今月の主題「理解のための26題」問題1発症予防の対策がないものはどれか.2つ選べ. A:肝癌
問題2リンパ節生検を考慮する必要があるものは次のうちどれか.2つ選べ. A:右鼠径部の1 cm大リンパ節
問題3真性多血症で認められない所見はどれか.2つ選べ. A:JAK2遺伝子の変異 問題4次のうち正しいものはどれか.1つ選べ. A:白血球数は日内変動,年齢,運動,喫煙などによって生理的変動が認められる.
問題5次のうち正しい記述はどれか.1つ選べ. A:採血手技や採血管のEDTAによる凝集によって,血小板数が偽低値を示すことがある.
問題672歳,男性.労作時息切れと倦怠感のため来院.白血球数3,200/μl,赤血球数116×104/μl,Hb 5.5 g/dl,Ht 15.6%,血小板数11.5×104/μl.末梢血の過分葉好中球と大楕円赤血球を認めた.食事もきちんと摂取できており,飲酒はほとんどしない. 本症例でまったく合致しないと考えられないものを1つ選べ. A:抗内因子抗体陽性
問題7可溶性IL-2レセプター(sIL-2R)の測定が有用であるのはどの場合か.2つ選べ. A:リンパ腫の確定診断
問題846歳,女性.頭痛と鼻出血のため,近医受診.汎血球減少症を指摘され,紹介となった.まず行うべき検査(項目)はどれか.2つ選べ. A:網状赤血球比率
問題928歳,男性.約1年前から38℃台の発熱,盗汗が間欠的にみられ,近医にて解熱薬の投与を受けていた.体重が1年間で7 kg減少し,全身倦怠感も出てきた.頸部リンパ節腫脹が出現したため,紹介され来院した.頸部リンパ節の生検標本を以下に示す.最も考えやすい疾患はどれか.1つ選べ. A:びまん性大細胞型リンパ腫
問題10症候性骨髄腫の臓器障害として合致しないのはどれか.1つ選べ. A:血清クレアチニン値 1.8 mg/dl 問題11血液悪性疾患の合併症と治療薬の組み合わせで正しいものはどれか.2つ選べ. A:播種性血管内凝固症候群―ラスブリカーゼ
問題12血液悪性腫瘍の罹患・死亡動向に関して,正しいものを1つ選べ. A:血液悪性腫瘍の年齢調整死亡率は依然増加傾向である.
問題13血液腫瘍について,次のうち正しいものはどれか.2つ選べ. A:白血病のなかには,白血球が増加しないタイプもある.
問題14分子標的薬が初期治療に用いられないのはどれか.2つ選べ. A:急性骨髄性白血病(急性前骨髄球性白血病を除く)
問題15急性リンパ性白血病(ALL)で第一寛解期の移植適応ではないのはどれか.1つ選べ. A:Ph陽性ALL
問題16急性骨髄性白血病の寛解導入療法として至適な治療法はどれか.1つ選べ. A:ダウノルビシンとシタラビンの併用療法
問題1769歳,男性.健康診断で白血球増加を指摘され,精査を希望して来院.白血球数は35,000/μl,うちCD5,CD20陽性小型成熟Bリンパ球が90%,ヘモグロビン6.5 g/dl,血小板数8.5×104/μl.骨髄には同様のリンパ球を45%認めた.全身性に表在リンパ節を最大1 cm大触知し,脾腫を認めた.本例への適切な対応はどれか.1つ選べ. A:特に治療は行わず経過観察する.
問題18慢性骨髄性白血病(CML)について正しいものを1つ選べ. A:染色体転座t(8;21)によりフィラデルフィア染色体が形成される.
問題1921歳,女性.長径7 cm大の縦隔腫瘤に対して針生検を行ったところ,Hodgkinリンパ腫・結節硬化型と診断された.頸部から骨盤部までのCTではほかに病変を認めず,骨髄浸潤もなかった.適切な方針はどれか.1つ選べ. A:経過観察
問題20以下の文章のうち,正しいものを1つ選べ. A:節外性非Hodgkinリンパ腫が最も好発する臓器は鼻である.
