HOME > 雑 誌 > medicina > バックナンバー一覧 > 53巻11号(2016年10月号) 特集の理解を深めるための24題
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特集の理解を深めるための24題


問題1

日本人の血圧レベルに関して誤っているものはどれか.

A
集団としての血圧レベルは1965年頃をピークに,その後大きく低下した.
B
食塩摂取量は平均1日当たり9~11 g(食塩換算)と欧米に比べいまだに多く,国民の血圧低下を阻む一因として重要である.
C
40~50代の循環器疾患死亡の半数以上は,若い頃から血圧を至適レベルに保っておけば防ぎえたと推定される.
D
2010年の全国調査では50代以上の男性と60代以上の女性の60%以上が高血圧と考えられた.
E
日本人では血圧高値は脳卒中の危険因子であるが,冠動脈疾患の危険因子ではない.

問題2

高血圧患者の初診時に実施すべき検査でないものはどれか.

A
血清クレアチニン
B
尿酸
C
総コレステロール
D
尿中微量アルブミン
E
心電図

問題3

欧米の高血圧ガイドラインに対して,JSH2014の特徴はどれか.

A
高血圧診断には,家庭血圧よりも自由行動下血圧測定(ABPM)を優先する.
B
心血管病リスク層別化は絶対リスク評価により行われている.
C
糖尿病合併高血圧の降圧目標血圧値は診察室血圧で130/80 mmHg未満である.
D
すべてのCKDの降圧目標値は診察室血圧で130/80 mmHg未満である.
E
積極的適応がない時の降圧の第一選択薬は,ACE阻害薬,ARB,Ca拮抗薬である.

問題4

高血圧患者において心房細動発症の予測因子となる心電図所見の組み合わせは次のうちどれか.2つ選べ.

A
左脚前枝ブロック
B
左脚後枝ブロック
C
左室肥大
D
左房負荷
E
左軸偏位

問題5

家庭血圧の記述について正しいものを2つ選べ.

A
血圧は冬に高くなる.
B
血圧は週間変動しない.
C
家庭血圧の変動性が大きいと予後が悪い.
D
夜間血圧収縮期120 mmHg未満は下がりすぎである.
E
血圧変動により患者に服薬を勝手に増減させてよい.

問題6

高血圧を疑われた患者で24時間血圧測定(ABPM)を行ったほうがいいのはどのような場合か.

A
外来で医師が測定した血圧160/94 mmHg,家庭で自己測定した血圧125/70 mmHg.
B
Ca拮抗薬,ARB,利尿薬の3剤服用をしていて外来血圧170/94 mmHg,家庭で自己測定した血圧150/90 mmHg.
C
普段自宅で測定した血圧125/72 mmHg程度だが,先日頭痛がした時に測定したら150/94 mmHg.
D
外来血圧120/70 mmHg,家庭血圧116/74 mmHg.
E
外来血圧120/70 mmHg,家庭血圧140/90 mmHg.

問題7

血糖モニタリングとしてグリコアルブミン(GA)が有用な疾患はどれか.1つ選べ.

A
血液透析患者
B
腹膜透析患者
C
甲状腺亢進症
D
ネフローゼ
E
肝硬変

問題8

CKDの重症度分類に必要な項目はどれか.1つ選べ.

A
年齢
B
尿中クレアチニン値
C
血清クレアチニン値
D
尿中蛋白量
E
血尿

問題9

以下の組み合わせで正しいものはどれか.1つ選べ.

A
以前に発症した脳梗塞がラクナ梗塞の場合,高血圧の合併症の検査は必要ない.
B
以前に発症した脳梗塞がアテローム血栓性梗塞の場合,糖尿病の定期的な検査は必要ない.
C
以前に発症した脳梗塞が心原性脳塞栓症であり,ワルファリンカリウムを服用している場合,症状が安定していればPT-INR測定は4カ月に1度でよい.
D
以前に発症した脳梗塞が心原性脳塞栓症である場合,新規抗凝固薬(NOAC)のコントロールのためPT-INRを定期的に調べる.
E
無症候性脳血管障害(ラクナ梗塞,白質病変)は有症状のラクナ梗塞に準じた検査が必要である.

問題10

血漿アルドステロン濃度(PAC)を上昇させる降圧薬はどれか.1つ選べ.

A
ACE阻害薬
B
ARB
C
β遮断薬
D
Ca拮抗薬
E
サイアザイド系利尿薬

問題11

BNP,NT-proBNPについて正しい記載はどれか.2つ選べ.

A
BNP,NT-proBNPはともに活性を有する.
B
血中BNPのうち約30%が脳由来,残り70%が心筋由来である.
C
BNP測定のための血漿は通常室温保管とする.
D
呼吸困難を呈する患者で血清BNP値が18.4 pg/mL未満であれば心不全をほぼ除外できる.
E
心不全患者の予後改善効果が認められたLCZ696は血清BNP値を上昇させる.

問題12

高血圧症に多くみられるものはどれか.2つ選べ.

A
LVEFが保たれた心不全(heart failure with preserved EF:HFpEF)
B
LVEFが低下した心不全(heart failure with reduced EF:HFrEF)
C
求心性肥大(concentric hypertrophy:CH)
D
求心性リモデリング(concentric remodeling:CR)
E
遠心性肥大(eccentric hypertrophy:EH)

問題13

血管内皮機能測定法として用いられているものはどれか,1つ選べ.

