HOME雑 誌medicinaバックナンバー一覧52巻10号(2015年9月号) 特集の理解を深めるための29題
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特集の理解を深めるための29題


問題1

ロサンゼルス分類Grade Cの逆流性食道炎に対する初期治療で最も有効なのはどれか.1つ選べ.

A 制酸薬
B 外科治療
C 生活習慣の改善
D H2受容体拮抗薬
E プロトンポンプ阻害薬


問題2

急性胃炎/胃粘膜病変で正しいのはどれか.1つ選べ.

A Helicobacter pylori の慢性感染が原因である.
B 高率に慢性化するので維持療法が必要である.
C 急激に発症するため,急性腹症として系統的な鑑別診断を要する.
D 低用量アスピリンでは発症しない.
E 消化管局所の問題であり,全身疾患は考慮しない.


問題3

消化性潰瘍について誤っているものはどれか.2つ選べ.

A 胃角部小彎は好発部位の1つである.
B 胃潰瘍を無治療で放置すると胃癌に変化する.
C 非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)は胃酸分泌を亢進させるため,消化性潰瘍の危険因子である.
D 黒色便は上部消化管出血の存在を示唆する重要な所見である.
E ヘリコバクターピロリ(H. pylori )感染は,胃癌のリスクファクターの1つである.


問題4

H. pylori について正しいものを1つ選べ.

A 本邦でのH. pylori 感染率は徐々に増加している.
B H. pylori は特定の食べ物を介して感染することが多い.
C H. pylori は6~15歳の間に感染することが多い.
D 尿素呼気試験はH. pylori のウレアーゼを利用している.
E 便中H. pylori 抗体検査は除菌後の検査として有用である.


問題5

機能性ディスペプシア(FD)の治療として用いる薬剤を2つ選べ.

A 粘液産生・分泌促進薬
B PPI製剤
C 大腸刺激下剤(薬)
D 消化酵素薬
E 消化管運動賦活薬


問題6

貧血症状と下血で救急搬送されてきた患者に対して,直後に行ってはならないものはどれか.

A 胸・腹部単純X線
B 腹部CTスキャン
C 緊急上部消化管内視鏡
D 上部消化管造影
E 経鼻胃管の挿入


問題7

静脈瘤出血に対する治療として適切でないのはどれか.

A 内視鏡的クリップ止血法
B 内視鏡的結紮術
C 内視鏡的硬化療法
D シアノアクリレート系薬剤注入法
E バルーン下逆行性頸静脈的塞栓術


問題8

次の選択肢から正しいものを2つ選べ.

A KRAS遺伝子野生型胃癌ではセツキシマブが有用である.
B 切除不能HER2遺伝子陽性胃癌ではトラスツズマブの上乗せ効果が期待できる.
C 胃生検組織診断分類(Group分類)でGroup 2は非腫瘍性病変を表し,経過観察とする.
D 胃癌の内視鏡的切除の絶対適応病変は2 cm以下の肉眼的粘膜内癌で,組織型や潰瘍形成の有無は問わない.
E 胃癌stageⅡ/Ⅲの術後にS-1を1年間内服することにより,延命効果が確認されている.


問題9

次のうち正しいものはどれか.1つ選べ.

A 急性下痢症の多くは感染性であるため,全例で便培養検査を行う.
B 5日前に入院した患者に下痢を認めたため,便の培養検査を提出した.
C 複数の患者が嘔吐,下痢をきたして来院し,病歴から食中毒が疑われたため,ただちに最寄りの保健所に届け出た.
D 急性下痢症の治療の中心は抗菌薬投与である.
E 最近の抗菌薬投与がなければClostridium difficile 感染は否定される.


問題10

慢性便秘症について正しいのはどれか.

A 便秘の患者は,便回数の減少を主訴に受診することが多い.
B 便秘の大多数は症候性便秘である.
C センナ系の下剤は,毎日規則正しく服用することが重要である.
D 漢方薬の下剤では耐性は生じない.
E ルビプロストンの作用機序は,小腸のクロライドチャネルの活性化である.


問題11

過敏性腸症候群(IBS)で認められるのはどれか.

