HOME > 雑 誌 > medicina > バックナンバー一覧 > 56巻6号(2019年5月号) 特集の理解を深めるための31題
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特集の理解を深めるための31題


問題1

糖尿病患者の平均死亡時年齢は,日本人全体と比べてどうか.

A
8歳以上短い.
B
4歳以上短い.
C
2歳以上短い.
D
1歳以上短い.
E
短くない.

問題2

初回検査でHbA1c 6.5%であった場合,別の日の再検査で糖尿病と診断されるのは次のうちどれか.

A
75 g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)1時間値200 mg/dL
B
HbA1c 6.8%
C
空腹時血糖値130 mg/dL
D
随時血糖値180 mg/dL
E
75 gOGTT 2時間値180 mg/dL

問題3

血糖値と間質液中のブドウ糖濃度の関係で,最も近いものはどれか.

A
低血糖発作時は血糖値のほうが間質液中ブドウ糖濃度よりも高い.
B
食直後は血糖値のほうが間質液中ブドウ糖濃度よりも高い.
C
超速効型インスリン投与30分後は血糖値のほうが間質液中ブドウ糖濃度よりも高い.
D
運動後は血糖値のほうが間質液中ブドウ糖濃度よりも高い.
E
食事や運動などの血糖変動をきたす要因がない場合でも,血糖値のほうが間質液中ブドウ糖濃度よりも必ず高い.

問題4

会社健診でHbA1c 10%の糖尿病を指摘された40歳男性.他に病気はない.食事・運動療法に加えて,メトホルミン1,500 mgの処方で,HbA1cは1年かけて6.3%まで改善してきた.楽しんで運動しており,腹痛・下痢など消化器症状もなく,ウエスト周りがすっきりしたことで本人は現在の治療に満足している.今後の治療方針として適切なものはどれか.

A
HbA1c 7.0%未満を達成したので,食事・運動療法は手を抜いてよいことを説明する.
B
HbA1c 7.0%未満を達成したので,メトホルミンを中止する.
C
HbA1c 6.0%未満を目指し,引き続き治療を続けるよう励ます.
D
HbA1c 6.0%未満を目指し,スルホニル尿素(SU)薬を追加して治療を強化する.
E
HbA1c 6.0%未満を目指し,DPP-4阻害薬とSGLT2阻害薬の配合錠を追加する.

問題5

入院患者の血糖コントロールが急激に悪化した場合,確認すべき情報として誤っているものはどれか.

A
内服歴
B
血液生化学的検査
C
眼科検査
D
点滴オーダー
E
家族歴

問題6

サルコペニアの予防に推奨されている食事療法は以下のうちどれか.

A
炭水化物50%以上
B
蛋白質1.0 g/kg体重以上
C
蛋白質1.5 g/kg体重以上
D
蛋白質20%以下
E
脂質25%以下

問題7

糖尿病治療における運動療法について,誤っているものを2つ選べ.

A
週3~5回,中等度の有酸素運動を計150分行うことを推奨する.
B
活動量計で身体活動量を把握したり,具体的な目標を設定したりすることが,身体活動の向上につながる.
C
運動療法を実施している患者は2割程度である.
D
食後の軽度・短時間の散歩は血糖値を改善しない.
E
座っている時間を分断するだけでも血糖値は改善する.

問題8

34歳女性.妊娠中の精査で妊娠糖尿病と診断された.糖尿病の家族歴があり,妊娠前より重度の肥満を認めていた.食事療法では目標とする血糖値は達成しなかった.以下の薬剤のうち使用すべきものはどれか.

A
ビグアナイド薬(メトホルミン)
B
スルホニル尿素(SU)薬
C
インスリン
D
DPP-4阻害薬
E
SGLT2阻害薬

問題9

以下のA~Eの疾患を合併した2型糖尿病症例のうち,ビグアナイド薬(メトホルミン)の投与が適切であるのはどれか.

A
急性心筋梗塞の直後
B
アルコール性肝硬変
C
慢性閉塞性肺疾患(在宅酸素療法中)
D
慢性腎臓病(eGFR<30 mL/分/1.73 m2
E
非アルコール性脂肪肝(軽度肝機能障害)

問題10

DPP-4阻害薬の特徴と使用上の注意について,正しいものを2つ選べ.

A
DPP-4阻害薬は他剤と併用しても低血糖リスクが少ない.
B
インスリン初期分泌不全を主体とする日本人を含む東アジア人では奏効例が多い.
C
ビルダグリプチンは重度肝機能障害患者に対して慎重投与を要する.
D
グリメピリドとDPP-4阻害薬を併用する場合はグリメピリド3 mg/日以下に減量する.
E
DPP-4阻害薬使用中の患者において水疱性類天疱瘡を発症することがある.

