HOME雑 誌medicina誌面サンプル 45巻10号(2008年10月号) > 連載●聖路加Common Diseaseカンファレンス
●聖路加Common Diseaseカンファレンス

第18回[神経内科編]

Parkinson病について考えてみよう!

野村征太郎・竹見敏彦(聖路加国際病院神経内科)


Parkinson病の診断  まずはここを押さえよう
  1. Parkinson病の主症状(振戦,筋固縮,寡動,姿勢反射障害)を理解しよう.
  2. Parkinson病に特徴的な,すくみ足,starting hesitation,腕振りの減少,加速歩行(festinating gait),前傾・前屈,矛盾性運動(kinesie paradoxale)といった歩行障害を理解しよう.
  3. Parkinson病の類似疾患(脳血管パーキンソニズム,薬剤性パーキンソニズム,線条体黒質変性症,進行性核上性麻痺)を理解しよう.
  4. Parkinson病の診断に有効な画像検査(MRI,MIBG心筋シンチグラフィ)を理解しよう.

指導医 今回は,神経内科におけるcommon diseaseであるParkinson病について深く勉強してみましょう.ところで,Parkinson病の代表的な徴候はどのようなものがあるでしょう.

Parkinson病の代表的な徴候

研修医A 振戦(tremor),筋固縮(rigidity),無動・寡動(akinesia・bradykinesia),姿勢反射障害(postural instability)の4つですね.

指導医 そうですね.主な4症状はその通りです.ところで,このParkinson病にみられる振戦は不随意運動ですが,どのような特徴をもった不随意運動でしょう.

研修医B 互いに拮抗筋の関係にある筋が,交互にほぼ同じ強さ・同じ周期で収縮を繰り返す不随意運動のことだと思います.

指導医 うまい説明ですね.この振戦は1秒間に4~7回程度の周期の振戦で,回数を数えることができるというのが特徴ともいえますね.特に,安静時振戦(rest tremor)が有名ですよね.Parkinson病の振戦に特徴的な所見は他にわかりますか?

研修医C 丸薬まるめ様振戦(pill-rolling tremor)は特徴的だと思います.

指導医 そうですね.ほかにも,DIP関節とPIP関節は伸展し,MP関節は屈曲する姿勢をとることや歩行でしばしば増強すること,暗算などの負荷や注意をそらすことでしばしば増強することが挙げられます.また,Parkinson病の振戦には左右差があるのが普通なので,これも覚えておくといいでしょう.

研修医A Parkinson病の筋固縮にも特徴はあるのでしょうか.

指導医 そうですね.歯車様固縮(cogwheel rigidity)といわれる固縮が特徴的ですね.これを診察するときにどうしたらよいと思いますか.

研修医B 患者の緊張を解いて診察します.何かで気をそらせたり,反対側の上下肢の随意運動を指示したりしながら診察すると,緊張が解けると思います.

指導医 そうしながら,肘関節,手関節,前腕の回内・回外,頸部の回旋・前後屈をさせてみるといいでしょう.

Parkinson病の歩行障害

指導医 歩行障害はParkinson病の主要な症状ですが,Parkinson病以外にもパーキンソニズムを呈する疾患は何がありますか?

(つづきは本誌をご覧ください)