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今月の主題

「理解のための35題」


問題01

下記の神経の中から痛みを伝える神経を2つ選べ.

A:Aα線維
B:Aβ線維
C:Aδ線維
D:B線維
E:C線維


問題02

52歳女性.夜間や早朝に手のしびれ・痛みで覚醒してしまう.最も可能性が高い診断はどれか.1つ選べ.

A:頸椎症
B:肩関節周囲炎
C:手根管症候群
D:肘管症候群
E:土曜の夜麻痺


問題03

解離性感覚障害をきたしやすい部位はどれか.1つ選べ.

A:大脳皮質
B:内包後脚
C:延髄外側部
D:脊髄後角
E:顔面神経


問題04

頭の痛みを訴えて来院する患者のうち,最も頻度の多い疾患は次のうちどれか,1つ選べ.

A:片頭痛
B:筋緊張型頭痛
C:群発頭痛
D:大後頭神経痛
E:三叉神経痛


問題05

アロディニアに関して誤った記載を1つ選べ.

A:痛くて髪が触れない.
B:感作による感覚の量的変化が主たる病態である.
C:痛覚過敏と混在する.
D:片頭痛発作中に起こる.
E:発現に中枢性感作が関与する.


問題06

母指(近傍を含む)の感覚異常の原因にならないのはどれか.1つ選べ.

A:脳梗塞
B:頸椎症
C:手根管症候群
D:橈骨神経麻痺
E:Guyon管症候群


問題07

次のうち,痛みやしびれに明瞭な日内変動がみられるのはどれか.1つ選べ.

A:手根管症候群
B:多発ニューロパチー
C:Guillain-Barré症候群
D:頸椎症
E:神経痛


問題08

多発性硬化症の既往がある27歳女性.みぞおち(胸骨剣状突起下部)レベル以下,右側では振動覚・位置覚の障害,左側では温・痛覚低下を自覚し来院した. 次から正しいものを1つ選べ.

A:左下肢の運動障害が認められる.
B:振動覚・位置覚の障害レベルの直上に,全感覚消失帯,感覚過敏帯が認められる.
C:感覚無視が認められる.
D:Th5レベルで脊髄の左半分が障害されている.
E:両側視床が障害されている.


問題09

前脊髄動脈症候群における症状の組み合わせで正しいのはどれか.1つ選べ.

A:同側の温・痛覚障害,対側の深部感覚障害と対側の錐体路徴候.
B:対側の温・痛覚障害,同側の深部感覚障害と同側の錐体路徴候.
C:障害レベル以下の温・痛覚障害と対麻痺.
D:障害レベル以下の深部感覚障害と対麻痺.
E:障害レベル以下の対麻痺.


問題10

しびれと痛みの評価方法として正しいのはどれか.2つ選べ.

A:SF-36
B:EuroQol(EQ-5D)
C:visual analogue scale(VAS)
D:sickness impact profile(SIP)
E:6-point behavioral rating scale(BRS-6)


問題11

ニューロメーターを用いた神経電流知覚閾値検査の適応でないものはどれか.1つ選べ.

A:糖尿病患者の自律神経機能の評価.
B:三叉神経痛に対する神経ブロックの効果判定.
C:下肢外傷後の意識障害患者の末梢神経機能の評価.
D:Sjo¨gren症候群に伴う単神経炎の評価.
E:皮弁移植後の神経産生の評価.


問題12

正しいのはどれか.1つ選べ.

A:小脳失調の診断には神経伝導検査が有用である.
B:筋力低下のある患者で,その筋の複合筋活動電位振幅が正常であればヒステリーと診断される.
C:頸椎症性筋萎縮症と筋萎縮性側索硬化症との鑑別には針筋電図が有用である.
D:手根管症候群のしびれは夕方に増悪する.
E:両手のしびれをきたす疾患としては脳梗塞が最も多い.


問題13

多発性硬化症に関して正しいものはどれか.2つ選べ.

A:病変はレンズ核に好発する.
B:病変は脳梁下面に好発する.
C:病変は側脳室に平行する楕円形が多い.
D:造影剤増強効果は認めない.
E:頸髄にも病変を伴う場合がある.


問題14

以下のうち紋扼性ニューロパチーでないものはどれか.1つ選べ.

A:手根管症候群
B:手口周囲症候群
C:異常感覚性大腿神経痛
D:肘部管症候群
E:honeymoon palsy


問題15

73歳女性.今朝から右手指と右口唇周囲のしびれと痛みを訴えて来院した.過換気症と考えたが,片手のしびれであり麻痺は全く認められない.ふらつきもなく歩行も可能である.血圧は152/72,HR72/分.最も疑いのある責任病巣はどこか?