問題11

スルホニル尿素(SU)薬による低血糖リスクが高い症例として,適切でないものはどれか.

A
若年者
B
HbA1c低値
C
腎機能障害例
D
高用量のSU薬使用
E
インクレチン(GLP-1受容体作動薬とDPP-4阻害薬)併用

問題12

正常血糖糖尿病ケトアシドーシス(euDKA)の要因として,DKAと比べて重大なものはどれか.

A
血中インスリン濃度
B
インスリン抵抗性
C
組織ブドウ糖処理
D
内因性グルコース産生
E
尿糖クリアランス率

問題13

α-グルコシダーゼ阻害薬の投与が禁忌となるのはどれか.

A
開腹手術の既往または腸閉塞の既往がある患者
B
Roemheld症候群,重度のヘルニア,大腸の狭窄・潰瘍などの患者
C
重症感染症,手術前後,重篤な外傷のある患者
D
重篤な肝機能障害のある患者
E
重篤な腎機能障害のある患者

問題14

チアゾリジン薬を投与しても問題ないと考えられる病態を2つ選べ.

A
心不全
B
腎不全
C
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)/非アルコール性脂肪肝炎(NASH)
D
ヨード造影剤使用時
E
膀胱癌治療中

問題15

43歳男性.健診歴はなし.感冒で近医を受診した際に高血糖を指摘され,当院紹介受診.受診時の身長172 cm,体重96 kg,body mass index(BMI)32.4 kg/m2.意識は清明で,口渇,多飲,多尿の自覚あり.血液検査で空腹時血糖298 mg/dL,HbA1c 14%であった.追加で行った検査で抗GAD抗体は陰性,血清CPR 1.86 ng/mL.尿ケトン(1+)であり,重篤な肝障害,腎障害はなく,感染症などの他疾患の合併は認めない.この患者において当てはまらないのはどれか.

A
インスリン療法の絶対的適応である.
B
インスリン療法の相対的適応である.
C
高度肥満ではない.
D
インスリン依存状態ではない.
E
ソフトドリンク多飲の有無など食事内容を確認する必要がある.

問題16

GLP-1受容体作動薬の特徴について,誤っているものを2つ選べ.

A
GLP-1受容体作動薬を痩せた高齢2型糖尿病患者に使用する場合には,体重減少に注意する必要がある.
B
インスリン強化療法をしている要介護状態の2型糖尿病患者では,治療を簡便化するために,インスリン治療はすべて中止し,週1回注射のGLP-1受容体作動薬を積極的に開始するのがよい.
C
インスリン療法で血糖コントロールが不十分な肥満2型糖尿病患者では,GLP-1受容体作動薬を併用すると効果的な場合がある.
D
DPP-4阻害薬でコントロール不十分な2型糖尿病患者では,GLP-1受容体作動薬を併用すると効果的な場合がある.
E
GLP-1受容体作動薬は,通常用量で使用する場合はDPP-4阻害薬よりも血糖降下作用が大きい.

問題17

シックデイの時の対応として誤っているものを2つ選べ.

A
メトホルミンの内服を中止した.
B
普段より頻回に血糖測定を行った.
C
口渇が改善するまで清涼飲料水を十分に摂取した.
D
糖質中心の食べやすい食品を少しずつ摂取した.
E
摂食不良であったが血糖値が高かったため,SGLT2阻害薬を普段同様に内服した.

問題18

糖尿病を有する患者において,重症低血糖を防ぐために重要となることを2つ選べ.

A
全患者で治療コントロール目標をHbA1c 7.0%未満とする.
B
インスリン製剤,スルホニル尿素(SU)薬,グリニド薬などを使用している場合,低血糖症状の有無を積極的に問診する.
C
患者が健常者と同等の血糖コントロールを希望した場合,SU薬を増量する.
D
SU薬とDPP-4阻害薬を併用する場合はSU薬の減量を考慮する.
E
低血糖症状の訴えがなければ,重症低血糖のリスクは少ない.

問題19

糖尿病ケトアシドーシスの所見として認めることが最も少ないものはどれか.

A
高血糖(≧300 mg/dL)
B
尿中ケトン1+~3+
C
高浸透圧血症(≧320 mOsm/L)
D
アシドーシス(pH≦7.30,HCO3-≦8 mEq/L)
E
血清総ケトン体≧3 mmol/L

問題20

糖尿病患者に対する教育・療養支援について正しいものはどれか.

A
個別教育のみが糖尿病治療に有効である.
B
組織化された糖尿病自己管理教育と療養支援は有効である.
C
心理的・行動学的アプローチは糖尿病治療に有効である.
D
糖尿病治療は専門医のみで完結すべきである.
E
通院中断患者への電話や郵便物での受診勧奨は行うべきではない.

問題21

糖尿病網膜症に関する以下の記述のうち,正しいものはどれか.

