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病院 2011年11月号(70巻11号)巻頭言

特集
医療計画と二次医療圏の今後

猪口 雄二(医療法人財団寿康会 寿康会病院 理事長)


 1986(昭和61)年に施行された医療計画制度は,二次医療圏を医療提供体制の整備目標単位としている.実際に,病床数のコントロール(規制)に使われており,救急医療体制整備(二次救急)にも利用されている.しかしながら,二次医療圏は病床規制には有効であったものの,各圏内の人口格差,面積,県別ばらつき等が大きく,医療提供体制の完結には程遠い制度であった.

 その後,これまでの基本的な考え方を変更し,2006(平成18)年には新たな医療計画が策定された.こちらは三次医療圏(都道府県)を単位として,「4疾病5事業」を中心に,疾患別医療連携,救急医療体制整備,診療情報の開示等が作られている.今後の医療提供体制はこちらが中心になって進められるものと考えられる.

 本特集では,現在の医療計画の総論として尾方裕也先生(九州大学)に,二次医療圏についての分析を高橋泰先生(国際医療福祉大学)にお願いした.また,都道府県の策定する医療計画や救急医療体制のあり方について河原和夫先生ら(東京医科歯科大学),ならびに小濱啓次先生(川崎医療福祉大学)にお願いした.また,(社)全日本病院協会には,4疾病・5事業に関する調査報告を依頼した.

 都道府県の取り組みについては,各々の「医療計画」「二次医療圏」「救急医療体制整備」等について,概要をまとめていただいた.回答をいただいたのは,北海道・千葉県・長野県・京都府である.多忙な行政作業の中を執筆いただき深謝申し上げたい.

 医療計画は,現在も病床規制に利用されているが,今後は医療機関の機能分化を中心に,さらに介護施設,在宅医療まで含んだ,包括的な制度に発展しなければならない.また,超高齢社会の中で,高齢者に最適な医療・介護の提供についても考慮しなければならない.そして,これに大きな影響を与えるのが診療報酬・介護報酬のあり方である.この点から診ても,平成24年の同時改定は大きな意味がありそうである.

 一方,領土の狭い日本ではあるが,地域により生活・文化は大きく異なっており,一律の方式で医療・介護提供体制を定めることは不可能である.どのような過程で国と地方の制度決定権を棲み分けるのか,東日本大震災の復興過程も含めて,極めて重要な課題と考えられる.