A:左視床
B:右視床
C:延髄左側
D:延髄右側
E:右小脳


問題16

採血による神経損傷を生じやすい神経はどれか.2つ選べ.

A:正中神経本幹
B:尺骨神経本幹
C:橈骨神経本幹
D:前腕外側皮神経
E:前骨間神経


問題17

頸椎症性神経根症の症状として,通常認めないものはどれか.1つ選べ.

A:右肩甲骨内側および上肢への放散痛
B:指のしびれ
C:頸椎可動性の低下
D:握力の低下
E:ボタン留めなどの手指巧緻性障害


問題18

若年性腰椎椎間板ヘルニアに現れる特徴的な神経症候はどれか.1つ選べ.

A:筋萎縮
B:腰股伸展強直
C:膀胱直腸障害
D:馬尾性間欠跛行
E:知覚障害


問題19

特発性手根管症候群に関する記述で,誤っているものはどれか,1つ選べ.

A:女性に多く,更年期以降に発症する.
B:指の屈筋腱腱鞘炎を合併する例がある.
C:就寝中に手のしびれが増強する例がある.
D:手関節周辺の痛みを生ずる例がある.
E:進行すると母指を使ったつまみ動作がしづらくなる.


問題20

糖尿病以外の原因を強く疑わせる所見を2つ選べ.

A:血糖コントロール後に生じた両足の疼痛
B:手根部Tinel徴候
C:両側足関節背屈力低下
D:片側足底皮膚潰瘍
E:片側アキレス腱反射の消失


問題21

次の自己抗体のうち傍腫瘍症候群と関係の薄いものはどれか.1つ選べ.

A:抗Hu
B:抗Yo
C:抗GQ1b
D:抗VGCC
E:抗VGKC


問題22

がん性疼痛についての記述で正しいものはどれか.2つ選べ.

(1)がん性疼痛のうち,しびれを伴うものは内臓痛である.
(2)がん性疼痛に対してオピオイド投与を開始した後は,NSAIDs投与は不要である.
(3)便秘,嘔気はオピオイドによる代表的な副作用である.
(4しびれを伴うがん性疼痛に対してはオピオイドが効きにくい場合がある.
(5)抗うつ薬,抗けいれん薬は鎮痛作用がなく,がん性疼痛治療には用いない.

A:(1),(2)
B:(2),(3)
C:(3),(4)
D:(4),(5)
E:(1),(5)


問題23

薬剤性末梢神経障害について正しいのはどれか.1つ選べ.

A:原因薬剤のほとんどは抗癌剤によるものである.
B:薬剤性末梢神経障害は急性に発症することはない.
C:薬剤の投与開始時期,発症時期などを考慮して原因薬剤を推定する.
D:ビタミンB12を含む総合ビタミン剤の投与にて症状は改善する.
E:原因薬剤を中止できないときは,減量して継続投与する.


問題24

血清中で抗ガングリオシド抗体が陽性となる頻度の高いものはどれか.1つ選べ.

A:重症筋無力症
B:多発筋炎
C:Guillain-Barré症候群
D:多発性硬化症
E:Lambert-Eaton筋無力症様症候群


問題25

多発性硬化症におけるしびれ・痛みに関する記述で誤っているものを1つ選べ.

A:痛みは,多発性硬化症の経過中,患者の60%が経験する.
B:多発性硬化症のしびれ・痛みは,再発・寛解あるいは持続の経過をとる.
C:三叉神経痛は,多発性硬化症では1.9~4.0%ときわめて高率で,若年者に両側に生ずることが一般の三叉神経痛に比べ多い.
D:Lhermitte徴候は,頸部を前屈した際,背骨を下方に走る突然の電撃痛あるいはしびれで,脊髄後索病変で生じる.
E:有通性筋痙攣は,痛みを伴う四肢の筋スパズムで下肢に多い.


問題26

Parkinson病で最も早期に変性する脳病変はどこか.1つ選べ.

A:迷走神経背側核
B:青斑核
C:黒質
D:視床
E:大脳皮質


問題27

しびれの薬物療法で次のうち正しいのはどれか.1つ選べ.

