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今月の主題

「理解のための27題」


問題01

骨粗鬆症に関することで正しいものはどれか.1つ選べ.

A:骨折がないと,骨粗鬆症と診断されない.
B:骨粗鬆症の治療薬として,カルシウムとビタミンDが第一選択となる.
C:骨粗鬆症は骨強度の低下を特徴とする.
D:骨強度はその30%を骨密度で,70%を骨質で説明される.
E:80歳を超えると,すべての女性は骨粗鬆症に罹患する.


問題02

骨粗鬆症の疫学について誤っているものはどれか.2つ選べ.

A:わが国の高齢化は急速に進んでおり,高齢化率はすでに20%を超えている.
B:骨粗鬆症は骨密度の低下により定義される骨代謝疾患である.
C:大腿骨頸部骨折の発生率は,東北や北海道など日光曝露量の少ない地域で高く,全体的に東高西低である.
D:2002年の調査では,大腿骨頸部骨折の新発生患者数は1年間で約12万人と推定され,依然として増加傾向にある.
E:脊椎椎体骨折は,骨粗鬆症による骨折のうち最も頻度が高いが,その頻度のついての報告は少ない.


問題03

骨粗鬆症関連骨折のなかで,最も頻度の高いものはどれか,1つ選べ.

A:肋骨骨折
B:大腿骨頸部骨折
C:椎体圧迫骨折
D:橈骨遠位端骨折
E:上腕骨骨折


問題04

加齢に伴う骨量減少に寄与しない因子はどれか.1つ選べ.

A:カルシウム吸収の低下
B:リン再吸収の低下
C:エストロゲンの欠乏
D:副甲状腺ホルモンの上昇
E:骨吸収の亢進


問題05

カルシウム/リン代謝調節ホルモンの作用として,誤っているものはどれか.1つ選べ.

A:副甲状腺ホルモン(PTH)は,腎臓においてカルシウム吸収を促進させる.
B:PTHは,腎臓においてリン排泄を亢進させる.
C:活性型ビタミンDは,腸管でのカルシウム吸収を促進させる.
D:活性型ビタミンDは,腎臓でのリン排泄を亢進させる.
E:活性型ビタミンDは,腸管でのリン吸収を促進させる.


問題06

1) 最も頻度の高い骨折部位は次のどれか.
2) 生命予後に最も影響する骨折部位は次のどれか.

A:上腕骨頸部
B:橈骨遠位端部
C:脊椎
D:大腿骨頸部
E:下腿骨


問題07

骨密度測定について,正しいのはどれか.1つ選べ.

A:骨粗鬆症の診断には,全身のどの部位の骨密度も同等に用いることができる.
B:椎体骨折を有する症例では,腰椎DXAによる評価が望ましい.
C:大腿骨近位部骨折の予知能は,腰椎より大腿骨近位部のDXAのほうが高い.
D:末梢骨の骨密度測定は,薬物治療後の経過観察に適している.
E:骨密度の変化は,測定再現性を示すCV以上の値をもって有意と判定される.


問題08

骨粗鬆症性骨折について,正しいものはどれか.2つ選べ.

A:大腿骨頸部骨折は転倒により発生することが多く,寝たきりの原因疾患として重要である.X線単純像による診断は容易とはいえないが,ベテランの専門医が診断できない骨折は存在しない.
B:脊椎椎体圧迫骨折では,X線単純像で診断できない骨折がしばしば存在する.診断にはMRIが有用である.
C:高齢者の骨盤骨折(恥骨・座骨骨折)は稀である.
D:骨粗鬆症診断の基本となる既存脊椎骨折の診断基準は,日本骨代謝学会の診断基準とGenantの診断基準の両方が使用されている.
E:腰椎DXA装置は骨粗鬆症の最も基本的な診断装置であり,この値には絶対的な信頼性がある.


問題09

原発性骨粗鬆症の危険因子でないものはどれか.1つ選べ.

