HOME雑 誌medicina誌面サンプル 46巻2号(2009年2月号) > 今月の主題「理解のための23題」

今月の主題

「理解のための23題」


問題01

歩行の診察で評価できない神経系はどれか.1つ選べ.

A:錐体路
B:錐体外路
C:小脳
D:固有感覚
E:温痛感覚


問題02

意識障害の責任病変はどれか.1つ選べ.

A:Papezの回路
B:橋底部
C:視床下部
D:上行性網様体賦活系
E:小脳


問題03

正常5カ月児で正しいものはどれか.1つ選べ.

A:首のすわり(定頸)がまだ十分ではない.
B:手を握っていることが多い.
C:利き腕がどちらかはっきりする.
D:5~10ビートのankle clonusがみられる.
E:床に水平に持ち上げたとき(horizontal suspension),背筋を伸ばし,首を持ち上げる.


問題04

一過性脳虚血発作(TIA)として考えにくい症状はどれか?

A:片麻痺
B:失語
C:失調(小脳性)
D:半盲
E:失神


問題05

頭痛診療で正しいのはどれか.2つ選べ.

A:頭痛はまず,頻度の高い一次性頭痛を鑑別することから始める.
B:頭痛の診断には国際頭痛学会分類第2版(ICHD-II)を用いるのが望ましい.
C:くも膜下出血が強く疑われた場合,頭部CTで異常がなくても髄液検査は実施すべきである.
D:くも膜下出血では項部硬直は必ず認められる.
E:頭痛診断に脳槽シンチグラフィが行われることはない.


問題06

めまいの身体診察において正しいものはどれか.1つ選べ.

A:Dix-Hallpikeテストは後三半規管の障害しか評価できないわけではなくほかの三半規管も評価できる.
B:左右の固視で水平性と回転性の眼振が混じっている場合はどちらかというと中枢病変を示唆する.
C:Frenzel眼鏡をかけても実は外が見えるので固視の抑制はできない.
D:滑動性眼球運動障害は中枢性病変を示唆する.
E:衝動性眼球運動障害は中枢性病変を示唆する.


問題07

非てんかん性心因性発作を示唆する症状はどれか.1つ選べ.

A:咬舌
B:けいれん発作中,閉眼しており他動的に開けようとしても強く閉じる
C:尿失禁
D:上肢のジストニー姿位
E:口角から泡を吹く


問題08

腰痛に関して正しいものを1つ選べ.

A:圧迫骨折は外傷の病歴がないときはあまり考えなくてもよい.
B:椎間板ヘルニアによる腰痛は,神経根に圧迫がない場合は生じないことが多い.
C:脊髄圧迫では括約筋障害は比較的初期に生じる.
D:仙腸骨関節の障害では時に胸部まで痛みが広がることがある.
E:梨状筋症候群では前屈で痛みが増強する.


問題09

片眼の動眼神経麻痺を呈している患者で必ず即検査しなければならない反射は以下のどれか.1つ選べ.

A:対光反射
B:睫毛反射
C:角膜反射
D:足底反射
E:頭位変換眼球反射


問題10

末梢性顔面神経麻痺でみられないものは次のどれか.

A:聴覚過敏
B:眼球外転障害
C:難聴
D:味覚障害
E:涙の分泌障害


問題11

軟口蓋麻痺により,嚥下の際に一般に鼻側へ逆流がみられるのは次のうちどれか.2つ選べ.

A:筋萎縮性側索硬化症(ALS, 球麻痺型)
B:多発性白質脳梗塞(Binswanger病)
C:Parkinson病
D:重症筋無力症
E:多系統萎縮症


問題12

小脳病変による失調性構音障害の特徴はどれか.1つ選べ.

A:鼻声になる.
B:嚥下障害の合併が高度である.
C:パ行の発音が特に障害される.
D:下顎反射が亢進する.
E: 1つの音節だけを発音させると正常である.


問題13

手根管症候群について正しいものはどれか.1つ選べ.