問題21骨髄腫の治療方針として正しいのはどれか.1つ選べ. A:M蛋白を発見したら,骨髄穿刺を行い,形質細胞の増加が認められれば治療を開始する.
問題22骨髄異形成症候群の治療として誤っているのはどれか.1つ選べ. A:脱メチル化薬
問題232000年に確立された新WHO分類において,骨髄異形成症候群に含まれない疾患はどれか.1つ選べ. A:芽球増加型不応性貧血(RAEB)
問題24非Hodgkinリンパ腫の初回治療後CRを得ている患者のフォローアップにおいて,特に重要なものはどれか.2つ選べ. A:体重減少,発熱,疼痛,新たなリンパ節腫脹など自覚症状に関する問診
問題25多発性骨髄腫に関する記述で正しいものを1つ選べ. A:多発性骨髄腫は終末分化段階の細胞である形質細胞の腫瘍であるため,細胞の増殖性は高くない一方で,蛋白合成が盛んなことが代謝上の特徴とされている.多様な蛋白の遺伝子がコードされたDNA上の情報を読み取るために,細胞内では核体積が増加するため,核細胞質比率では細胞内に占める核の比率が高いことが形態上の特徴とされている. B:多発性骨髄腫は免疫グロブリンを産生する形質細胞の腫瘍であるため,一部の例外を除き,単一細胞由来の細胞集団による単一の免疫グロブリンないし単一の免疫グロブリン分子の一部分が血液ないし尿中に検出される.これをM蛋白と定義している.このM蛋白もグロブリン分子の一種なのでαヘリックス部分とβシート部分に分かれるが,M蛋白が蛋白分解反応を受けα-ヘリックス部分とβシート部分に分解され,組織に難溶性のαヘリックス部分が沈着した場合を骨髄腫に伴うアミロイドーシスと定義している. C:多発性骨髄腫では,多様な機序を介し腎障害をきたすことが知られている.M蛋白の腎臓内沈着やM蛋白が蛋白分解されて生じたアミロイド蛋白の腎臓内沈着,また高カルシウム血症に伴う腎障害,易感染性による尿路感染症,治療薬や合併症治療薬による薬剤性腎障害などが主なものである.なお,急性白血病と骨髄腫の大きな差異は,腫瘍性白血球が骨髄にとどまるか末梢循環を流れるかである.骨髄腫では形質細胞性白血病に病型移行しない限り,骨髄腫細胞が末梢循環を流れることはない.このため,白血病に比べ,骨髄腫では腫瘍性血球の腎臓への直接浸潤による腎障害が発症しないことが特徴とされている. D:多発性骨髄腫では,多様な機序を介し骨病変をきたすことが知られている.多くの症例では,骨髄腫由来物質により破骨細胞が活性化される一方で,ほかの骨髄腫由来物質により造骨細胞(=骨芽細胞)の機能が抑制されることにより,著明な骨基質減少性病変や溶骨性病変をきたすことが知られている.また,一部の稀な症例では逆に骨硬化性病変をきたすことも知られている.これら骨障害に対する治療は,溶骨性病変を認める場合には骨髄腫細胞の抑制と,破骨細胞抑制療法が主体となる.ゾレドロン酸は破骨細胞抑制作用が強力なため,標準的な支持療法として用いられるが,消化管からの良好な吸収率から経口投与が原則とされている. E:多発性骨髄腫では,多様な原因により意識障害を呈する.腎障害が重篤化することによる尿毒症,骨破壊の進展時の高カルシウム血症,完全分子型M蛋白の増加による高粘稠度症候群,骨髄腫細胞中枢神経浸潤,易感染性に伴う中枢神経系感染症などがその主な原因とされている.なお骨髄腫では肝疾患がなくても,高アンモニア血症をきたすことがあり,意識障害の鑑別診断の一つとして考慮すべきである.骨髄腫に伴う高アンモニア血症は骨髄腫自体の治療により軽快することが一般的である. 問題26同種造血幹細胞移植後の慢性移植片対宿主病(GVHD)について,正しいものを1つ選べ. A:症状は皮膚と消化管と肝臓に限局してみられることが多い.
(解答は本誌掲載) |