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今月の主題

「理解のための34題」


問題01

手術時の抗血小板薬の適切な投薬中止時期について,正しいのはどれか.2つ選べ.

A:アスピリン 3日前
B:チクロピジン 5日前
C:シロスタゾール 4日前
D:ベラプロスト 2日前
E:トラピジル 14日前


問題02

抗凝固薬ワルファリンが適応でない疾患は,次のうちどれか.1つ選べ.

A:人工弁置換術後
B:心房細動
C:深部静脈血栓症
D:脳動脈瘤
E:心室瘤


問題03

血栓溶解治療の禁忌となるのはどれか.1つ選べ.

A:80歳女性,血圧80 mmHg触診の急性肺塞栓症
B:60歳男性,SpO2 87%,血圧120/80 mmHgの急性肺塞栓症
C:70歳男性,1カ月前に脳梗塞,血圧80 mmHg触診の急性肺塞栓症
D:73歳男性,発症後6時間で来院した血圧150/90 mmHgの急性心筋梗塞
E:50歳女性,1年前にくも膜下出血,ショックで来院した急性肺塞栓症


問題04

閉塞性肥大型心筋症の患者が肺うっ血を伴う急性心不全で入院してきた.血圧 150/80mmHg,心拍数100/分(不整).体重は3 kg増.初期治療として次の薬剤のうち,どれを選択するか.1つ選べ.

A:ドブタミン
B:ドパミン
C:PDEIII阻害薬
D:ジギタリス製剤
E:ナトリウム利尿ペプチド


問題05

hANP(ハンプ)がもたない作用は次のうちどれか.1つ選べ.

A:血管拡張作用
B:強心作用
C:利尿作用
D:腎保護作用
E:抗炎症作用


問題06

サイアザイド系利尿薬について,正しいものはどれか.1つ選べ.

A:糖尿病を合併した高血圧患者には用いるべきではない.
B:高血圧患者において,心血管系合併症を予防する効果はCa拮抗薬に劣る.
C:副作用に光線過敏症がある.
D:長期間使用すると体液量を減少させ,血液を濃縮させる.
E:高齢者高血圧にはなるべく使用しないようにする.


問題07

早期糖尿病性腎症を有する高血圧の治療に最も適した薬剤はどれか.2つ選べ.

A:Ca拮抗薬
B:ACE-I
C:ARB
D:β遮断薬
E:a遮断薬


問題08

エプレレノンの主要な副作用について正しいものはどれか.1つ選べ.

A:心不全
B:女性化乳房
C:蛋白尿
D:高K血症
E:インポテンス


問題09

冠拡張薬に関する記述で,正しいのはどれか.2つ選べ.

A:クエン酸シルデナフィルと亜硝酸薬の併用は禁忌である.
B:ニコランジルは硝酸薬と比べて耐性はより多い.
C:硝酸薬とインスリンの併用は禁忌である.
D:ニコランジルとSU薬の併用は禁忌である.
E:グレープフルーツはCa拮抗薬の作用を増強させる.


問題10

攣縮性狭心症について正しいのはどれか.1つ選べ.

A:運動により胸痛が誘発される.
B:発作時にニトログリセリン舌下は無効である.
C:治療にはβ遮断薬が投与される.
D:アセチルコリンの冠動脈内投与により血管攣縮がみられる.
E:発作時の心電図でST低下がみられる.


問題11

β遮断薬が適応となりにくいのはどれか.1つ選べ.

A:慢性心房細動の心拍数調節
B:夜間型の発作性心房細動の抑制
C:運動誘発性の特発性心室頻拍の抑制
D:先天性QT延長症候群における不整脈の抑制
E:心筋梗塞後の心臓突然死の予防


問題12

50歳,男性.健診で胸部X線上,心拡大を指摘され受診した.心エコー図検査にて,EF20%と低下が認められ,精査の結果,拡張型心筋症と診断された.慢性心不全の治療薬として,以下のなかで,適当でないものを1つ選べ.

A:ACE阻害薬
B:ARB
C:β遮断薬
D:スピロノラクトン
E:Ca拮抗薬


問題13

次のうち,適切な治療でないものはどれか.1つ選べ.

A:発作性上室性頻拍を認めた患者に対し,ベラパミル(ワソラン?)を投与した.
B:血圧230/110 mmHgの脳梗塞急性期の患者に対し,ニフェジピン(アダラート?)を経口投与した.
C:ACE阻害薬を投与されている血圧136/80 mmHgの糖尿病患者に第三世代Ca拮抗薬の投与を開始した.
D:安静時狭心症を有する血圧150/90 mmHgの患者に対し,長時間作用型Ca拮抗薬の投与を開始した.
E:肺うっ血による呼吸困難で入院した高血圧性心不全の患者に対し,ニカルジピン(ペルジピン?)持続静注による降圧を開始した.


問題14

拡張型心筋症例(左室駆出率20%)に生じた低血圧を伴う頻脈性心房細動発作に対する薬物治療として,適切なものはどれか.1つ選べ.

