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今月の主題

「理解のための28題」


問題1

アレルギー性鼻炎の炎症過程において関連性が低いものを1つ選べ.

A:ヒスタミン
B:ロイコトリエン
C:抗原分子
D:肥満細胞
E:CRP(C-reactive protein)


問題2

次のうち正しいのはどれか.1つ選べ.

A:喘息の長期管理は,気道閉塞が重要な標的である.
B:JGL2009の長期管理における段階的薬物療法は,重症度をステップに分けている.
C:コントロール良好では喘息症状が週1回は許容されている.
D:無治療で喘息症状が毎日あるが日常活動が保たれている患者には中用量の吸入ステロイドを投与する.
E:発作治療には長時間作用性吸入β2刺激薬を頓用する.


問題3

小児の気管支喘息に関する記述で正しいのはどれか.1つ選べ.

A:成人気管支喘息とは違い,慢性気道炎症はない.
B:乳幼児では吸入ステロイド薬の使用は重症例のみに適応になる.
C:テオフィリン徐放製剤は発熱時にも減量・中止する必要はない.
D:小児の喘息死は減少してきたが,最近でも全国で年間100名前後ある.
E:運動誘発喘息の抑制に最も効果があるのはβ刺激薬の運動前の吸入である.


問題4

アレルギー性鼻炎について正しいものはどれか.1つ選べ.

A:スギとカモガヤは共通抗原をもつ.
B:小児のアレルギー性鼻炎は自然寛解が多い.
C:花粉症患者では季節外でも鼻汁好酸球は陽性になる.
D:鼻噴霧ステロイドはくしゃみ・鼻漏には効果的だが,鼻閉には効果は少ない.
E:抗原特異的免疫療法によって症状の長期寛解を得ることが可能である.


問題5

アトピー性皮膚炎治療ガイドラインについて誤りはどれか.2つ選べ.

A:アトピー性皮膚炎の治療では,薬物療法だけでなく,発症・悪化因子の検索と対策,スキンケアも重要である.
B:アトピー性皮膚炎の主な皮膚機能異常として,水分保持能・バリア機能の低下,痒みの閾値の低下,易感染性の3つが挙げられる.
C:ステロイド外用薬の強度,剤型は重症度に加え,個々の皮疹の部位と性状および年齢に応じて選択する.
D:タクロリムス外用薬は,粘膜および外陰部やびらん・潰瘍面に使用しても構わない.
E:シクロスポリンは,小児や軽症のアトピー性皮膚炎患者に使用しても構わない.


問題6

長期間の咳を訴える患者の診察の問診時に聞くべきことは何か.異なるものを1つ選べ.

A:喫煙
B:職業
C:ペットの有無と種類
D:咳の出る時間帯
E:アンジオテンシンII受容体拮抗薬(降圧薬)の服用の有無


問題7

喘息の診断を支持する検査所見として不適切なものはどれか.1つ選べ.

A:ピークフロー値の日内変動が30%
B:喀痰の細胞分画で好酸球数が13%
C:β2刺激薬吸入による1秒量の改善が260 ml
D:肺拡散能が予測値の60%
E:ダニに対する抗原特異的IgE抗体陽性


問題8

28歳の男性.5年前からアレルギー性鼻炎の診断を受けており,鼻炎用の市販薬をときどき使用している.仕事の配達で自転車に乗る機会が多いが,近年は長距離になると喘鳴を伴う息切れと咳込みがみられるようになった.

身体所見:血圧128/75 mmHg,心音正常,下腿浮腫を認めず.
検査所見:FVC=4.65 l,FEV1=3.95 l(98%予測値)
薬剤治療として次のうちで最も適切なのはどれか.1つ選べ.

A:抗ヒスタミン薬
B:テオフィリン製剤
C:利尿薬
D:抗ロイコトリエン薬
E:経口ステロイド薬


問題9

花粉症の患者の鼻汁中に特徴的に増加するのはどれか.1つ選べ.

A:T細胞
B:B細胞
C:好酸球
D:好中球
E:マクロファージ


問題10

かゆみに関して正しいものを1つ選べ.

A:明らかな皮膚病変がなければ,心因性と考えてよい.
B:甲状腺機能亢進症では,乾燥肌からかゆみが誘発される.
C:腫瘍病変としては血液系悪性腫瘍がかゆみの原因となり,固形癌は関係ない.
D:接触性皮膚炎のかゆみには抗ヒスタミン薬が著効する.
E:乳輪周囲のかゆみでは,アトピー性皮膚炎と乳がんが重要な鑑別診断である.


問題11

アナフィラキシーショックの急性期治療で直ちに考慮しなくてもよい処置はどれか.2つ選べ.

A:気道確保
B:生理食塩水の急速投与
C:エピネフリンの筋肉注射
D:ステロイドの静脈内投与
E:抗ヒスタミン薬の静脈内投与


問題12

軽症持続型相当(治療ステップ2)の喘息患者の長期管理薬として適切でないものはどれか.1つ選べ.

A:吸入ステロイド薬
B:テオフィリン徐放製剤
C:ロイコトリエン受容体拮抗薬
D:長時間作用性β2刺激薬
E:短時間作用性β2刺激薬


問題13

中等症持続型喘息の維持療法として正しいのはどれか.1つ選べ.

A:サルブタモール吸入(8 mg /日)
B:サルメテロール吸入+塩酸アゼラスチン内服(4 mg/日)
C:テオフィリン徐放剤内服(200 mg/日)+モンテルカスト内服(10 mg/日)
D:シクレソニド吸入(400 μ/日)+プランルカスト内服(450 mg/日)


問題14

喘息の急性発作時に用いられる治療薬として不適切なものはどれか.

