HOME雑 誌medicina誌面サンプル 45巻12号(2008年12月号)> 今月の主題「理解のための29題」

今月の主題

「理解のための29題」


問題01

次の記述のなかで正しいものはどれか.1つ選べ.

A:貧血の症状は,高齢者のほうが出にくい.
B:自己免疫性溶血性貧血や再生不良性貧血,骨髄異形成症候群では,大球性貧血は呈さない.
C:消化管出血による貧血であっても,正球性貧血を呈することも多い.
D:遺伝性球状赤血球症では,小型球状の赤血球が増加するため,MCVは低下,網状赤血球絶対数は増加を示す.
E:貧血症状に加えて,食思不振や深部知覚障害,若年性白髪を認める場合,まず鉄欠乏性貧血を疑って検討する.


問題02

次のなかで,血友病にみられる出血症状として,適当でないものはどれか.1つ選べ.

A:点状出血
B:斑状出血
C:関節内出血
D:筋肉内出血
E:後出血


問題03

腫瘍熱がみられにくいのはどれか.2つ選べ.

A:急性骨髄性白血病
B:慢性骨髄性白血病
C:慢性リンパ性白血病
D:悪性リンパ腫
E:多発性骨髄腫


問題04

28歳,女性.前胸部圧迫感と右側頸部の3×4cmのリンパ節腫大を主訴に受診.胸部X線にて前縦隔に6×8cmの腫瘤を認める.行うべきでない検査はどれか.2つ選べ.

A:穿刺吸引細胞診
B:右頸部リンパ節生検
C:開胸生検
D:胸部造影CT
E:骨髄穿刺


問題05

37歳,男性.健康診断で血小板減少を指摘され,精査目的で来院した.緊急検査の結果,血小板数1.2×104/μlであった.身体所見や病歴から出血傾向はみられない.対応として正しいのはどれか.1つ選べ.

A:同一検体での再測定を依頼する.
B:採血し直して再度血算検査を依頼する.
C:検体で塗抹標本を作製し,血小板凝集の有無を確認する.
D:血小板輸血を施行する.
E:骨髄検査を施行する.


問題06

68歳の男性患者.右下肢の深部静脈血栓症で入院中に膵臓癌を発見され,化学療法中.一昨日まで亢進していた赤沈が正常化してきた.この患者に何を想定し,次にどのような検査をすべきか.1つ選べ.

A:膵臓癌が縮小したかどうかをCTで調べる.
B:DIC(播種性血管内凝固症候群)の合併を考え,凝固検査をする.
C:炎症所見の改善がみられるか否か,CRPや白血球を検査する.
D:DICの合併に備え,血小板輸血の準備をする.
E:合併していた糖尿病が改善された可能性があるので,インスリンを測定する.


問題07

Auer小体が認められるのはどの場合か.1つ選べ.

A:成人T細胞白血病
B:原発性マクログロブリン血症
C:急性前骨髄球性白血病
D:特発性血小板減少性紫斑病
E:慢性リンパ性白血病


問題08

組み合わせで正しいのはどれか.1つ選べ.

A:B細胞性悪性リンパ腫──CD20陽性
B:NK細胞腫瘍──CD38強陽性
C:急性巨核芽球性白血病──CD23陽性
D:急性リンパ性白血病──CD33陽性
E:成人T細胞白血病──CD8陽性


問題09

疾患と遺伝子異常との組み合わせとして誤りはどれか.1つ選べ.

A:急性骨髄性白血病──AML1/ETO
B:急性前骨髄球性白血病──PML/RARα
C:急性Bリンパ芽球性白血病──minor-BCR/ABL
D:慢性骨髄性白血病──major-BCR/ABL
E:濾胞性リンパ腫──IGH/BCL1


問題10

白血球あるいは血小板にも異常を認めるのはどれか.2つ選べ.

A:鉄欠乏性貧血
B:サラセミア
C:骨髄異形成症候群
D:自己免疫性溶血性貧血
E:悪性貧血


問題11

ヘプシジンについて正しいのはどれか.2つ選べ.

