HOME雑 誌medicina誌面サンプル 46巻7号(2009年7月号) > 今月の主題「理解のための29題」

今月の主題

「理解のための29題」


問題01

次に示す消化管異物のうち,早急に摘出術を行う必要がないものはどれか.1つ選べ.

A:爪楊枝
B:有鈎義歯
C:針
D:コイン
E:アルカリ電池


問題02

次のなかから正しいものを1つ選べ.

A:内視鏡には必ず鎮痛薬を使う.
B:モデルを使って内視鏡の練習をしても意味がない.
C:胃カメラと内視鏡の構造は同じである.
D:IC(インフォームドコンセント)をとると内視鏡の偶発症は免責される.
E:内視鏡の観察について遠近の両方でみたほうがよい.


問題03

出血リスクの高い消化器内視鏡治療を行う際,正しいのはどれか.1つ選べ.

A:ブチルスコポラミンの投与により心拍数は増加する.
B:すべての抗血小板薬の作用は血小板寿命の限り継続している.
C:ワルファリンは出血リスクが高いので,検査前に中止すべきである.
D:抗血小板療法は抗凝固療法よりも出血リスクが低いので継続投与可能である.
E:再狭窄率の低い薬物溶出性ステント留置後は,抗血小板療法の中断は可能である.


問題04

2週間持続する心窩部痛と黒色便を主訴に来院した中年男性.まず,施行すべき検査はどれか.1つ選べ.

A:CO2呼気テスト
B:上部消化管X線造影検査
C:上部消化管内視鏡検査
D:胸部単純X線検査
E:腹部超音波検査


問題05

大腸癌検診について正しいのはどれか.1つ選べ.

A:大腸癌は女性死因の第1位である.
B:便潜血検査は二次検診として行われている.
C:便潜血陽性者は20%ほどである.
D:発見される癌は進行癌が80%を占める.
E:便潜血検査陰性者は,5年間検診の必要はない.


問題06

食道の内視鏡診断で正しいのはどれか.

A:ヨード染色で不染性を示せば食道癌である.
B:0-IIc型食道癌はNBIで白色調を示す.
C:Barrett腺癌の診断にヨード染色が有用である.
D:食道アカラシアは内視鏡では診断できない.
E:食道の潰瘍性病変はヨード染色で“毛羽様濃染像”を示せば良性である.


問題07

H. pylori除菌判定のための検査法として薦められる方法を2つ選べ.

A:迅速ウレアーゼ試験
B:培養法
C:尿素呼気試験
D:抗H. pylori抗体測定
E:便中H. pylori抗原測定


問題08

主訴:2日前の吐血と上腹部痛.内視鏡検査にて胃角部に図1のようなやや不整形の潰瘍を認め,潰瘍底には凝血塊の付着も認めた.生検では癌を認めず投薬にて経過観察した.自覚症状は数日で消失した.
2カ月後,潰瘍は図2のように縮小を認めた.
診断は次のどれか.

A:胃潰瘍瘢痕で治癒しており,抗潰瘍薬の投薬の必要はない.
B:胃潰瘍瘢痕で治癒しており,この時点でH. pylori除菌を行う.
C:胃潰瘍はまだ瘢痕化しておらず,抗潰瘍薬の投薬を続ける.
D:早期胃癌であり,再度生検して確認後,手術する.
E:進行胃癌であり,再度生検して確認後,化学療法する.


問題09

胃生検採取の正しい手技,操作はどれか.1つ選べ.

A:検体採取時に生検鉗子ハンドルは急いで閉じるほうがよい.
B:胃体部前壁は生検困難部位である.
C:胃体部後壁は生検困難部位である.
D:左側臥位で胃体部から複数個検体採取する場合,肛門側(遠位側)から採取するほうがよい.
E:スコープ反転生検は危険なのですべきではない.


問題10

食道扁平上皮癌の診断に用いる色素を1つ選べ.

