HOME雑 誌medicina誌面サンプル 46巻4号(2009年4月号) > 今月の主題「理解のための21題」

今月の主題

「理解のための21題」


問題01

生来健康な20歳,男性.5日間続く,咽頭痛,関節痛,39℃の発熱を主訴に内科外来を受診した.診察上,咽頭軽度発赤,頸部,腋窩リンパ節腫脹を認める.血液検査上,白血球10,000 ml(異型リンパ球15%),軽度の肝酵素上昇を認めた.考えられない疾患は次のいずれか.

A:溶連菌感染症
B:EBウイルス感染症
C:サイトメガロ感染症
D:梅毒
E:HIV感染症


問題02

梅毒の血清学的検査として,感染の活動性や治療の効果判定に用いることのできないものはどれか.2つ選べ.

A:RPR
B:FTA-ABS
C:TPHA
D:VDRL
E:ガラス板法


問題03

15歳,女性.全身打撲を主訴に警察官,母親に同行され,ER受診した.カラオケボックスで数人に監禁,輪姦され,殴られたり,蹴られたりしたということであった.診察・検査の結果,腟内には明らかな精液はなく,男たちは射精時にはコンドームをつけていたことが判明した.口腔内や直腸内への射精もないことがわかった.以下のうち,不適切な対応はどれか.1つ選べ.

A:淋菌予防に対する抗菌薬を投与した.
B:B型肝炎予防に対してワクチン接種を施行した.
C:クラミジア予防に対する抗菌薬を投与した.
D:HIV予防に対して,抗HIV薬を投与した.
E:避妊対策にエチニルエストラジオール100 mg/回・ノルゲストレル0.50 mg/回,12時間ごと,計2回,遅くとも72時間以内投与が必要だが,今回は使用しなかった.


問題04

HIV急性感染で認められる所見・検査結果で当てはまらないものはどれか.1つ選べ.

A:発熱
B:咽頭痛
C:皮疹
D:髄膜刺激症状
E:ウエスタンブロット法による抗HIV抗体陽性


問題05

HIV抗体検査を行うべきではないものはどれか.2つ選べ.

A:急性B型肝炎に罹患
B:梅毒に罹患
C:ニューモシスチス肺炎に罹患
D:クラミジア肺炎に罹患
E:肺炎球菌肺炎に罹患


問題06

ニューモシスチス肺炎について,正しい選択肢はどれか.2つ選べ.

A:著しい低酸素血症には,ステロイドが有効である.
B:胸部単純X線写真では,必ずびまん性のすりガラス影が認められる.
C:治療の第一選択薬は,マクロライド系抗菌薬である.
D:治療開始後に,一過性に酸素化が悪くなることがある.
E:予防には,ペンタミジンの吸入が推奨される.


問題07

結核について,下記の記述のなかで,正しいものを1つ選べ.

A:日本の結核罹患率は人口10万対5前後であり,欧米先進国並みである.
B:リファンピシンは結核の特効薬なので,単剤投与でもよい.
C:多剤耐性結核菌の治療では,感受性薬を1剤ずつ変えてみて,効果を判定すべきである.
D:喀痰の抗酸菌検査を1回行い,陰性であれば結核は否定的である.
E:結核の胸部X線所見では,気道散布性粒状影が特徴的である.


問題08

QuantiFERON○R-TB第2世代について,下記の記述のなかで,正しいものを1つ選べ.

A:BCG接種の影響を受けるが,ツベルクリン反応に匹敵する検査法である.
B:結核に感染して,ただちに陽転化すると考えられている.
C:結核発病の証拠にはならないことを十分認識しなければならない.
D:免疫機能が低下していても,まったく影響を受けない.
E:結核の接触者健診ではツベルクリン反応の補助検査として用いられる.


問題09

結核院内対策として,正しいものを選択してください.

A:肺結核を疑う場合,喀痰塗抹培養検査は1回でよい.
B:肺外結核のみの発症でも,結核病棟への隔離が必要である.
C:職員検診において,QFT-2G検査は就労時に行うべきである.
D:職員検診の胸部X線写真は一人の医師で読影してよい.
E:結核罹患率は低くなったので,院内感染対策に注意する必要はない.


問題10

症例:55歳,女性.関節リウマチの診断で,プレドニゾロン30 mgをすでに2カ月投与されている.この症例について正しいもの選べ.HBsAg陽性,AST-15-IU/ml,ALT-16-IU/ml.

A:プレドニゾロン30 mg/dayの投与量なので,結核発症のリスクはない.
B:HBsAg陽性だが,AST,ALTが正常だったので,B型肝炎の再活性化のリスクは低い.
C:この投与量ならPCP発症のリスクは高いので,ST合剤の予防内服を考慮する.
D:ツベルクリン反応で硬結が7 mmだったので,陰性と判断した.
E:もし,この患者がHCV抗体(EIA法)陽性HCV-PCR陰性ならC型肝炎の再活性化のリスクはB型肝炎の場合より高い.


問題11

以下の要因で起こる好中球減少症のなかで,新たに重篤な感染症に罹患するリスクを上げるものを1つ選べ.