A:主に腎臓で産生される.
B:腸管からの鉄吸収を促進する.
C:IL-6によって産生が亢進する.
D:鉄過剰状態では産生が低下する.
E:慢性炎症や悪性腫瘍に伴う貧血に関与する.


問題12

赤血球の産生状態を最もよく反映するのはどれか.1つ選べ.

A:LDH
B:血清鉄
C:フェリチン
D:網赤血球数
E:間接ビリルビン


問題13

68歳の女性.労作時の息切れと舌痛を主訴に来院した.WBC2,900/μl,RBC184×104/μl,Hb7.9g/dl,Ht22.9%,Ret8.5‰,Plt5.5×104/μl,T-Bil2.1mg/dl,D-Bil0.8mg/dl,LDH1,368IU/l.骨髄血塗抹ライト・ギムザ染色標本を図に示す.診断はどれか.1つ選べ.

A:再生不良性貧血
B:急性骨髄性白血病
C:自己免疫性溶血性貧血
D:悪性貧血
E:発作性夜間血色素尿症


問題14

再生不良性貧血でみられるのはどれか.1つ選べ.

A:網赤血球数増加
B:破砕赤血球出現
C:血清フェリチン低値
D:血清ハプトグロビン低値
E:血中エリスロポエチン高値


問題15

真性多血症の診断に合致しない検査所見はどれか.1つ選べ.

A:ヘマトクリット高値
B:血清エリスロポエチン(EPO)高値
C:BCR/ABL遺伝子陰性
D:好中球アルカリホスファターゼ(NAP)スコア正常ないし高値
E:動脈血酸素飽和度正常


問題16

下記に示す疾患で,大球性貧血を呈しやすい貧血はどれか.2つ選べ.

A:鉄欠乏性貧血
B:鉄芽球性貧血
C:慢性疾患に伴う貧血
D:アルコール依存症
E:ビタミンB12欠乏性貧血


問題17

骨髄検査を行わなくても確定診断できるものはどれか.1つ選べ.

A:急性骨髄性白血病
B:急性リンパ性白血病
C:慢性骨髄性白血病
D:成人T細胞白血病
E:骨髄線維症


問題18

次のうち,リンパ球増加をきたすものはどれか.1つ選べ.

A:結節性多発動脈炎
B:全身性エリテマトーデス
C:結核
D:百日咳
E:副腎皮質ステロイド服用


問題19

63歳の女性.約2カ月前から甲状腺機能亢進症の治療を受けている.数日前から続いている咽頭痛と発熱を主訴に来院した.体温38.2°C,咽頭の発赤があり,両側の扁桃腺は腫大して発赤と白苔がある.末梢血液検査では,WBC600/μl(単球3%,リンパ球97%),RBC427×104/μl,Hb12.8g/dl,Plt22.5×104/μl,CRP10.81mg/dlである.
考えられる疾患はどれか.1つ選べ.

A:急性リンパ性白血病
B:再生不良性貧血
C:骨髄異形成症候群
D:無顆粒球症
E:後天性免疫不全症候群


問題20

次の組み合わせで正しいのはどれか.1つ選べ.

A:Chediak-Higashi症候群──走化能異常
B:白血球粘着不全症──殺菌能異常
C:慢性肉芽腫症──貪食能異常
D:高IgE症候群──殺菌能異常
E:ミエロペルオキシダーゼ症候群──形態異常


問題21

末梢血白血球分画ならびに白血球形態に関して正しいものはどれか.2つ選べ.

A:異型リンパ球とは,リンパ性白血病でみられる病的細胞である.
B:重症感染症において,好中球に中毒顆粒やDöhle小体をよく認める.
C:悪性貧血などでみられる好中球の核分葉異常(過分葉)を偽性Pelger-Huet異常と称する.
D:白血球数10,000/μlで,そのうち好酸球が50%以上みられるときは,特発性好酸球増多症候群の可能性が最も高い.
E:末梢血液像に赤芽球を反復して多数認めるときは,骨髄検査で原因を調べる.


