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病院 2013年11月号(72巻11号)巻頭言

特集
診療支援業務の新潮流

伊関 友伸 (城西大学経営学部教授)


 医療の高度・専門化や人口の高齢化による患者の増大に伴い,診療支援を行う職員も多様化し,その業務は拡大している.例えば,診療情報管理士は,2000年4月の診療報酬改定で診療録管理体制加算が新たに設けられたことにより注目を集め,病院内における配置が進むこととなった.そして,その業務も,病院におけるDPCの普及により,診療録の物理的な管理から,データベースの構築,さらには情報の加工・分析に発展しつつある.医師事務作業補助者も,2008年に診療報酬制度に位置づけられたことを契機に急速に増加し,日常の診療においてなくてはならない職種になりつつある.

 病院における診療支援職として歴史のある医療ソーシャルワーカーも,わが国において医療連携が医療政策の重要課題となるなかで,その果たすべき役割は一層大きなものとなってきている.さらには,先進的な病院において,患者・家族の生活面をサポートする医療コンシェルジュや院内弁護士などが配置されるなどの動きもある.

 診療支援職員は,病院に求められる業務が高度化しその量も増加するなかで,専門職の間,患者と専門職の間をつなぐ職として,なくてはならない存在になっている.身分や待遇問題,研修体制やキャリアデザインのあり方など,解決すべき課題は少なくないが,診療支援職員の業務は,今後も拡大していくことは確実である.診療支援業務の新しい動きについて特集する.