A 脱水
B 発熱
C 嘔吐
D 便秘
E 黒色便


問題12

潰瘍性大腸炎についての記述として誤っているものはどれか.

A 消化管のいずれの場所をも侵しうる.
B 粘血・血便をきたす.
C 慢性もしくは反復性に発症する.
D 粘膜の表層を主として侵す.
E ステロイドが有効なことが多い.


問題13

Crohn病について正しいのはどれか.1つ選べ.

A 女性に多い.
B 遺伝病である.
C 自己免疫疾患である.
D 喫煙者では予後不良である.
E 生物学的製剤は,狭窄や瘻孔などの合併症にも有効である.


問題14

憩室症および憩室関連疾患について正しいものはどれか.

A 憩室炎治療後は,大腸癌の除外診断および憩室の存在診断のため,症状改善後直ちに注腸または大腸鏡検査を行うべきである.
B 軽症および中等症の憩室炎症例では入院加療が必要である.
C 中等量以上の下血症例で最も頻度の高い疾患は大腸癌である.
D 憩室出血において大腸鏡検査時の出血憩室同定率は高い.
E 憩室出血の内視鏡下治療法に内視鏡的結紮術(endoscopic band ligation:EBL)が注目されている.


問題15

NSAIDs起因性小腸傷害で認められる所見はどれか.

A 粘膜全層性の炎症を呈する.
B 縦走潰瘍が特徴的である.
C 潰瘍は腸間膜付着側に発生する.
D 乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認める.
E 生検にてアポトーシス小体を認める.


問題16

下記のなかで,急性虫垂炎でよくみられる身体所見でないものはどれか.

A Blumberg’s徴候
B obturator徴候
C Rovsing徴候
D psoas徴候
E Murphy徴候


問題17

大腸癌において内視鏡的治療後の外科的追加切除の適応とならない病理学的所見はどれか.1つ選べ.

A 腫瘍径15 mm tub1 sm 2,000 μm ly0 v0 HM0 VM0 budding Grade1
B 腫瘍径20 mm tub2 sm 500 μm ly1 v0 HM0 VM0 budding Grade1
C 腫瘍径30 mm tub1 sm 1,000 μm ly0 v0 HM0 VM0 budding Grade1
D 腫瘍径20 mm tub2 sm 800 μm ly0 v0 HM1 VM0 budding Grade1
E 腫瘍径15 mm por sm 700 μm ly0 v0 HM0 VM0 budding Grade2


問題18

急性ウイルス肝炎に関する記載で正しいものはどれか.

A A型急性肝炎は急性肝炎の原因のなかで一番多い.
B IgM-HBc抗体陽性ならB型急性肝炎と診断できる.
C C型急性肝炎はHCV抗体が陽性である.
D D型急性肝炎は最近,B型急性肝炎より患者数が増加している.
E E型急性肝炎は性行為感染が問題視されている.


問題19

B型慢性肝炎の診断,治療について正しいものを2つ選べ.

A 核酸アナログの第一選択は耐性変異出現率の低いラミブジンである.
B genotype Dはgenotype Aと比較してインターフェロン治療抵抗性である.
C テノホビルはエンテカビルに比べて胎児への安全性が高い.
D 免疫抑制・化学療法によるHBV再活性化による劇症化例の報告はない.
E 世界の多くの国がB型肝炎ワクチンを任意接種として導入している.


問題20

本邦において慢性C型肝炎血清型2型に使用されるdirect acting antivirals(DAAs)はどれか.1つ選べ.

A ダグラタスビル
B ソホスブビル
C シメプレビル
D アスナプレビル
E バニプレビル


問題21

自己免疫性肝炎について誤っているものはどれか.

A 自己免疫性肝炎には遺伝的背景が存在する.
B 自己免疫性肝炎の診断に抗核抗体・抗平滑筋抗体といった自己抗体陽性は必須である.
C 自己免疫性肝炎の診断には本邦のガイドラインに加えて,国際自己免疫性肝炎グループの診断基準ならびにスコアリングシステムが有用である.
D 自己免疫性肝炎では,初期治療として通常0.6 mg/kg程度のプレドニゾロンの投与を行い,長期にわたってその投与量を維持する.
E 自己免疫性肝炎のなかには,重症肝炎,急性肝不全に移行する症例が存在する.


