●できる医師のプレゼンテーション-臨床能力を倍増するために | ||
第4回テーマ プレゼンテーションのフォーマット(各論1)
川島篤志(市立堺病院・総合内科)
前回は総論を述べました。今回から3回にわけて各論をお話しします。 ■主訴プレゼンテーションに関する書籍や指導者の声を聞くと,主訴は「患者さんの言葉を使うべきだ!」という意見と,「医学用語を使うべきだ!」という意見があります。これに関してはそれぞれの立場でさまざまな考えがあると思いますので,あまりこだわらず,施設/科単位で決定すればいいと思います。診断に直結するような,もしくは印象に残る言葉でなければ,医学的な表現に変えたほうがわかりやすいと個人的には,思っています。日本では検査目的での入院も少なくありません。ただ,「主訴はありません」というと,不要な突っ込みが入ってくる可能性が高いです。医療機関を受診したきっかけというのはあるはずなので,「現在は無症状ですが……」とか,「○日前に△△が主訴で××を受診し……」と始めたうえで,検査入院であることを伝えるとスムーズかもしれません。また,健康診断/検診での異常の場合も同様です。 主訴からは想像しにくい,何らかの検査異常で入院となることもあるかもしれません。そういった場合に最終的な検査異常を述べてもいいと思います。クイズではないので,伝えることが大切です。 発症の経過(突然,急性,亜急性,緩徐)を伝えるとさらにいいと思います。 次に述べるプロファイルやReview of Systems(ROS)の2項目は日本ではあまり教育されていない部分かもしれません。逆にこの2つが押さえられているプレゼンテーションを聞くと,プレゼンテーション教育を受けているのかな,と感じます。 ■プロファイル患者さんの元々の状態と,今回の入院に関連する情報を交えて1~2文で表現することが求められています。目の前にいない患者さん・自分しか診ていない患者さんを,いかにほかの人に伝え,理解してもらうかということを意識する必要があります。病歴や身体所見を含めて患者さんを把握し,病態を理解することによって,伝わりやすいプロファイルが完成します。(つづきは本誌をご覧ください)
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