A:クロール・トリメトン®(マレイン酸クロルフェニラミン)
B:アドレナリン
C:メプチン®(プロカテロール)
D:ネオフィリン®(アミノフィリン)
E:プレドニン®(プレドニゾロン)


問題15

小児の気管支喘息に関する記載で正しいものはどれか.1つ選べ.

A:咳嗽と喘鳴を繰り返す乳児は,気管支喘息と断定できる.
B:喘息のコントロールが不良の場合,アレルギー性鼻炎の評価と治療は試みる価値がある.
C:吸入抗原に対する特異的IgEが陰性であれば,気管支喘息は否定できる.
D:テオフィリンは喘息と診断したら最初に処方する基本的な長期管理薬である.
E:吸入ステロイドは副作用の問題で小児には適応がないので,長期管理薬の選択肢から除外する.


問題16

スギ花粉症について誤りはどれか.2つ選べ.

A:抗原飛散数増加による症状の増悪
B:鼻汁中好中球の増加
C:くしゃみ,水性鼻汁,鼻閉
D:メガネからコンタクトレンズ装用への変更
E:抗原ディスクによる症状の誘発


問題17

妊婦に投与するのに最も不適切なものはどれか.1つ選べ.

A:ジルテック®(セチリジン)
B:マレイン酸クロルフェニラミン
C:塩酸エフェドリン錠
D:シングレア®(モンテルカスト)
E:クラリチン®(ロラタジン)


問題18

アトピー性皮膚炎の治療において正しいものを1つ選べ.

A:アレルギーが原因であることが多く,食物アレルゲンの回避が治療の中心である.
B:掻破により悪化するため,夜間はガーゼなどで覆い予防する.
C:かゆみ対策としては,抗ヒスタミン薬が著効する.
D:保湿と抗炎症が治療の中心である.
E:中等度以上の症例では,短期ステロイド内服で寛解導入し局所ステロイドで維持をする.


問題19

23歳の男性.1か月前から,臍周囲から右腹部にかけて,痒みが強い皮疹に気づき受診した.時計の文字盤にかぶれたことがある.
原因を確定するのに最も適した検査はどれか.1つ選べ.

A:糸状菌直接鏡検
B:パッチテスト
C:総IgE抗体価
D:Tzanck試験
E:皮膚生検


問題20

成人の蕁麻疹で最も多くみられる病型はどれか.1つ選べ.

A:機械性蕁麻疹
B:日光蕁麻疹
C:特発性蕁麻疹
D:コリン性蕁麻疹
E:寒冷蕁麻疹


問題21

食物摂取後のアナフィラキシーショックに関する記載で誤っているものはどれか.1つ選べ.

A:新生児期の食物アレルギーでもアナフィラキシーショックは生じえる.
B:小児の即時型の原因食物としては鶏卵や牛乳が多い.
C:成人の即時型の原因食物としてはナッツ類や甲殻類が多い.
D:治療としてはアドレナリンの早期の皮下注射が大切である.
E:二相性反応は4時間以内に認めることが多い.


問題22

パッチテスト陽性率の高い薬疹型はどれか.2つ選べ.

A:湿疹型
B:紅斑丘疹型
C:薬剤性過敏症症候群(DIHS)
D:蕁麻疹型
E:多形紅斑型


問題23

呼吸機能検査において喘息の管理における呼吸機能の指標として最も適しているのはどれか.1つ選べ.

A:ピークフロー(PEF)
B:1秒率(FVC/FEV1.0
C:肺活量(VC)
D:1秒量(FEV1.0
E:V25


問題24

38歳の女性.花粉症と喘息の既往があり,治療中である.ここ数日間,立ち仕事が続き,腰痛の訴えがあり,鎮痛薬を希望される.感覚異常・麻痺はなく,身体所見上も特に異常を認めない.適切な薬剤を1つ選べ.

A:ポンタール®(メフェナム酸)
B:ロキソニン®(ロキソプロフェンナトリウム)
C:アスピリン
D:カロナール®(アセトアミノフェン)
E:プレドニン®(プレドニゾロン)


問題25

抗IgE抗体の適応について正しいものを2つ選べ.

A:吸入ステロイド薬低用量でコントロール不良患者
B:吸入ステロイド薬高用量+長時間作用型β刺激薬でコントロール不良
C:ダニに対するIgE抗体陽性者
D:血清総IgE 1,000 IU/ml
E:短時間作用型β刺激薬吸入のみ使用患者


問題26

アトピー性皮膚炎の短期的な病勢を把握するのに最も有用な血中マーカーはどれか.1つ選べ.

A:末梢血好酸球数
B:血清TARC値
C:血清総IgE値
D:血清LDH値
E:血清MDC値


問題27

気管支喘息について間違っているものを1つ選べ.

A:気管支喘息の主となる病因は気道炎症である.
B:FeNOは非侵襲的簡便な気道炎症の指標である.
C:気道炎症と閉塞性障害は完全には一致しないため,呼吸機能と気道炎症は組み合わせて評価する.
D:FeNO低値なら気管支喘息を否定してよい.


問題28

舌下免疫療法効果発現機序として有望なメカニズムはどれか.1つ選べ.

A:全身性の制御性T細胞
B:舌におけるT細胞免疫応答
C:口腔内の抗原に対するアナジー
D:特異的IgAの増加
E:特異的IgEの減少


(解答は本誌掲載)