A:慢性特発性
B:自己免疫性疾患
C:敗血症
D:再生不良性貧血
E:周期性


問題12

以下のA~Eのうち,間違っているものを1つ選べ.

糖尿病患者の尿路感染症では非糖尿病患者に比べ,

A:起因菌に大きな違いがある.
B:両側性腎盂腎炎がより多い.
C:気腫性腎盂腎炎を起こしやすい.
D:腎乳頭壊死を起こしやすいといわれている.
E:腎周囲膿瘍を起こしやすい.


問題13

わが国における,現在の新型インフルエンザ対策において正しいものはどれか.1つ選べ.

A:新型インフルエンザワクチンの接種が国民に対して順次進められている.
B:原則としてすべての医療機関が新型インフルエンザの外来患者について診療にあたることが求められている.
C:原則としてすべての入院医療機関が新型インフルエンザの重症患者について診療にあたることが求められている.
D:耐性ウイルスの拡大が予測されるため,オセルタミビルの備蓄を見合わせている.
E:流行期には発熱外来が設置されるため,地域の一般内科医は新型インフルエンザ診療にあたる必要はない.


問題14

新型インフルエンザの感染予防策として,誤っているのはどれか.

A:感染している患者には,一定の距離(2 m)を極力とれるようにする.
B:防護具の着用は,感染予防策としては追加的な策である.
C:流水による手洗いは,感染予防策として必要ではない.
D:自分にあったN95マスクの選択にはフィットテストが必要である.
E:N95マスクは,わが国の規格では防じんマスクDS2と呼ばれている.


問題15

次のうち,新型インフルエンザ診療に有用でないと考えられるものはどれか.1つ選べ

A:病歴
B:バイタルサイン
C:血中CRP
D:オセルタミビル
E:適切な感染防御


問題16

4種類のマラリアのなかで,再発を起こす可能性のあるものはどれか.2つ選べ.

A:熱帯熱マラリア
B:三日熱マラリア
C:四日熱マラリア
D:卵形マラリア


問題17

23歳,男性.インドから2週間前に帰国.下痢と38℃の熱が3日間続くため来院した.血液培養,便培養採取のうえ,レボフロキサシン300 mgの投与を開始した.3日後血液培養,便培養の結果が判明し,Salmonella typhi陽性であった.感受性結果では,NA(ナリジクス酸):R,CPFX(シプロフロキサシン):Sであった.発熱は持続している.治療選択はどうするか(複数選択可).

A:レボフロキサシン300 mgを2週間継続する.
B:レボフロキサシンを500 mgに増量し,2週間継続する.
C:セフトリアキソン4 gに変更する.
D:アジスロマイシン0.5 gに変更する.


問題18

インドに旅行中の患者さんから「イヌに咬まれたけどどうしたらいい?」と国際電話がかかってきた.どのように答えたらよいか.1つ選べ.なお,患者は旅行前に狂犬病ワクチンは接種していない.

A:すぐに石けんと水で傷を洗い,消毒薬があれば消毒するように指示し,あとは帰国してから受診するように伝える.
B:インドの医療水準が信頼できないので,すぐに帰国を促し,帰国してから狂犬病の曝露後予防を行うように指示する.
C:すぐに現地の医療機関を受診して,狂犬病,破傷風の予防措置を受けるように指示する.
D:咬んだイヌを頑張って捕獲するように指示する.
E:そのまま様子をみるようにいう.


問題19

1週間前にガーナへの4カ月赴任から帰国した会社員が,39℃の発熱を主訴に歩いて来院した.特に基礎疾患はない.身体所見上は特に問題なく,血液検査でも,軽度白血球上昇が認められる程度であった.現地では蚊には刺されたとのことであり,マラリアの予防内服はしていない.次の選択肢で不適切なものを選べ.

A:Giemsa染色を行い,マラリアと診断されたが,種類はわからなかったため,入院としてメフロキンを処方した.
B:Giemsa染色を行い,マラリアかどうか診断できなかったが,全身状態がよかったため,翌日受診とした.
C:Giemsa染色を行う設備がなかったため,他院を受診するよう説明した.
D:Giemsa染色を行う設備がなかったが,全身状態がよかったため,解熱薬,感冒薬を処方して,5日後に受診するよう説明した.
E:マラリアかどうかわからなかったため,他院に電話で相談した.


問題20

国内で市販されている以下のワクチンで,生ワクチンはどれか.次のなかから2つ選べ.

A:A型肝炎ワクチン
B:B型肝炎ワクチン
C:破傷風トキソイド
D:水痘ワクチン
E:ポリオワクチン


問題21

予防接種に関する以下の文章で正しい内容のものはどれか.1つ選べ.

A:現時点でMRワクチンの3期,4期の接種率は90%以上である.
B:水痘ワクチンは,国内では定期接種となっている.
C:現在,日本脳炎ワクチンの接種は禁忌である.
D:B型肝炎ワクチンは国際的にはuniversal vaccinationが主流である.
E:麻疹の免疫を調べる抗体検査としてCF法は適切である.


(解答は本誌掲載)