問題22

66歳,男性.生来健康で出血傾向はなく,昨年8月に早期胃癌に対し噴門側胃切除術を施行し,止血に問題はなかった.術前検査でも凝固異常を認めなかった(PT-INR0.88,APTT27.6秒).12月に吻合部潰瘍からの出血による下血をきたし,同時に広汎な皮下出血斑が繰り返し全身に現れるようになり,今年3月に当院に紹介された.初診時,PT-INR1.08,APTT126.3秒であった.
追加検査所見として不適当なものはどれか.1つ選べ.

A:凝固第VIII因子活性1%未満
B:凝固第V因子活性2%
C:ループスアンチコアグラント陰性
D:血小板数20×104/μl
E:FDP3μg/ml


問題23

正しいものはどれか.1つ選べ.

A:PC欠損症では,一般的にPTは短縮する.
B:妊娠時にPS活性は低下する.
C:FDPは鋭敏なDVTの分子マーカーとして有用である.
D:ヘパリンのモニターにはPTが有用である.
E:第V因子Leiden変異はアジア人に固有の遺伝子変異である.


問題24

30歳,男性.慢性骨髄性白血病の急性転化期と診断された.適切な治療はどれか.2つ選べ.

A:α-インターフェロン
B:造血幹細胞移植
C:ヒドロキシカルバミド
D:イマチニブメシル酸塩
E:ダウノルビシン


問題25

造血幹細胞移植について,以下の記述で間違っているのはどれか.1つ選べ.

A:同種骨髄移植において,患者の血液型がO型でドナーの血液型がA型の場合,採取された骨髄液は赤血球除去処理を施行後輸注される.
B:同種造血幹細胞移植後の再発例に対して,ドナーのリンパ球を輸注し再発を治療しようとするドナーリンパ球輸注療法(DLI)はGVL(graft-versus-leukemia)効果を利用したものである.
C:同種末梢血幹細胞移植は同種骨髄移植に比べ造血回復は早いが,慢性GVHD(graft-versus-host disease)の頻度と重症度は高い.
D:RT-PCRによる微小残存病変が陰性の第2寛解が得られた急性前骨髄球性白血病は,同種移植の積極的な適応である.
E:予後不良因子を1つ有する第1寛解期の急性リンパ性白血病は同種移植の適応である.


問題26

急性前骨髄球性白血病(APL)の標準的初回寛解導入療法に関する記載で正しいものはどれか.1つ選べ.

A:治療開始時の末梢血APL細胞数が3,000/μl以上の場合,まずall-trans retinoic acid(ATRA)単剤の治療を試みる.
B:ATRA投与中に末梢血のAPL細胞が1,000/μl以上となる症例では,ATRAの増量をする.
C:現在,APLの初回寛解導入率は約60%である.
D:予後良好因子の一つとして,出血やDICのないことが挙げられる.
E:RA症候群では病初期から腹水貯留と黄疸が出現する.


問題27

強力な抗凝固作用を有さない蛋白質はどれか.1つ選べ.

A:アンチトロンビン
B:プロテインC
C:プロテインS
D:トロンボモジュリン
E:アンチトリプシン


問題28

特発性血小板減少性紫斑病(ITP)に関する記載のなかで適切なものはどれか.1つ選べ.

A:20~40歳に最も多い疾患である.
B:Helicobactor pyloriの除菌療法は効果がない.
C:血小板数が10×104/μl以下であれば治療を行うべきである.
D:γ-グロブリン大量療法は永続性があり有用である.
E:難治ITP症例に対してリツキシマブの効果は優れている.


問題29

抗リン脂質抗体症候群を疑わせる臨床所見・検査成績でないものはどれか.1つ選べ.

A:30歳で発症した脳梗塞
B:産婦人科的に原因が明らかでない妊娠第12週の子宮内胎児死亡
C:活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)43秒
D:血小板数6.5×104/μl
E:抗核抗体640倍陽性


(解答は本誌掲載)