A:カルシウム摂取不足
B:ステロイドの長期使用
C:肥満
D:運動不足
E:加齢


問題10

続発性骨粗鬆症に関して,正しいものはどれか.2つ選べ.

A:グルココルチコイド投与は,プレドニゾロン換算で10 mg/日以下であれば骨折リスクを上昇させない.
B:甲状腺機能亢進症では,低代謝型の骨粗鬆症をもたらす.
C:原発性副甲状腺機能低下症では,前腕骨遠位端の骨密度が低下する.
D:続発性骨粗鬆症では,原因を特定し治癒させれば,骨粗鬆症の病態も改善する.
E:酢酸リュープロレリン投与は,続発性骨粗鬆症をもたらす.


問題11

73歳,女性.身長は150cmで,若い頃より5cm低下している.体重は55kg.胸やけを主訴に来院,胃食道逆流症と診断した.胸腰椎側面の単純X線像では胸椎の後弯が増強し,腰椎の前弯も増強していた.このような脊柱変形を表す用語とその状態を引き起こす原因の組み合わせで,正しいものを選べ.

A:円背,脊椎圧迫骨折
B:円背,腰部椎間板ヘルニア
C:凹円背,脊椎圧迫骨折
D:凹円背,腰部脊柱管狭窄症
E:亀背,変形性脊椎症


問題12

続発性骨粗鬆症をスクリーニングするうえで有用な一般検査はどれか.2つ選べ.

A:尿蛋白検査
B:血算
C:血清CRP
D:血清LDH
E:血清カルシウム


問題13

ステロイド性骨粗鬆症について正しいのはどれか.1つ選べ.

A:プレドニゾロン10mg以下では発症しない.
B:骨量が高ければ骨折しない.
C:長期投与例のみに骨折が起きやすい.
D:第一選択薬はビスフォスフォネート製剤である.
E:ステロイドの副作用頻度としては少ない.


問題14

以下のうち,間違っているのはどれか.2つ選べ.

A:高度の低骨密度でなくても,骨代謝マーカーが高値であると脆弱性骨折のリスクがある.
B:骨代謝マーカーが異常高値のため,骨粗鬆症と診断した.
C:尿中NTXは骨吸収マーカーである.
D:閉経後には骨代謝マーカーは低値になる.
E:骨粗鬆症に対し骨吸収抑制薬を投与したので,3カ月後に骨代謝マーカーを測定した.


問題15

骨折の危険因子として,ガイドラインに挙げられていない因子はどれか.1つ選べ.

A:既存骨折
B:喫煙
C:飲酒
D:運動不足
E:肥満


問題16

骨粗鬆症の予防と治療のための食事指導に関する記述で誤ったものはどれか.1つ選べ.

A:骨粗鬆症予防のためには,若年期に必要量のカルシウムを摂取することが重要である.
B:過度のアルコール摂取(1日2単位以上;日本酒2合以上)は骨折危険因子の一つである.
C:骨粗鬆症治療のためのカルシウム摂取目標量は,600mg/日以上である.
D:骨代謝に大切な栄養素は主にカルシウム,ビタミンD,ビタミンK,蛋白質である.
E:カルシウム摂取による骨折予防効果は期待できない.


問題17

骨粗鬆症患者に対する運動療法の効果について正しいのはどれか.1つ選べ.

A:骨量に与える効果は若年者と同じと考えてよい.
B:骨量に与える効果は男女同じと考えてよい.
C:腰椎の骨量減少を防止できない.
D:転倒回数を減少させる.
E:骨折予防効果はメタアナリシスで明示されている.


問題18

屋内での転倒により起きることが,最も多い骨粗鬆症性骨折はどれか.1つ選べ.

A:脛骨骨幹部骨折
B:橈骨遠位端骨折
C:脊椎骨折
D:大腿骨頸部(近位部)骨折
E:舟状骨骨折


問題19

60歳女性の骨粗鬆症に対してビスフォスフォネート治療を開始した.治療効果を短期間で評価するのに最も有効な手段はどれか.1つ選べ.

