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【特集】

明日のために解くべし!
総合内科問題集

志水 太郎(獨協医科大学総合診療科)


 明日の内科医の教育文化を導く『medicina』誌から今回,総合内科の問題集の企画依頼をいただきました.本誌では以前にも総合内科医向けの問題集の企画(増刊号)がありました.そこで今回の企画をお受けするにあたり,以前とは違う新規性をどのように出すかを考えました.

 現在,私は大学病院の総合診療科に所属しています.獨協医科大学病院総合診療科(獨協総診)は立ち上がってまだ2年の新しい総合診療科です.獨協総診は内科の一部門として,そのほか内科8科(神経,心臓血管,消化器,循環器腎臓,内分泌代謝,血液,呼吸器アレルギー,リウマチ膠原病)という各身体システムに特化した「縦の軸」の科と共存する,各システムを横断する「横の軸」の役割を担っています.横の軸である総合診療科は,①多疾患併存のケア,②症候論的アプローチを主とした,未分化で複雑な健康問題に対する診断・治療,③どのような患者にも共通して適応できる“普遍的部分”と患者ごとに変わる“可変的部分”をバランスよく考慮した医療の実践と教育を行っています.翻って本特集は「総合内科」における,特に臨床現場で必要とされる知識や考え方を評価するのに有用な問題集の企画です.今回は上記の②に注目しました.横断的内科のエクスパティーズとしての総合内科医が各臓器別専門科とやり取りをするときは,各臓器別専門科の領域に足を踏み込むことが多く,そのマージナルゾーンの知識を理解することで,各科の医師たちと健康的で迅速なディスカッションとプラン立案ができるようになります.

 そこで,各臓器・システムの専門医でありながら総合内科のバックグラウンドにも造詣の深い各先生方にお願いし,次世代の総合内科医が理解しておくべき,日常診療に役立つ症例問題計62問をご作成,ご解説いただきました.つまり,本特集のテーマは「各システム領域との横の交流」がテーマという言い方もできます.各先生方に激務の合間を縫って問題をご作成いただけたこと,心より感謝申し上げます.この企画が明日からの総合内科領域の患者ケアのクオリティ向上に貢献することを心より願っています.