A:フレカイニド静注
B:プロプラノロール静注
C:ベラパミル静注
D:ATP静注
E:ジギタリス静注


問題15

III群薬の特徴として正しくないものを1つ選べ.

A:K+チャネル遮断薬
B:逆頻度依存性
C:QT延長
D:伝導遅延作用
E:陽性変力作用


問題16

高コレステロール血症と高トリグリセリド血症の両方を有する患者について,動脈硬化惹起性リポ蛋白のリスクをよく反映する指標として最も優れているものはどれか.2つ選べ.

A:LDLコレステロール
B:HDLコレステロール
C:non-HDLコレステロール
D:アポリポ蛋白B
E:レムナントリポ蛋白コレステロール


問題17

心タンポナーデで認められる症候として,誤っているのはどれか.1つ選べ.

A:血圧低下
B:心拍数の増加
C:頸静脈の怒張
D:高度の肺うっ血
E:心音微弱


問題18

65歳,男性.拡張型心筋症の診断にて心不全増悪入院を繰り返している.今回は呼吸困難の増悪と下腿浮腫にて入院した.脈拍 85/分・整.血圧 142/78 mmHg.全肺野に湿性ラ音を聴取した.手足の冷感はなかった.入院時に相応しい治療はどれか.2つ選べ.

A:ドブタミン持続静注
B:フロセミド静注
C:β遮断薬導入
D:一時的ペースメーカ留置
E:ニトログリセリン舌下投与


問題19

慢性心不全の薬物治療に関し,正しいものを1つ選べ.

A:ジギタリスにループ利尿薬を併用するとジギタリス中毒の予防として有効である.
B: 重症心不全例では,予後を悪化させるため,β遮断薬は禁忌である.
C:ARBは,ACE阻害薬を上回る心不全の予後改善効果が証明されている.
D:無症候期でもACE阻害薬の投与が推奨される.
E: 強心薬は,心不全治療の第一選択薬である.


問題20

不安定狭心症の薬物治療で有効なものは何か.1つ選べ.

A:ヘパリンの単独投与
B:ワルファリン(coumadin)の単独投与
C:短時間作用型Ca拮抗薬の単独投与
D:ニコランジルの単独投与
E:アスピリンおよびヘパリンの併用投与


問題21

次のうち,急性心筋梗塞の治療として正しいものを1つ選べ.

A:56歳,男性.胸痛を2時間前より認めている.1カ月前に胃潰瘍の既往がある.心電図上Ⅱ,III,aVFのST上昇の急性心筋梗塞患者に対して血栓溶解薬を投与する.
B:散発する心室性期外収縮に対して抗不整脈薬(ジソピラミド)を投与した.
C:胸痛を訴えている収縮期血圧80 mmHgの前壁梗塞患者に硝酸薬の舌下錠を投与する.
D:急性心筋梗塞発症後に心室性期外収縮の予防にキシロカインの点滴静注を行った.
E:入院時のLDLコレステロールが146 mg/dlであった.食事療法とともに脂質低下薬(スタチン)を投与して退院時には98 mg/dlとなった.


問題22

安定狭心症で,心エコーでは左室収縮良好で心筋肥厚なく,弁膜症などの器質的疾患なし.次のうち正しいのはどれか.2つ選べ.

A:アスピリン,スタチンは長期予後を改善する.
B:Ca拮抗薬は適応とはならない.
C:血栓溶解薬による初期治療が必要である.
D:a遮断薬は第一選択薬である.
E:β遮断薬は虚血症状を軽減するので,適応である.


問題23

PCI後の抗血小板療法について,誤っているものを1つ選べ.

A:薬物溶出性ステント(DES)留置後で非心臓手術を控えた患者の抗血小板薬を完全に中止すると,ステント血栓症をきたすことがある.
B:チクロピジンよりクロピドグレルのほうが副作用が少ない.
C:抜歯の際にはアスピリンを中止してもよ い.
D:2剤併用抗血小板療法は,ベアメタルステントの場合,1カ月間が推奨される.
E:2剤併用抗血小板療法は,薬剤溶出性ステントの場合,12カ月間が推奨される.


問題24

次のうち,誤っているものはどれか.1つ選べ.

A:心房細動では血栓塞栓症が高率に起こりうる.
B:持続性心房細動は1週間以内に自然停止する心房細動と定義され,2回以上の再発を繰り返す.
C:待機的に電気的除細動を行う際には,ワルファリンによる抗凝固療法に加え,除細動前に経食道心エコーを行い,左心房,特に左心耳内に血栓がないことを確認すべきである.
D:bブロッカー,ベラパミルには陰性変力作用があり,心機能が著しく低下している患者の心拍数調節には適さない.
E:ジギタリス使用の際には腎不全の存在する患者や高齢者には投与過量とならないよう,十分な配慮が必要である.


問題25

アミオダロン静注に関する記載のうち,正しいのはどれか.1つ選べ.