問題22

次のうち,正しいものを選択せよ.

A 日本酒(15度)を毎日2合(1合180 mL)飲む女性はアルコール性肝障害にならない.
B アルコール性脂肪肝が疑われた患者で禁酒後2週間でAST,ALT値が正常化しない場合,原因はアルコールではない.
C 重症アルコール性肝炎でステロイドは生存を改善する.
D 大酒家で肝障害を認めた場合,腹部超音波検査は不要である.
E アカンプロサートはシアナマイドと同じ作用機序を有する.


問題23

NAFLDの治療において,最初に行うべき治療はどれか.1つ選べ.

A 食事・運動・行動療法
B 減量手術
C ピオグリタゾン
D UDCA
E HMG-CoA還元酵素


問題24

肝障害度A,単発3 cm,脈管侵襲なしの肝細胞癌に対する第一選択として推奨される治療はどれか.1つ選べ.

A 肝切除術
B ラジオ波焼灼術
C 肝動脈塞栓療法
D ソラフェニブ
E 肝移植


問題25

急性胆嚢炎症例の重症度判定基準において,中等症に該当しないものを1つ選べ.

A 気腫性胆嚢炎を示す画像所見
B 右季肋部の有痛性腫瘤触知
C 白血球数>18,000/mm3
D 腎機能障害(乏尿,もしくはCr>2.0 mg/dL)
E 症状出現後72時間以上の症状の持続


問題26

80歳,男性.発熱と上腹部痛のため受診した.血圧68/40 mmHg,脈拍135回/分,体温39.5℃,意識レベルはJCSⅠ-2であり,眼球結膜に黄疸を認めた.血液生化学所見:白血球13,800/μL,CRP 12.8 mg/dL,血小板4.5×104/μL,総ビリルビン5.8 mg/dL,AST 320 U/L,ALT 420 U/L,ALP 1,025 U/L,γ-GTP 750 U/L.腹部超音波検査では肝内胆管および総胆管の拡張を認めた.適切な対処法を2つ選べ.

A 抗菌薬投与
B ウルソデオキシコール酸投与
C 肝動脈塞栓術
D 胆管ドレナージ
E 腹腔鏡下胆嚢摘出術


問題27

38歳,男性.毎日泡盛を3合飲む飲酒家.数年前からときどき上腹部痛があり,内視鏡検査にて胃炎と診断された.夕食後の6時頃から急に上腹部痛出現し,嘔吐が続いた.体温36.3℃.腹部所見:心窩部に筋性防御を伴う圧痛があり,reboundははっきりしない.WBC 14,200/mm3,Ht 46.4%,Plt 26×104/mm2,GOT 105 IU/L,GPT 65 IU/L,LDH 394 IU/L,TP 7.3 g/dL,T. bil 1.4 mg/dL,BUN,Crは正常,血中アミラーゼ780 IU/L,Glu 149 mg/dL,Ca 4.0 mEq/L,CRP 0.3 mg/dL,T. chol 162 mg/dL,TG 434 mg/dL,血液ガスは異常なし.CT所見:膵全体的にenhanceされ壊死はなし.膵周囲に軽度浮腫を認めた.初期治療として間違っているものを選べ.

A 初期の十分な補液
B 呼吸・循環のモニタリング
C ステロイド投与
D 鎮痛薬
E 蛋白分解酵素阻害薬


問題28

慢性膵炎が代償期から非代償期へ移行するにつれて認められなくなってくるものはどれか.1つ選べ.

A 糖尿病
B 体重減少
C 脂肪性下痢
D 上腹部痛
E 血清アミラーゼ値低下


問題29

次の疾患のうちで通常,内視鏡的胆管ドレナージを行うことがない疾患を1つ挙げよ.

A 慢性膵炎膵石症
B 胆管癌
C Girbert病
D 自己免疫性膵炎
E 膵癌


(解答は本誌掲載)