HOME > 雑 誌 > medicina > バックナンバー一覧 > 55巻9号(2018年8月号) 特集の理解を深めるための27題
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特集の理解を深めるための27題


問題1

次のうち,誤っているものを2つ選べ.

A
「心室2段脈」では,本人は頻脈として感じる.
B
不整脈中に頸静脈拍動「大砲波」が観察されたら,上室期外収縮である.
C
不整脈の拍動で「脈拍欠損」が生じたら,心室期外収縮を考える.
D
心音の聴診でⅠ音が小さい場合には,「Ⅰ度房室ブロック」が考えられる.
E
頻脈性心房細動例では「脈拍欠損」に留意する.

問題2

以下のうち,Framinghamうっ血性心不全診断基準の大項目に含まれない身体所見はどれか.

A
下腿浮腫
B
頸静脈怒張
C
Ⅲ音
D
肝・頸静脈逆流
E
湿性ラ音

問題3

収縮期雑音に関する以下の記載のうち,正しいものを2つ選べ.

A
収縮期雑音は聴取する領域によって診断が大きく異なる.
B
機能性雑音は拡張期にも聴取することがある.
C
心房中隔欠損症は胸骨左縁上部に収縮期雑音を聴取する.
D
吸気により,左心の心雑音が増強される.
E
弁膜症が高度になるほど,収縮期雑音は強くなる.

問題4

Austin-Flint雑音について誤っているものはどれか.

A
拡張中期ランブルを心尖部に聴取する.
B
軽度の大動脈弁閉鎖不全症で聴取されることが多い.
C
僧帽弁狭窄雑音との鑑別ポイントは僧帽弁開放音の有無であり,Austin-Flint雑音は僧帽弁開放音を伴わない.
D
Austin-Flint雑音を聴取する症例では,Ⅰ音は減弱する.
E
Austin-Flint雑音を聴取する症例では,Quincke脈を視診で認めることが多い.

問題5

感染性心内膜炎に関連の低い身体所見はどれか.

A
Osler's node
B
livedo racemosa
C
splinter hemorrhage
D
Carnett's sign
E
retinitis septica

問題6

50歳女性.気分不良,嘔吐,ふらつきで救急要請した.来院時のJapan Coma ScaleはⅡ-10で病歴聴取は困難な状況.血圧80/60 mmHg,脈拍136/分,呼吸数32/分,体温35.8℃.補助呼吸筋を使用した努力呼吸が見られ,胸郭の動きも大きい.静脈圧は外頸静脈・内頸静脈拍動は臥位で見えず,「国歌斉唱サイン」は陰性だった.呼吸音は清,足背の皮膚は両側ともポカポカと温かかった.また,全身の皮膚がわずかに紅潮していた.
最も考えられる疾患はどれか.

A
尿路感染症
B
アナフィラキシー
C
肺塞栓症
D
上部消化管出血
E
大動脈解離

問題7

禁煙診療について正しい選択肢はどれか.

A
禁煙外来は禁煙失敗または再喫煙しても,初診日から6カ月後に再受診できる.
B
禁煙外来を受診できる患者はBrinkman指数(1日の喫煙本数×喫煙年数)≧200を満たす必要があるが,35歳未満はその限りでない.
C
屋内禁煙は禁煙外来設置のための施設基準の1つである.
D
抗精神病薬内服患者へのバレニクリン投与は禁忌である.
E
1カ月前に心筋梗塞を発症した患者が禁煙できていないため,経皮吸収ニコチン製剤での禁煙を勧めた.

問題8

45歳女性で.1週間の特に夜間に強い乾性咳嗽があり,2日前から39℃の発熱があり,内科外来を受診して胸部単純X線写真で右下肺野に陰影があり,血液検査での抗体検査の結果と併せてマイコプラズマ肺炎と診断した.この患者の胸部聴診で最も聴こえる可能性の高い副雑音は次のうちどれか.