A:ACLS2005ガイドラインで,電気的除細動抵抗性の無脈性心室頻拍・心室細動に対する薬物治療として定められている.
B:リドカインやニフェカラントに比べ,半減期は短い.
C:薬理学的な急性作用は経口投与時の慢性作用と同じである.
D:逆頻度依存性を有する.
E:最も多い副作用はtorsades de pointesである.


問題26

60歳,男性.陳旧性心筋梗塞(前壁中隔)の既往あり.心エコーでは左室駆出率は30%.Holter心電図上,発作性心房細動(心拍数180/分)と心室期外収縮の連発(最長5連発)を認めた.投与すべきでない薬剤はどれか.1つ選べ.

A:カルベジロール
B:アミオダロン
C:べラパミル
D:フレカイニド
E:メキシレチン


問題27

45歳男性.10年来の糖尿病,高血圧で通院中である.以前から妻にいびきを指摘されている.喘息の既往あり.身体所見:身長165 cm,体重82 kg,ウエスト95 cm,診察室血圧162/90 mmHg.家庭血圧測定では朝170/95 mmHg,夜150/88 mmHg.臥位血圧 168/92 mmHg,起立後血圧 143/70 mmHg.検査所見:尿酸 8.5 mg/dl,LDL 152 mg/dl,TG 232 mg/dl,FBS 145 mg/dl,HbA1c 7.4%.心電図:左室肥大.この患者に対してすでに長時間作用型のARBが処方されている.より厳格な血圧コントロールを行うにあたり,今後の治療方針で最も適切なものはどれか.1つ選べ.

A:生活習慣の修正を行い,薬物治療は行わない.
B:β遮断薬を朝1回追加投与する.
C:長時間作用型のCa拮抗薬を朝1回追加投与する.
D:サイアザイド系利尿薬を朝1回追加投与する.
E:a遮断薬を就寝前に投与する.


問題28

22歳,女性.半年前に出産をした.1カ月前より階段をあがると息が切れるため,受診した.診察ではⅡ音の肺動脈成分が亢進していた.心電図では軸が110°.V1のQRSはR/S比が1以上,V5のR/S比は1以下であった.心エコーでは短軸像で左室の中隔が扁平化していた以外には左室に異常を認めなかった.弁には異常がなく,心内シャントも明らかではなかった.肺機能検査は正常で肺換気血流検査も異常を認めなかった.治療薬として,最も適当なものを1つ選べ.

A:ジゴキシン
B:ボセンタン
C:ネオフィリン
D:フロセミド
E:カルベジロール


問題29

血液培養陽性および心エコー検査で疣腫が認められた感染性心内膜炎の患者.抗菌薬治療の効果判定で最も重要なものはどれか.

A:CRPの陰性化
B:血液培養の陰性化
C:ESR(血沈)の正常化
D:末梢血白血球数の正常化
E:末梢血好中球数(%)の正常化


問題30

67歳,男性.3年前から間欠性跛行を自覚し,最近跛行距離が500 mから200 mと短くなってきたため,来院.胸部症状はない.検診で高血圧と糖尿病を指摘されたが,放置している.タバコ20本/日.常用薬はない.治療方針として正しいものを2つ選べ.

A:足の切断の可能性が強いと説明し,血行再建術を急いで予定する.
B:禁煙を指導し,また高血圧や糖尿病についても精査・加療が重要である.
C:胸部症状はないので,特に心疾患の精査は不要である.
D:毎日プロスタグランジン製剤の注射を行う.
E:プレタールとバイアスピリンを処方する.


問題31

併用するとジゴキシンの血中濃度を増加させる薬剤はどれか.2つ選べ.

A:アミオダロン
B:コレスチラミン
C:水酸化アルミニウム
D:ベラパミル
E:リファンピシン


問題32

以下の薬物のなかで,腎消失型の薬物を2つ選べ.

A:プロプラノロール
B:アムロジピン
C:ジゴキシン
D:リドカイン
E:ベザフィブラート


問題33

高齢者の薬物療法について,正しいのはどれか.2つ選べ.

A:体脂肪量が減少するので,ベンゾジアゼピン系薬物の蓄積効果は起こりにくい.
B:多剤併用すると薬物代謝酵素を共有する薬剤で,薬物相互作用が起こりやすくなる.
C:腎血流量が低下するので,薬剤の副作用も減少する.
D:重症例が多くなるので,薬物は常用量より多めから開始する.
E:服薬コンプライアンスをあげるために一包化したり,内服回数を減らしたりする.


問題34

妊婦・授乳婦の抗凝固療法について誤っているのはどれか.1つ選べ.

A:妊娠中は非妊娠時より血栓・塞栓症のriskが高い.
B:未分化ヘパリンには胎盤通過性はない.
C:ワルファリンの催奇形性は容量依存性である.
D:授乳婦にはワルファリンは禁忌である.
E:胎児は母体よりもワルファリンの影響を受けやすい.


(解答は本誌掲載)