,ICU帰室後に心室細動を繰り返し,その都度電気的除細動処置を必要とした.この後の処置として適切でない対応はどれか.

A
LADの狭窄に対する治療
B
IABP挿入
C
ICD植込み
D
アミオダロン投与
E
カテーテルアブレーション

問題12

ST上昇型急性心筋梗塞に対して,Class Ⅰでprimary PCIが推奨されるのはどれか.1つ選べ.

A
発症12時間以上経過しているが発症24時間以内で,うっ血性心不全を合併した症例に対するprimary PCI
B
発症12時間以内で医療チームと最初に接触してから責任病変をデバイスで再疎通するまでの時間が90分以内でPCIが施行できると考えられる場合のprimary PCI
C
血行動態が安定している患者に対する非梗塞血管へのprimary PCI
D
発症から12~24時間以内で血行動態および電気生理的に安定していて症状が消失している患者へのprimary PCI
E
症状の持続時間が3時間以内であり,PCIを施行するために必要な時間と血栓溶解療法開始までにかかる時間の差が,1時間以上である場合のprimary PCI

問題13

STEMIの再灌流時間について正しいものを2つ選べ.

A
Door to balloon time(DTBT)60分以下では死亡率低減効果は認めない.
B
DTBT短縮はSTEMIの死亡率にほとんど影響しない.
C
ED bypassは見落としのリスクも高く,わが国に導入すべきではない.
D
プレホスピタル心電図によるSTEMIの予後改善効果は証明されている.
E
プレホスピタル領域の情報化により臨床的アウトカムが期待できる.

問題14

自動体外式除細動器(AED)の説明で正しいのはどれか.1つ選べ.

A
心電図解析は3分ごとに行われる.
B
適応となるのは心室細動のみである.
C
講習を受けていなくても使用できる.
D
わが国の公共スペース設置台数は約10万台である.
E
市民によるAED使用の心停止救命率は10%である.

問題15

1年以上前に経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を施行され,金属ステントが留置された労作性狭心症患者.症状はなく外来通院加療中である.この患者においてまず投与を検討すべき抗血栓薬は次のうちどれか.心電図上は,正常洞調律で特記すべきことはない.

A
ワルファリン
B
ジピリダモール
C
アスピリンとワルファリンの併用
D
アスピリン
E
アスピリンとチエノピリジン系抗血小板薬の併用

問題16

家族性高コレステロール血症(FH)について,正しい記載を2つ選べ.

A
わが国におけるFHヘテロ接合体患者の診断率は7割程度である.
B
PCSK9 を原因遺伝子として発症するFHはFH2と呼ばれる.
C
FHホモ接合体患者は200~500人に1人の高頻度で認められる.
D
FH患者では早発性冠動脈疾患を特徴とする.
E
血中LDL-Cが250 mL/dL以上の場合,FHを強く疑う.

問題17

2型糖尿病患者の治療について正しいのはどれか.2つ選べ.

A
ビグアナイド薬は肥満を助長する.
B
運動によるインスリン抵抗性改善効果は3日で低下し1週間で消失する.
C
運動により高血圧の改善は期待できない.
D
インスリン抵抗性があっても,インスリン分泌の低下がない限り,空腹時高血糖は出現しない.
E
心血管イベントを抑制するためには,血糖値のコントロールは厳格な程よい.

問題18

次のうち,誤っているものはどれか.1つ選べ.

A
左室肥大や心不全を合併した高血圧症例に,ACE阻害薬/ARBを第一選択薬とする.
B
冠動脈疾患の降圧目標は,原則140/90 mmHg未満である.
C
糖尿病や慢性腎臓病を有する冠動脈疾患では130/80 mmHg未満を目指す.
D
ACE阻害薬は,左心機能低下の有無にかかわらず心血管イベントを抑制する.
E
心筋梗塞二次予防は,ACE阻害薬よりもARBのほうが優れている.

問題19

心不全β遮断薬治療で正しいものはどれか.1つ選べ.

A
無症状の心不全には,予後改善効果がない.
B
左室駆出率の保たれた心不全(HFpEF)にも,予後改善効果がある.
C
慢性心不全での既投与例では,心不全増悪の際にβ遮断薬を直ちに中止する.
D
β遮断薬は,導入直後から心機能を改善させる.
E
左室逆リモデリングが出現しない症例でも,β遮断薬の臨床効果は期待できる.

問題20

急性心筋梗塞患者における心臓リハビリテーションについて,正しいのはどれか.1つ選べ.

A
発症後1週間はベッド上安静とする.
B
日常生活活動(ADL)の自立を最終目標とする.
C
介護保険適用である.
D
心肺運動負荷試験(CPX)により運動処方を行う.
E
85歳以上の患者は適応外である.

問題21

一般に冠動脈バイパス術で使用されるグラフトとして誤りはどれか.1つ選べ.

A
内胸動脈
B
橈骨動脈
C
右胃大網動脈
D
大伏在静脈
E
胸肩峰動脈

問題22

以下のうち,誤っているのはどれか.2つ選べ.

A
経皮的冠動脈バルーン形成術(POBA)時代の問題点は,主に急性冠閉塞と再狭窄であった.
B
薬剤溶出性金属ステント(DES)は通常の金属ステント(BMS)に比べて,再狭窄を劇的に低下させた.
C
生体吸収性スキャフォールド(BRS)の吸収過程では,周囲組織への炎症反応は生じない.
D
特にポリ乳酸(PLA)で構成されるBRSでは冠動脈CTでのアーチファクトは生じないため観察に優れている.
E
これまでの大規模臨床試験では,DESとBRSで血栓症発症のリスクに差は認められなかった.

問題23

冠動脈の不安定プラークの特徴はどれか.1つ選べ.

A
強い線維化
B
薄い線維性被膜
C
求心性の肥厚
D
全周性の高度石灰化
E
平滑筋細胞の増殖

問題24

わが国の虚血性心疾患の疫学について正しいのはどれか.2つ選べ.

A
わが国の虚血性心疾患の年齢調整死亡率は増加傾向にある.
B
わが国の心疾患の死亡者数は増加傾向にある.
C
高血圧,脂質異常症,糖尿病,喫煙は冠動脈疾患の主要な古典的危険因子である.
D
吹田スコアは10年間の冠動脈疾患の死亡リスクを評価する.
E
わが国の虚血性心疾患の年齢調整死亡率は欧米に比べて高い.

問題25

急性冠症候群を起こしやすい冠動脈病変に特徴的な所見はどれか.2つ選べ.

A
線維性被膜の厚いplaque
B
平滑筋細胞主体のfibrous plaque
C
高度石灰化を伴うplaque
D
マクロファージなどの炎症細胞浸潤を伴うplaque
E
lipid-rich plaque

(解答は本誌掲載)