A
吸気早期のcrackles
B
呼気早期のcrackles
C
吸気終末期のcrackles
D
低調なwheeze
E
吸気全般のcrackles

問題9

生来健康だが10年来検診受診歴のない70歳男性.10日前より右下腹部痛が出現し,一度軽快したが,37.5℃程度の微熱・同部位の鈍痛が持続するため近医クリニックを受診.その後,当院外来を紹介受診した.診察上,右下腹部に限局する圧痛を認め,同部位はやや硬であった.初療に当たり,治療方針を決定するうえで必要性がきわめて低いと考えられる検査を2つ選べ.

A
血液検査
B
腹部CT
C
腹部MRI
D
下部消化管内視鏡
E
癌胎児性抗原(CEA)測定

問題10

肝臓に関連する身体所見について,誤っているものはどれか.

A
黄疸とカロチン血症の鑑別には眼球結膜の診察が重要である.
B
腹水の診察としては,移動性濁音や波動がある.
C
肝硬変を示唆する身体所見として,クモ状血管腫や女性化乳房などがあり,エストロゲンの上昇と関連がある.
D
羽ばたき振戦は,上肢でしか確認することができない規則的な動きである.
E
肝臓の打診と触診により肝臓のサイズを正確に予見することは難しい.

問題11

21歳男性.1カ月前から続く1日6~7回の下痢を主訴に受診した.1年前にも繰り返す上腹部痛と下痢を主訴に他院を受診し,下部消化管内視鏡検査を施行されたが明らかな異常は指摘されず,その後に自然に軽快した.腹部診察上,明らかな異常は認めないが,1年で5 kgの体重減少と,倦怠感や動作時の息切れを認めた.次に行うべき対処として適切なものを2つ選べ.

A
便潜血検査
B
上部消化管内視鏡検査
C
肛門部の診察
D
下部消化管内視鏡検査
E
整腸剤処方

問題12

63歳男性.20年来の2型糖尿病でインスリンを使用してHbA1c 10.5%で管理されている.半年前から背部の痛みと首の動かしづらさを自覚して来院.診察上,明らかな仙腸関節痛は認めず,脳神経症状もみられない.X線写真で胸椎の連続する5椎体に前縦靱帯の石灰化を認めた.診断は以下のどれか.

A
関節リウマチ
B
強直性脊椎炎
C
リウマチ性多発筋痛症
D
びまん性特発性骨増殖症(DISH)
E
腰椎ヘルニア

問題13

甲状腺クリーゼの可能性が低い症状を2つ選べ.

A
せん妄
B
うっ血性心不全
C
後眼窩の自発痛・眼球運動時の疼痛
D
38℃以上の発熱
E
痒疹

問題14

副腎不全について,誤っているものを2つ選べ.

A
関節痛が出て,夕方に症状が悪化しやすい.
B
原発性副腎不全でlight-pink nippleを生じる.
C
不定愁訴がみられ,点滴を頻回に希望することがある.
D
原発性副腎不全よりも二次性副腎不全の頻度が高い.
E
下垂体腺腫では副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)産生が高頻度に障害されやすい.

問題15

経時的な顔貌の変化を確認すべき疾患はどれか.

A
亜急性甲状腺炎
B
副甲状腺機能亢進症
C
甲状腺機能低下症
D
腺腫様甲状腺腫
E
甲状腺癌

問題16

テタニーに関連して正しい記述はどれか.

A
テタニーの病態生理は主に中枢神経系の過剰な興奮である.
B
低マグネシウム血症はテタニーの原因になる.
C
Chvostek徴候は低カルシウム血症に対して感度・特異度ともに90%以上である.
D
テタニーでは感覚異常を伴わない.
E
偽性副甲状腺機能低下症は外見上の異常はない.

問題17

手掌に皮疹が出現する疾患は以下のうちどれか.

A
麻疹
B
日本紅斑熱
C
梅毒
D
重症薬疹
E
A~Dのすべて

問題18

下腿に結節性紅斑を認めた場合,鑑別に挙がらない疾患はどれか.

A
Crohn病
B
上気道感染
C
サルコイドーシス
D
Behçet病
E
成人Still病

問題19

電撃性紫斑病について,誤っているものはどれか.

