●できる医師のプレゼンテーション-臨床能力を倍増するために | ||
第7回テーマ 「伝える」ことのコツ
川島篤志(市立堺病院・総合内科)
症例プレゼンテーションは,症例の把握をする部分とそれを伝える部分に分かれます。前回までの話は,情報をいかに集めるか,いかに整理するか,と症例把握=内容の部分を話してきました(一部,それぞれの箇所での伝え方のコツもありましたが)。今回は「伝える」ことのコツを全般的に話します。 症例提示のプレゼンテーションに限りませんが,プレゼンテーションをするときのポイントには,内容・声・姿勢・目線・時間が大切になってきます。聴衆を飽きさせることなく,集中力を落とさず,イライラさせることなく,気持ちよく聞いてもらうか,ということを意識しましょう。 あるテキスト1)には,プレゼンテーションを演劇にたとえている(脚本=症例把握能力を基盤にした内容そのもの,役者=研修医,演出=コミュニケーション能力に関連したプレゼンテーション技術)記載がありますが,誰もおもしろくない演劇とわかっていて観にいく人はいないでしょう。観に行った演劇がおもしろくなかったら,時間の無駄と感じるでしょう。観にいっておもしろくない演劇をもう一回,観にいきたいとは思わないでしょう。 子どもの発表会なら,家族の人は喜んで観に来るかもしれませんが,研修医のプレゼンテーションを楽しみにしている指導医は少ないものです。皆さんのプレゼンテーションがつまらない演劇になればなるほど,指導医の気持ちも落ちていくかもしれません。研修医の皆さんもプレゼンテーションが苦痛に感じるかもしれませんが,指導医も同様に苦痛を感じているものです。 ■声基本的には大きく明瞭であったほうが自信があるように聞こえていいでしょう。プレゼンテーションは人に物事を伝えることですので,聞こえにくい/聞こえないのでは問題外です。もちろん,場に適した声の大きさを調整する必要があります。少人数でのディスカッションで大きな声や,個人(患者)の情報が漏れるような場所での大きな声は不要です。早口過ぎるプレゼンテーションはいけませんが,少し早口のほうが締まって聞こえますし,スピードの強弱や効果的な間合いは有用です。単調な,棒読みのプレゼンテーションもいけません。声の強弱も人を引きつける要素です。医師全員がいい声・口調をもっているわけではありません。ただ,小さい声やこもった声,ゆっくりとした,のんびりした口調の人は基本的に不利です。そういう人は,内容でカバーすることももちろんですが,聴衆を「ハッと」させる技術:「仕事用の声」が必要です。 (つづきは本誌をご覧ください)
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