A:非ステロイド系鎮痛薬がもっとも有効である.
B:できるだけ多剤を併用したほうがよい.
C:抗うつ薬では3環系抗うつ薬が第一選択である.
D:フェニトイン使用時には血中濃度モニタリングは不要である.
E:抗うつ薬や抗てんかん薬は効果を早く得るため最初から高用量を投与する.


問題28

難治性疼痛の外科治療において,誤っているものはどれか.1つ選べ.

A:MelzakとWallは1960年代にgate control theoryを発表した.
B:神経因性疼痛に特徴的な臨床症状の1つとしてアロディニアがある.
C:脊髄刺激療法において,試験刺激は通常は不要である.
D:腕神経引き抜き損傷による難治性疼痛に対して,DREZotomyはよい適応の1つである.
E:運動野刺激療法において,中心溝の同定は有用である.


問題29

複合性局所疼痛症候群(complex regional pain syndrome:CRPS)に関する記述で誤っているものはどれか.1つ選べ.

A:CRPSはtype Iとtype IIに分類される.
B:明らかな神経損傷を伴わなくてもCRPSを発症することがある.
C:交代浴は必ず温水から始める.
D:疼痛や腫脹が消失するまで装具やギプスで固定する.
E:コルチコステロイド低用量経口投与が有効である.


問題30

代替医療について正しいものはどれか.2つ選べ.

A:代替医療の中で,日本で保険診療が可能なものは,多くの漢方薬と一部の鍼灸治療である.
B:糖尿病末梢神経障害のしびれに対する牛車腎気丸の効果は一程度示されているが,メコバラミンとの比較ではその効果は劣る.
C:アロマセラピーでは,痛み・しびれに対して,すでに多くのエビデンスが報告されており,科学的根拠は十分に示されている.
D:L-カルニチンやα-リポ酸はサプリメントとして市販されているが,2型糖尿病による末梢神経障害に対するランダム化比較試験で有効性が報告されている.
E:ホメオパシーでは,症状を簡単に聞くだけですぐにレメディを選ぶことができるし,副作用もなく,きわめて安全な代替医療である.


問題31

腰痛疾患の手術について明らかな誤りはどれか,1つ選べ.

A:腰椎椎間板ヘルニアの基本的術式は,数十年以上変わっていない.
B:腰椎椎間板ヘルニアによる馬尾症候群は,その多くは緊急手術の適応となる.
C:腰椎椎間板ヘルニアの顕微鏡下手術は,従来法よりリスクが高い.
D:腰部脊柱管狭窄症で不安定性のあるものは,脊椎固定術の適応となる.
E:腰部脊柱管狭窄症の長期予後は明らかではない.


問題32

ビタミン製剤に関して正しいものはどれか.2つ選べ.

A:しびれに対するビタミンB剤の有効性は,エビデンスとして確立されている.
B:活性型ビタミンB1は,フルスルチアミンである.
C:イソニアジドやサイクロセリンの薬剤や血液透析は,B6欠乏状態を引き起こすことがある.
D:水溶性ビタミン剤では過剰症はみられない.
E:αリポ酸やアセチルL-カルニチンが,しびれや痛みへの治療効果を示すエビデンスがある.


問題33

45歳の女性.住所は隣県,職業は看護師.10年前より続く左側腹部痛を訴えて初診来院.これまで,何カ所かの病院で精査を受けたが原因不明と言われている.非ステロイド系消炎鎮痛薬,神経ブロックなどを試みたが効果は認められず,唯一レペタンのみが奏効するとのこと.精査を希望すると同時に,診断がつくまでの間のレペタン投与を希望.まず行うべきなのはどれか.1つ選べ.

A:腹部造影CT
B:便中フィトヘモグロビン定性
C:大腸内視鏡検査
D:レペタン投与
E:前医への問合せ


問題34

次のうち,正しい記載はどれか.1つ選べ.

A:過換気症候群では,血清無機リンの増加を認める.
B:胸郭出口症候群は特別な診断法を必要としない.
C:Lyme病では抗生物質の治療は有効ではない.
D:新変異型Creutzfeldt-Jacob病では不安症状,しびれの症状が見られることがある.
E:心因性しびれでは,症状の変動は少ない.


問題35

ビタミンB12欠乏症による神経障害に関する記述で正しいものはどれか.2つ選べ.

A:ほぼ全例下肢のしびれか歩行障害で発症する.
B:胃切除後の例では術後2~3年以内の発症が大半である.
C:貧血がなくても赤血球は大球性(赤血球容積MCV>110)である.
D:脊髄MRI検査が有用である.
E:起立性低血圧をきたすことがある.


(解答は本誌掲載)