A
わが国では肺炎球菌が起因菌として多い.
B
脾摘後の患者ではリスクが高い.
C
死亡率は高くはない.
D
播種性血管内凝固症候群(DIC)や多臓器不全をきたす.
E
四肢末端の紫斑が認められる.

問題20

貧血の身体所見において,最も貧血の診断を絞り込める(陽性尤度比が高い)視診初見はどれか.

A
顔面が蒼白
B
爪床が蒼白
C
手掌線が蒼白
D
眼瞼の前側眼瞼結膜と後側眼瞼結膜がどちらも蒼白
E
手掌が蒼白

問題21

リウマチ性多発筋痛症の患者で認められる所見はどれか.

A
安静時振戦
B
肩峰下滑液包炎
C
Raynaud症状
D
二頭筋など筋肉の圧痛
E
リウマチ因子陽性

問題22

以下のうち,2009年のASAS分類基準において体軸性脊椎関節炎の特徴とされていないものはどれか.

A
炎症性腰背部痛
B
指趾炎
C
結節性紅斑
D
乾癬
E
HLA-B27陽性

問題23

感覚障害に関する以下の記述で間違っているものを2つ選べ.

A
手根管症候群では第4指の橈側と尺側で感覚障害の有無が分かれる.
B
頸椎症性神経根症では,頸部を牽引したり,肩を外転させ手を頭部に乗せることで疼痛を誘発する.
C
手指の感覚障害において,腕橈骨筋反射は誘発されずに手指屈筋反射を認めれば(逆転腕橈骨筋反射),頸椎症性脊髄症を疑う.
D
手口感覚症候群は視床病変によるもので,両側性になることはない.
E
中高年に亜急性経過で上肢に非対称性な有痛性感覚障害が出現すれば,悪性腫瘍の存在を疑う.

問題24

78歳男性.糖尿病を指摘されるも未治療.大量飲酒・喫煙もある.昨夜も大量に飲酒して廊下で寝ていた.夕方から左手の動きが悪いことに気がついて夜間救急外来を受診した.血圧180/95 mmHg,脈拍80/分・整,体温36.6℃,呼吸数16/分,意識清明.左手は下垂手となっており,手関節と手指関節の伸展障害がみられた.感覚は正常で,腱反射は左腕橈骨筋反射は低下していた.その他の神経所見は正常であった.
担当医は飲酒後寝ていたことによる橈骨神経の圧迫が下垂手の原因と考えたが,最近読んだ『medicina』で皮質性の単麻痺があることを思い出した.以下のうち,確認する必要がないものはどれか.

A
目が覚めた直後から動かなかったのか確認する.
B
感覚障害がまったくないのか,第一指間部の所見を取り直す.
C
手指関節の屈曲障害がないかを確認する.
D
前腕内側のTinel徴候を確認する.
E
普段の血圧を確認する.

問題25

Parkinson病でも安静時振戦が目立たず,姿勢時振戦のみを示す場合があるが,本態性振戦との鑑別で正しいものはどれか.

A
振戦が手関節に出現している場合,本態性振戦は回内回外,Parkinson病では屈曲進展となる.
B
本態性振戦では姿勢時からさらに動作をした時に振幅が大きくなるが,Parkinson病では動作で軽減する.
C
Parkinson病における振戦の進展様式は,しばしば一側性で,次第に両側性となるが,下肢に進展することはない.
D
Parkinson病の頭部振戦は臥位で消失する.
E
Parkinson病の下顎振戦は,開口で出現する.

問題26

小脳失調を診断するための身体診察で,有用でないものを2つ選べ.

A
斜め徴候
B
つぎ足歩行
C
指鼻指試験
D
指タップ試験
E
Romberg試験

問題27

精神科病院に長期入院していた70代男性が肺炎を併発したため,転院してきた.構音障害と嚥下障害のほか,顔面を含め全身にリズミカルな不随意運動を認め,筋緊張は低下していた.この患者への対応として誤っているものを2つ選べ.

A
抗精神病薬の即時中止
B
抗精神病薬の漸減中止を検討
C
遅発性ジスキネジアを疑った
D
パーキンソニズムを疑った
E
抗精神病薬の増量を検討

(解答は本誌掲載)