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特集

もう見逃さない!迷わない!
非血液専門医のための血液診療

岡田 定(聖路加国際病院血液内科)


 本特集のコンセンプトは,「非血液専門医(一般内科医,研修医,開業医,他領域の専門医など)が,血液診療とどう関わっていけばよいか」にある.血液専門医から非血液専門医に「血液診療のエッセンス」をお届けすること,言わば「非血液専門医への応援歌」をまとめることにある.

 血液疾患というとどのようなイメージをもたれるだろうか.「専門的な疾患」,「比較的稀な疾患」,「急に重症化する疾患」……と,ややもすれば敬遠されがちなイメージかもしれない.学生時代や研修医時代にちょっぴり経験した白血病やリンパ腫の入院患者の印象が,そのような特別なイメージを作りだしているのではないだろうか.でも,現実の血液診療は必ずしもそのようなものではない.通常の日常診療のなかで,貧血,白血球増加,白血球分画異常,血小板減少,出血傾向,リンパ節腫大など,さまざまな血算の異常や血液病態に遭遇することは日常茶飯事なのである.非血液専門医といえども,およその血液診療を理解していなければ,一般内科診療も専門科診療も成り立たないはずである.

 もちろん,非血液専門医には血液疾患の専門的な知識までは必要ない.しかし,重大な血液疾患をいかに見逃さないようにするか,血液専門医にいつ紹介するか,もし血液疾患の患者を診る場合はどこに留意するか,などは必須事項である.

 本特集の「応援歌」は1~5番まである.1番は「この血液疾患を見逃してはいけない―専門医への紹介のタイミング」,2番は「この血算の異常を見逃してはいけない―専門医への紹介のタイミング」,3番は「この血液病態を見逃してはいけない―専門医への紹介のタイミング」,4番は「この血液疾患を誤診してはいけない」,5番は「非血液専門医による血液診療」である.日本のその分野のエキスパートによって,日常診療の目線でまとめられている.

 最初の座談会では,貧血,白血球増加,白血球分画異常,血小板減少,出血傾向,リンパ節腫大の6つのテーマについて,それぞれのクリニカル・パールを提示しながら血液診療のポイントをまとめた.

 本特集が非血液専門医と血液専門医との「血液診療の架け橋」となって,日本の血液診療の向上に少しなりとも貢献できればと思う.