●聖路加Common Diseaseカンファレンス | |||||||
第17回[内分泌内科編] 糖尿病緊急症(低血糖・高血糖)へ的確に対応しよう
松田 道隆(聖路加国際病院内科)
指導医 今回は糖尿病治療患者の緊急症として,低血糖と高血糖をとりあげます.いずれも救急外来で遭遇することが多い疾患ですが,以下の具体例を通じて勉強し,すばやく的確な治療ができるようにしましょう.
■症例1
|
表1 意識障害のAIUEOTIPS | |
|
研修医 50%ブドウ糖40mlを静注します.
指導医 既往のわからない患者では,Wernick脳症を予防するためにビタミンB1(メタボリン ®100mg)をブドウ糖と一緒に投与するのも大事ですね.この患者はこの対応ですぐに意識清明となりました.もし低血糖に気づかずCTを撮りに行っていれば,CT室で低血糖による痙攣を起こしていたかもしれません.
研修医 動悸やおかしな言動は何だったのでしょうか.
指導医 いずれも,低血糖による症状で説明できます.動悸は血糖を上げようとするアドレナリンなどの拮抗ホルモンによる交感神経症状で,冷汗や振戦とともに血糖値60mg/dl以下で現れます.低血糖患者にとってのいわば警告症状となり,重要です.一般に,表2に示す症状は低血糖の度合いの目安になります.
表2 低血糖の症状 | |
|
さて,意識回復後に行った問診で,患者は糖尿病をもっておりアマリール®3mg錠を1日2回飲んでいることがわかりました.血液検査ではアルコールは検出されず,肝機能正常,クレアチニン4.75mg/dl[eGFR(推定糸球体濾過量)15]と腎機能障害を認めましたが,電解質異常は認めませんでした.次はどうしますか.
(つづきは本誌をご覧ください)