A:インジゴカルミン
B:ヨード
C:コンゴーレッド
D:酢酸
E:クリスタルバイオレット


問題11

超音波内視鏡検査における健常消化管の層構造のうち,固有筋層のエコー像はどれか.1つ選べ.

A:第1層の高エコー
B:第2層の低エコー
C:第3層の高エコー
D:第4層の低エコー
E:第5層の高エコー


問題12

内視鏡止血法の特徴で正しいものはどれか.1つ選べ.

A:クリップは組織傷害作用が強い.
B:純エタノール局注により潰瘍が拡大することがある.
C:ヒータープローブは出血源を正面視できないと止血が困難である.
D:アルゴンプラズマは動脈性出血に有効である.
E:HSE(高張Naエピネフリン溶液)は1回の止血治療で完遂する.


問題13

食道静脈瘤の診断と治療について正しいのはどれか.1つ選べ.

A:内視鏡的硬化療法(EIS)の硬化剤として70%エタノールを用いる.
B:内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)の合併症として腎障害がある.
C:red color(RC)signは静脈瘤形態を表している.
D:白色フィブリン栓はすみやかに治療すべきである.
E:ショック状態でも内視鏡的止血術を優先して行う.


問題14

次の中から内視鏡治療の絶対適応となる食道扁平上皮癌病変はどれか.2つ選べ.

A:腫瘍径10 mmのMM癌
B:腫瘍径30 mmのLPM癌
C:全周性のEP癌
D:3/4周性のMM癌
E:腫瘍径20 mmのEP癌


問題15

内視鏡治療の適応となる疾患はどれか.1つ選べ.

A:大きさ40 mmで潰瘍瘢痕を伴う分化型粘膜内癌
B:大きさ28 mmの未分化型粘膜内癌
C:大きさ5 mmの過形成性ポリープ(出血を伴わないもの)
D:大きさ70 mmの潰瘍瘢痕を伴わない分化型粘膜内癌
E:大きさ35 mmでひだの集中像より粘膜下層浸潤があると思われる分化型癌


問題16

PEGに関して誤っているものを1つ選べ.

A:PEGは長期栄養管理に有効である
B:小児はPEGの適応とならない
C:PEGは局所麻酔でも造れる
D:Introducer法はPull/Push法より術後創部感染が少ない
E:PEG後の入浴は問題ない


問題17

消化管狭窄に対するバルーン拡張術とステント留置術に関する記述で正しいのはどれか.1つ選べ.

A:バルーン拡張術を試みて効果のない狭窄に対してステント留置術を行う.
B:バルーン拡張術と比べステント留置術は重大な早期偶発症が発生しやすい.
C:バルーン拡張術で用いるバルーン径は最初から目的径のものを選択する.
D:バルーン拡張術では,バルーンは緩徐に拡張することが望ましい.
E:バルーン拡張の際,強い疼痛を伴うため十分な鎮静薬を投与すべきである.


問題18

大腸内視鏡像を示す(図1).この疾患について正しいのはどれか.1つ選べ.

A:ホットバイオプシーの適応がある.
B:内視鏡的粘膜切除術の適応がある.
C:外科的手術の適応がある.
D:化学療法が第一選択である.
E:基本的に経過観察でよい.


問題19

大腸癌症例で内視鏡的治療の適応を示唆するEUSの所見はどれか.1つ選べ.

A:低エコー腫瘤像が第2層までにとどまっている.
B:低エコー腫瘤像が第3層中央部に及ぶ.
C:低エコー腫瘤像が第3層深層に及んでいる.
D:低エコー腫瘤像が第4層に及んでいる.
E:低エコー腫瘤像と隣接臓器の子宮との境界が不明瞭である.


問題20

次の中で正しいものはどれか.2つ選べ.

A:縦走潰瘍は潰瘍性大腸炎の診断基準の1つである.
B:腸結核の内視鏡所見の特徴は回盲部に打ち抜きの潰瘍を認めることである.
C:cryptoabcessが認められれば潰瘍性大腸炎と診断される.
D:潰瘍性大腸炎にサイトメガロウイルスを合併することがある.
E:Crohn病の病理学的特徴の1つは非乾酪性肉芽腫である.


