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今月の主題

「理解のための24題」


問題1

Helicobacter pyloriについて正しい記述はどれか.2つ選べ.

A:グラム陽性のらせん菌である.
B:好気条件でよく生育する.
C:普通寒天培地にもよく生育する.
D:ウレアーゼ活性が強い.
E:単極性に数本の鞭毛を有する.


問題2

H. pyloriが産生する病原因子として適切でないのはどれか.1つ選べ.

A:CagA
B:VacA
C:ウレアーゼ
D:アドヘジン
E:DNA/RNA編集酵素


問題3

H. pyloriの感染診断法について正しいものを1つ選べ.

A:H. pylori抗原は現在の感染を示し,H. pylori抗体は感染の既往を示している.
B:尿素呼気試験では尿素から分解されるアンモニアを検出してH. pyloriの有無を判断している.
C:除菌の成否を診断する方法として,尿素呼気試験と便抗原法が適している.
D:胃生検検体を用いた感染診断法が最も精度が高い.
E:除菌治療後6カ月経過すれば,抗体は陰性化する.


問題4

H. pylori除菌判定について正しいものはどれか.2つ選べ.

A:除菌判定は除菌治療薬中止後4週以降に行う.
B:尿素呼気試験は除菌判定に有用である.
C:ポリクローナル抗体を用いた便中抗原測定法は除菌判定に有用である.
D:血清抗体測定法は除菌の成否を早期に判定する場合に適する.
E:除菌判定時,PPI内服中止は不要である.


問題5

H. pylori二次除菌治療で正しいものはどれか.1つ選べ.

A:一次除菌に用いてもよい.
B:服薬中にアルコールを控える.
C:二次除菌成功率は年々低下している.
D:メトロニダゾール耐性菌には無効である.
E:治療前に薬剤感受性検査が必須である.


問題6

H. pylori三次除菌療法で用いられることが多い抗菌薬はどれか.2つ選べ.

A:アモキシシリン
B:クラリスロマイシン
C:セフェム系
D:アミノグリコシド系
E:ニューキノロン系


問題7

H. pylori感染者のうち除菌が有用でないのは次のどれか.1つ選べ.

A:胃潰瘍瘢痕のある症例.
B:NSAID投与予定の症例.
C:NSAIDによる出血性潰瘍症例.
D:潰瘍瘢痕を有したLDA投与症例.
E:十二指腸潰瘍瘢痕のある症例.


問題8

胃MALTリンパ腫に対するH. pylori除菌治療が無効であることが予測される因子はどれか.1つ選べ.

A:内視鏡上,びまん性に胃炎様の所見が見られる.
B:リンパ腫の深達度は粘膜下組織までである.
C:API2-MALT1染色体転座がある.
D:臨床病期はI期である.
E:H. pylori陽性である.


問題9

H. pyloriと特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の関連について正しいのはどれか.1つ選べ.

A:日本では,ITP患者の90%以上がH. pyloriy陽性である.
B:急性ITPは,H. pylori感染後に発症する.
C:ステロイド抵抗性の症例では除菌の効果は期待できない.
D:除菌治療を行えば,H. pyloriが陰性化しなくても血小板増加が得られる.
E:除菌の有効性は,国や地域によって異なる傾向がみられる.


問題10

H. pyloriと胃癌の関係について正しいのはどれか.1つ選べ.

A:胃癌の半数はH. pylori感染の胃粘膜から発生する.
B:H. pylori除菌によって早期胃癌の根治治療となる.
C:早期胃癌に対する内視鏡治療後胃へのH. pylori除菌は保険適用である.
D:H. pylori除菌によって胃癌の発症はほとんどなくなる.
E:H. pylori除菌に成功した後には内視鏡検査は必要がない.


問題11

H. pyloriに対する除菌療法で治療,あるいは予防できない疾患はどれか.1つ選べ.

A:胃過形成性ポリープ
B:胃潰瘍
C:胃癌
D:胃底腺ポリープ
E:十二指腸潰瘍


問題12

H. pylori菌感染がほとんどみられない疾患はどれか.1つ選べ.

A:胃過形成性ポリープ
B:胃底腺ポリープ
C:胃癌
D:胃MALTリンパ腫
E:特発性血小板減少性紫斑病(ITP)


問題13

Helicobacter pyloriについて正しいのはどれか.2つ選べ.

