●手を見て気づく内科疾患 | ||
第24回テーマ 爪下線状出血斑,先端紅痛症:鑑別が重要 松村正巳(金沢大学医学教育研究センター リウマチ・膠原病内科) 患者:74歳,男性
身体所見:指先は軽度赤みを帯び,右母指,小指の爪下に小さな出血斑を認める(図1). 診断:本態性血小板血症による爪下線状出血斑(splinter hemorrhage),先端紅痛症(erythromelalgia) 上記診断にて,アスピリンを投与したところ,翌日から指先の疼痛は消失した.本態性血小板血症は,ヒドロキシカルバシド®にて加療した.爪の成長に伴い,爪下線状出血斑は先端に移動し,消失した. 感染性心内膜炎における爪下線状出血斑は有名ですが,そのほかの鑑別診断として以下のものがあります. 外傷,血液疾患,血管炎,全身性エリテマトーデス,関節リウマチ,抗リン脂質抗体症候群,リウマチ熱,僧帽弁狭窄,透析を要する末期腎不全,高血圧,消化性潰瘍,乾癬,壊血病,経口避妊薬 先端紅痛症は,手,足に焼けるような疼痛が起こるもので,暑い環境や,一定の位置で悪化し,冷やすと改善します.本態性血小板血症に認められることがあります.先端紅痛症のそのほかの鑑別診断として以下のものがあります. 真性多血症,全身性エリテマトーデス,傍腫瘍症候群,カルシウム拮抗薬の服用,ブロモクリプチンの服用 身体診察の基本,それは観察です. (画像は本誌をご覧ください) |