問題21

62歳,男性.基礎疾患はなし.便潜血陽性で下部消化管内視鏡を施行され,S状結腸に30 mm大LST(側方発育型大腸腫瘍:laterally spreading tumor)を認めた.拡大観察などによる深達度診断は,粘膜下層深部浸潤癌であった.胸腹部造影CT,腹部エコーなどでは明らかな遠隔転移やリンパ節転移を認めなかった.最も適切な治療法はどれか.1つ選べ.

A:アルゴンプラズマ凝固法(APC)
B:内視鏡的粘膜切除術(EMR)
C:内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)
D:腹腔鏡手術
E:放射線化学療法


問題22

大腸憩室出血の治療法として適当でないのはどれか.2つ選べ.

A:エタノール局注法
B:高張Na-エピネフリン液(HSE)局注法
C:クリップ法
D:ヒータープローブ法
E:interventional radiology(IVR)


問題23

ERCPおよび関連手技について適当でないものはどれか.1つ選べ.

A:総胆管結石嵌頓に伴う胆石膵炎症例に対するERCPは禁忌である.
B:膵管・胆管擦過細胞診を要する症例はERCPの適応となる.
C:IDUSやPCSを胆管癌の進展範囲の診断に用いる場合がある.
D:膵液・胆汁吸引細胞診を要する症例はERCPの適応となる.
E:ERCP後に注意すべき偶発症として術後膵炎が挙げられる.


問題24

超音波検査,超音波内視鏡で正しくないのはどれか.

A:周波数が高いほど分解能は高いが,他方,減衰する.
B:体外式超音波検査による胆管結石の診断率は高い.
C:体外式超音波検査で膵管の拡張は,膵癌を疑うべきである.
D:超音波内視鏡は,胆膵系の早期癌診断に有用である.
E:超音波内視鏡下穿刺術(EUS-FNA)は,他の画像診断で胆膵系の確定診断ができない時は,適応である.


問題25

内視鏡的乳頭切開術の適応にならないのはどれか.

A:白血球数    24,000/μl
B:総ビリルビン 3.5 mg/dl
C:ヘモグロビン 10.5 g/dl
D:g-GTP     450 IU/l
E:血小板数   10,000/μl


問題26

閉塞性黄疸例にまず行うべき治療はどれか.1つ選べ.

A:超音波内視鏡下穿刺吸引術
B:経皮経肝胆管ドレナージ術
C:内視鏡的胆管ドレナージ術
D:外科的胆管外瘻術
E:内視鏡的胆嚢ドレナージ術


問題27

経鼻内視鏡の特徴について誤っているものはどれか.1つ選べ.

A:咽頭反射が少ない.
B:鼻腔(鼻道)の麻酔が重要である.
C:鼻出血が止まりにくい患者は適応外である.
D:上部消化管のスクリーニングに適している.
E:上部消化管における処置内視鏡に適している.


問題28

カプセル内視鏡検査が禁止とならないものは以下のどれか.2つ選べ.

A:嚥下障害のある患者
B:妊娠をしている患者
C:14歳の男児
D:心臓ペースメーカー挿着中
E:肝硬変


問題29

19歳男性,下血にて受診.血液検査ではヘモグロビンが4.6 g/dlと減少していた.上下部消化管内視鏡検査では出血源となる病変はなかった.小腸からの出血を疑い経肛門的ダブルバルーン内視鏡検査を行ったところ,回盲弁から100 cmの小腸に図1のような病変を認め,その奥には出血源と思われる潰瘍(図2の矢印)を認めた.診断名を選べ.

A:Meckel憩室
B:NSAID腸炎
C:小腸結核
D:Crohn病
E:非特異性多発性小腸潰瘍症


(解答は本誌掲載)