A:尺骨神経の障害が原因である.
B:母指,示指,中指の感覚障害を伴う
C:男性に多く,両側にみられることがある.
D:中手指節関節の過伸展と指節間関節の屈曲変形による鷲手が特徴である.
E:母指内転筋の麻痺のため,いわゆるFroment徴候が陽性である.


問題14

31歳女性,妊娠34週.2週間前から「右腰がしびれる」ことを自覚,次第に増強するため,外来を受診された.身体所見上,一般理学所見では下肢末梢の浮腫を認めずまた血管拍動触知良好,神経学的には明らかな運動麻痺や可動域制限を認めず,右上前腸骨稜付近の体側に手掌大の知覚低下領域を認めた.考えられる病態は何か.

A:深部静脈血栓症
B:腰部神経根症
C:坐骨神経痛
D:外側大腿皮神経障害
E:変形性股関節症


問題15

小脳性運動失調で示さないのはどれか.1つ選べ.

A:開脚歩行
B:断綴性発語
C:眼振
D:測定障害
E:小字症


問題16

律動性の不随意運動はどれか.1つ選べ.

A:振戦
B:舞踏病
C:バリスム
D:ジストニア
E:ミオクローヌス


問題17

せん妄に関する記述で誤っているものはどれか.1つ選べ.

A:入院は,せん妄発症のリスクを高める.
B:脳血管障害を有する高齢者は,せん妄を起こしやすい.
C:胃潰瘍治療薬や頻尿治療薬が,せん妄の誘因になることがある.
D:不穏状態に眼球運動・眼位の異常を伴う場合は,まず薬物中毒を疑う.
E:認知症患者に数日の経過で不穏状態と昼夜逆転が出現した場合は,せん妄の合併を疑う.


問題18

Alzheimer病の初期に認められる訴えのうち典型的なものでないものはどれか.1つ選べ.

A:会話のあとで内容を何も覚えていない.
B:日付がわからない.
C:いい人だったのに,最近攻撃的になった.
D:一日に何回も同じ話をする.
E:朝食に何を食べたか昼には忘れている.


問題19

次のうち誤っているものはどれか.2つ選べ.

A:Broca失語では失構音と構音障害を認めることは稀である.
B:Wernicke失語を認める患者ではしばしば病識の欠如を伴う.
C:伝導失語の特徴は自己修正を伴う復唱の障害と字性錯語の頻発である.
D:失語類型は急性期から慢性期にかけて変化することが稀ではない.
E:無言症は最重症の失語症である.


問題20

衣服をうまく着られない,という家人からの訴えに対して,考慮する必要のない病態はどれか.1つ選べ.

A:運動麻痺
B:肢節運動性失行
C:半側身体失認
D:着衣失行
E:左右失認


問題21

次のうちで,前頭葉機能と直接関連しない検査はどれか.1つ選べ.

A:Trail Making Test
B:ウィスコンシン・カード分類検査
C:立方体透視図模写
D:語流暢性検査
E:暗算


問題22

器質性の疾患が背景にあることが疑われる病態を1つ選べ.

A:失声症
B:せん妄
C:失立失歩
D:解離性健忘
E:疼痛性障害


問題23

55歳の男性(174 cm,85 kg)が入眠困難を訴えて来院.10年前よりいびきを指摘されており,3年前にタバコをやめてから10 kg体重が増加した.2年前より不眠がちとなり,毎晩,寝酒の助けを借りていたが,効果がないため,1年前より近医にてゾルピデムを投与されている.健診にて高血圧と左心肥大を指摘されているが,放置.早急にとるべき方法は何か?

A:ゾルピデムを中止し,ブロチゾラムに変更する.
B:寝酒をやめるように指導する.
C:アルコールと睡眠導入剤のどちらか一方にするよう指導する.
D:減量するよう指導する.
E:自宅で終夜パルスオキシメトリを実施する.


(解答は本誌掲載)