A
単純網膜症は血糖コントロールによって改善する可能性がある.
B
糖尿病罹病期間と糖尿病網膜症の発症率には関連がない.
C
増殖網膜症と診断されたので,速やかに血糖コントロールを改善した.
D
糖尿病黄斑浮腫は単純網膜症では生じない.
E
増殖前網膜症では視力低下や変視といった視力障害を認めることが多い.

問題22

アルブミン尿を呈しておらず,糸球体濾過量(GFR)の低下が軽度な高血糖患者に対して,血糖降下作用ならびに腎機能低下予防のために適切と考えられる糖尿病治療薬はどれか.

A
メトホルミン
B
DPP-4阻害薬
C
スルホニル尿素(SU)薬
D
α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)
E
SGLT2阻害薬

問題23

下記の慢性疾患のうち,糖尿病神経障害の発症・進展のリスクファクターとなるものを2つ選べ.

A
高LDLコレステロール血症
B
低HDLコレステロール血症
C
高尿酸血症
D
高血圧
E
慢性閉塞性肺疾患(COPD)

問題24

大規模臨床試験により2型糖尿病患者に対する心血管疾患予防効果が実証されている薬剤を2つ選べ.

A
サキサグリプチン
B
エンパグリフロジン
C
シタグリプチン
D
ピオグリタゾン
E
リラグルチド

問題25

次のうち,正しいものを2つ選べ.

A
現在のHbA1c,血糖値が良好であれば足病変の危険性は低い.
B
足の観察や処置は患者自身で行わず,フットケア外来の専門スタッフに任せるべきである.
C
フットケアは白癬や外傷などが明らかな場合に開始し,状態の改善をもって終了とする.
D
フットケアの目標は,患者が自身の足のケアを習得し合併症のない生活を送ることである.
E
フットケアには複数の職種の医療スタッフが関わることが望ましい.

問題26

以下のうち,正しいものはどれか.

A
糖尿病患者の血圧は,“the lower, the better”である.
B
糖尿病患者の脳卒中リスクは収縮期血圧120 mmHg未満の厳格な血圧管理により低減する.
C
降圧により糖尿病網膜症の進展は抑制されない.
D
糖尿病患者に対して使用する降圧薬の第一選択はカルシウム拮抗薬である.
E
アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬やアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)によりインスリン抵抗性が増悪することがあり,注意が必要である.

問題27

LDL-Cを低下させる以下の薬物のうち,心血管イベントを減少させる効果が証明されていない薬物はどれか.

A
陰イオン交換樹脂
B
ニコチン酸
C
HMG-CoA還元酵素阻害薬
D
小腸コレステロールトランスポーター阻害薬
E
PCSK9阻害薬

問題28

下記の薬剤のうち,体重増加をきたしやすいものを2つ選べ.

A
インスリン
B
ビグアナイド薬
C
DPP-4阻害薬
D
スルホニル尿素(SU)薬
E
SGLT2阻害薬

問題29

80歳女性.高血圧,骨粗鬆症,心不全・狭心症で治療中.要介護2,中等度の認知症あり.body mass index(BMI)25.0 kg/m2,糖尿病網膜症なし,腎症1期(eGFR 45 mL/分/1.73 m2).SGLT2阻害薬で治療中であり,HbA1c 8.0%である.次に行うべき治療を2つ選べ.

A
スルホニル尿素(SU)薬
B
ビグアナイド薬
C
チアゾリジン誘導体
D
DPP-4阻害薬
E
食事・運動療法

問題30

糖尿病とがんとの関係について,誤っているものはどれか.

A
日本人糖尿病患者の死因第1位はがんである.
B
糖尿病を有する人は有さない人に比べて,肝臓がん,膵臓がん,大腸がんなどのリスクが上昇する.
C
2型糖尿病患者の血糖コントロールが急激に悪化した場合,がん発症の可能性を疑う.
D
糖尿病患者の血糖値を下げるとがんリスクが低減することが証明されている.
E
膵臓がん患者では,糖尿病を発症するリスクが高い.

問題31

67歳女性.15年来の2型糖尿病にてリナグリプチン5 mg/日を内服し,HbA1c 6.8%.人間ドックの骨密度検査(DXA法)で腰椎YAM(若年成人平均値)の71%,大腿骨頸部YAMの68%であった.
これまで骨折の既往はない.身長157 cm,体重60.3 kg.細小血管合併症は,神経障害あり,網膜症なし,腎症2期.ステロイド薬の服用はない.最も適切な治療方針は以下のどれか.

A
経過観察
B
リナグリプチンからインスリン皮下注に変更
C
カルシウムと共にリンの摂取を励行
D
ビスホスホネート薬投与
E
カルシトニン薬投与

(解答は本誌掲載)