A:ウイルスである
B:若年者での感染率が高率である
C:機能性ディスペプシアの成因となり得る
D:強いウレアーゼ活性を有する
E:消化性潰瘍の除菌は保険適用外である


問題14

逆流性食道炎(GERD)とH. pyloriの関係について,正しいものを1つ選べ.

A:H. pylori除菌療法によって逆流性食道炎は増悪する.
B:逆流性食道炎の治療において,第一選択はH. pylori除菌療法である.
C:H. pylori除菌療法による胃酸分泌の変化は除菌前の胃炎の分布および胃粘膜萎縮の程度に影響される.
D:アジアではH. pylori感染が逆流性食道炎に対して攻撃因子と考えられてきた.
E:わが国ではH. pylori感染によって高酸状態になっている場合が多く,除菌によって胃酸分泌が抑制され逆流性食道炎が改善する.


問題15

H. pylori感染と関連性が指摘されていない疾患はどれか.1つ選べ.

A:特発性血小板減少性紫斑病
B:続発性多血症
C:慢性蕁麻疹
D:動脈硬化
E:虚血性心疾患


問題16

高齢者除菌療法で正しいものはどれか.1つ選べ.

A:非高齢者に比べ除菌率が低い
B:重篤な副作用が多い
C:クラリスロマイシン耐性率が高い
D:未分化型胃癌の抑制に有用である
E:併用薬は休止しなくてもよい


問題17

H. pylori除菌にあたり,誤っているものを1つ選べ.

A:アモキシシリンは腎臓からそのまま排泄されるので,腎障害が高度の場合は慎重に投与する.
B:クラリスロマイシンは肝臓で代謝されるので,肝機能が低下している場合は副作用の頻度が高くなる.
C:メトロニダゾールを使用するとワルファリンの作用が増強されることがある.
D:CYP2C19遺伝子型がextensive metabolizer(EM)である場合にはオメプラゾールを使用した場合にクロピトグレルの作用減弱が起こりやすい.
E:門脈圧亢進症性胃症(PHG)に対するH. pylori除菌のメリットは明らかにされていない.


問題18

NSAIDs胃潰瘍について正しいものを1つ選べ.
1.胃粘膜のプロスタグランジンを減少させることによって引き起こされる.
2.まず,NSAIDsを中止できれば中止し,通常の抗潰瘍療法を行うべきである.
3.もし,NSAIDsを中止できなければ,H. pylori除菌療法を行うべきである.
4.NSAIDsとPPIを同時に投与してはならない.
5.PG製剤であるミソプロストールは,NSAIDs潰瘍にだけ保険適応がある.

A:1,2,3
B:1,2,5
C:1,4,5
D:2,3,4
E:3,4,5


問題19

Helicobacter pylori感染症との関連性が指摘されているものは以下のどれか.2つ選べ.

A:胃癌
B:胃底腺ポリープ
C:食道癌
D:胃潰瘍
E:十二指腸濾胞性リンパ腫


問題20

Helicobacter pylori菌除菌の保険適応疾患はどれか.1つ選べ.

A:胃過形成性ポリープ
B:再生不良性貧血
C:胃癌外科手術後
D:萎縮性胃炎
E:胃潰瘍瘢痕


問題21

H. pylori(ピロリ菌)感染症認定医の申請資格として必要なものはどれか.1つ選べ.

A:日本国の医師免許証を有し,後期研修を終了した者
B:日本ヘリコバクター学会の評議員であること
C:学会主催の教育講演会で発表していること
D:認定試験に合格していること
E:H. pylori除菌療法を100例以上経験していること


問題22

Helicobacter heilmanniiの説明のうち正しいものはどれか.1つ選べ.

A:この菌は,ヒトには感染しない.
B:この菌は,ウレアーゼ活性は陰性である.
C:この菌は,逆流性食道炎に関連する.
D:この菌は,H. pyloriと混合感染する場合が多い.
E:この菌は,現在培養で同定される.


問題23

Helicobacter pyloriの二次除菌に用いる抗菌薬はどれか.2つ選べ.

A:アモキシシリン
B:メトロニダゾール
C:ランソプラゾール
D:レボフロキサシン
E:クラリスロマイシン


問題24

胃がん検診におけるABC分類で測定するものはどれか.2つ選べ.

A:血中ガストリン
B:血中Helicobacter pylori抗体価
C:血中ペプシノゲン
D:血中ソマトスタチン
E:血中グレリン


(解答は本誌掲載)