A:橈骨骨密度
B:腰椎骨密度(二重エネルギー骨密度測定装置)
C:腰椎骨密度(CT)
D:踵骨超音波検査
E:中手骨骨密度(MD法,CDX法)


問題20

下記のうち,誤っているものはどれか,1つ選べ.

A:活性型ビタミンD3製剤(アルファロールR,ワンアルファRなど)は,きわめて稀に高カルシウム血症を起こすことがある.
B:ビタミンK2製剤(グラケーR)は,必ず食後に服薬するよう指導すべきである.
C:エチドロネート(ダイドロネルR)は,通常1日1回1錠(200mg)を服用するが,骨塩量減少の程度が強い患者(腰椎DXA法で0.650g/cm2未満)や安静時自発痛および日常生活の運動時痛が非常に強い患者の場合は1日2錠投与できる.
D:アレンドロネート(フォサマックR,ボナロンR),リセドロネート(アクトネルR,ベネットR)を服薬中の患者に顎骨壊死・骨髄炎が報告されているので,抜歯が予定されている患者への投与は禁忌である.
E:ラロキシフェン(エビスタR)は,長期不動状態にある患者への投与は禁忌であり,また男性骨粗鬆症への投与は行うべきでない.


問題21

骨粗鬆症治療薬について,正しいものはどれか.2つ選べ.

A:骨粗鬆症治療薬では,EBMに基づき有効性が確立されたものはない.
B:ビスフォスフォネート製剤には,大腿骨頸部骨折を予防しうるものがある.
C:ビスフォスフォネート製剤,SERMともに多発椎体骨折に対する防止効果は,単発の椎体骨折よりも劣る.
D:ビスフォスフォネート製剤は,SERMよりも消化器症状などの副作用が出現しやすい.
E:SERMは,乳癌および子宮内膜癌発生率を増加させる.


問題22

ホルモン補充療法の絶対的禁忌となるものはどれか.1つ選べ.

A:高血圧
B:乳癌治療後
C:子宮内膜癌治療後
D:高度の肥満
E:高齢者


問題23

次の骨粗鬆症治療薬のなかで,骨格筋への作用で筋力を改善し,転倒を防止する効果が,メタ解析において実証されている薬剤はどれか.1つ選べ.

A:カルシウム製剤
B:ビタミンD製剤
C:ビタミンK製剤
D:ビスフォスフォネート製剤
E:カルシトニン製剤


問題24

骨粗鬆症においてカルシトニン投与が最も適応となる病態はどれか.1つ選べ.

A:低カルシウム血症を伴う骨粗鬆症
B:骨軟化症を伴う骨粗鬆症
C:関節リウマチを伴う骨粗鬆症
D:大腿骨頸部骨折を伴う骨粗鬆症
E:腰痛を伴う骨粗鬆症


問題25

大腿骨近位部骨折について,正しいのはどれか.1つ選べ.

A:後期高齢者(75歳以上)よりも前期高齢者(65~74歳)で発生率が高い.
B:全患者の約半数で手術が行われる.
C:手術はなるべく待機的に行う.
D:骨折後には再度骨折するリスクが高まる.
E:骨折は生命予後に影響しない.


問題26

閉経に関して,以下の文章で正しいのはどれか.1つ選べ.

A:日本人女性の平均的な閉経年齢は46歳である.
B:6カ月間以上の月経の閉止を確認し,初めて閉経ということができる.
C:生物の進化論的には閉経という現象は“不適応”といえる.
D:月経閉止はエストロゲン分泌の消退を意味するが,生殖期以外の臓器には影響を及ぼさない.
E:閉経という現象と,それに引き続く各種器官の機能低下に医療が目を向けるようになったのは18世紀に入ってからである.


問題27

次の疾患のうち,FGF23血中濃度が上昇するのはどれか.2つ選べ.

A:腫瘍性骨軟化症
B:Fancon症候群
C:XLH(X‐linked hypophosphatemic rickets/osteomalacia)
D:ビタミンD欠乏症
E:原発性副甲状腺機能亢進症


(解答は本誌掲載)