A
intima-media thickness(IMT)
B
Cardio Ankle Vascular Index(CAVI)
C
flow-mediated dilation(FMD)
D
pulse wave velocity(PWV)
E
Augmentation Index(AI)

問題14

血管機能の非侵襲的評価法に関する記述で正しいのはどれか.1つ選べ.

A
ABIが0.9以下であれば,下肢虚血のために間欠性跛行がみられる.
B
ABIが1.3以上の場合はPWVの値は過小評価される.
C
生活習慣病の治療を行った場合,baPWVやCAVIの値は改善しうる.
D
AIは肺動脈弁異常の影響を受けやすい.
E
薬物治療による中心血圧の低下と生命予後改善の相関は明らかである.

問題15

高血圧による陳旧性微小脳出血を検出するのに有用な検査はどれか.1つ選べ.

A
単純CT
B
CTアンギオグラフィー
C
MRIのT1強調画像
D
MRIのT2強調画像
E
MRアンギオグラフィー

問題16

48歳の女性.他院における高血圧に対する加療中に,健康診断で12 mm大の右副腎腫瘍を指摘されたため紹介された.現在アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)が処方されている.副腎性内分泌性高血圧の有無を評価するために,ARBから変更する薬剤として適切なものはどれか.1つ選べ.

A
アンジオテンシン変換酵素阻害薬
B
アルドステロン拮抗薬
C
サイアザイド系利尿薬
D
カルシウム拮抗薬
E
β遮断薬

問題17

JSH2014で推奨される積極的適応のない高血圧患者に対する第一選択薬はいずれか.3つ選べ.

A
β遮断薬
B
Ca拮抗薬
C
サイアザイド系利尿薬
D
ARBもしくはACE阻害薬
E
直接的レニン阻害薬

問題18

以下のうち正しいものはどれか.1つ選べ.

A
心血管イベントの高リスク患者では1~3カ月を目処に降圧目標を達成する.
B
Ⅱ度高血圧を有する高齢者は心血管イベントリスクが高いので1~3カ月以内に降圧目標を達成する.
C
ほとんどのアンジオテンシン受容体拮抗薬では降圧効果が定常状態に達するまで1カ月を要する.
D
夏期に家庭血圧が120/80 mmHg未満となれば降圧薬を減量する.
E
降圧薬治療によって少なくとも1年以上血圧が正常化した場合,永続的に降圧薬の中止が可能となる.

問題19

高血圧における減塩指導に関して誤っているものはどれか.2つ選べ.

A
調味料を減らし,加工食品や外食を増やす.
B
塩干物よりも,新鮮な食材を使う.
C
酸味や香辛料を用いる.
D
塩分の少ない食品であれば,大量に摂取してもよい.
E
野菜摂取は減塩や血圧低下に有効であるが,腎機能低下患者では注意を要する.

問題20

特定健康診査・保健指導について誤っているものを2つ選べ.

A
30歳以上,65歳未満を対象としている.
B
腹囲の基準値は男性85 cm以上,女性90 cm以上である.
C
血圧の基準値は収縮期130 mmHg以上または拡張期85 mmHg以上である.
D
血糖の基準値は110 mg/dL(空腹時)以上である.
E
体重・腹囲の基準を満たし,血圧・脂質・血糖データおよび喫煙というリスクをもつ者を,特定保健指導対象者とする.

問題21

高血圧とフレイル,認知症の関係について,誤っているのはどれか.1つ選べ.

A
認知症の発症には,中年期より高年期の高血圧が関連する.
B
6メートル歩行を完遂できないような虚弱高齢者では,降圧目標を個別に設定する.
C
高齢期の降圧治療は認知症発症を増加させない.
D
ARBは認知症発症を抑制する可能性がある.
E
高齢者の血圧コントロール不良の原因として,服薬アドヒアランスの低下を考慮する.

問題22

在宅診療の留意すべき点で誤っているものはどれか.1つ選べ.

A
在宅医療の対象患者は,保険診療上では,寝たきりまたはこれに準ずる状態で通院困難な患者と定義されている.
B
利尿薬は容易にフレイルを悪化させる危険性があり,使用の際には十分な患者評価が望ましい.
C
6種類以上の薬の併用は薬物有害事象全般の,5種類以上は転倒の危険因子である.
D
介護者の性別はアドヒアランスの低下とは無関係である.
E
合剤を取り入れて服薬数を少なくしアドヒアランスを向上させたほうがよい.

問題23

下記のうち正しいものを選べ.

A
高血圧合併妊娠は近年増加傾向にあると考えられている.
B
高血圧合併妊娠は周産期予後が悪い.
C
妊娠高血圧症候群では尿蛋白を認めるため,ACE阻害薬やARBを使用して治療をする.
D
授乳中でも使用可能なACE阻害薬がある.
E
Ca拮抗薬の妊娠初期使用では催奇形性が一般の確率よりも上がる.

問題24

心血管死亡を有意に抑制した臨床介入試験はどれか.2つ選べ.

A
DASH試験
B
SPRINT試験
C
ACCORD試験
D
Look AHEAD研究
E
EMPA-REG OUTCOME試験

(解答は本誌掲載)