HOME雑 誌medicina誌面サンプル 45巻9号(2008年9月号) > 今月の主題「理解のための24題」

今月の主題

「理解のための24題」


問題01

研究結果が,研究の場以外にも当てはまるかどうかを示す言葉は,次のうちどれか.

A:内的妥当性
B:外的妥当性
C:基準関連妥当性
D:社会的妥当性
E:倫理的妥当性


問題02

エビデンスの外的妥当性に関して誤っているものはどれか.2つ選べ.

A:ほかの患者集団に当てはまるか否かの判断である.
B:普遍性(generalizability)と同義語である.
C:研究の質(quality)と同義語である.
D:EBM実践のステップ4に含まれる.
E:より厳しい基準で外的妥当性を判断すべきである.


問題03

患者の自律性を尊重する医師の態度として,間違っているものはどれか.1つ選べ.

A:患者中心のアウトカムを重視する.
B:介入の効果の説明に絶対リスク軽減率を用いる.
C:患者が感じる重圧に対して,共感的態度を示す.
D:複数の問題の解決に優先順位をつける必要がある場合は,問題の緊急性と介入により得られる価値を分けて考えるよう促す.
E:選択肢の提示の際には,医師の推奨を述べることを避ける.


問題04

糖尿病に関する記述で正しいものはどれか.1つ選べ

A:高血圧の治療目標値は130/85mmHg未満である.
B:高LDLコレステロール血症の治療目標値は100mg/dl未満である.
C:メタボリックシンドロームにおける高血糖は126mg/dl以上である.
D:メタボリックシンドロームに特徴的な脂質異常は高LDLコレステロール血症である.
E:糖尿病腎症第2期では降圧治療が提唱されている.


問題05

糖尿病と腎疾患に関する以下の記載のうち,正しいものはどれか.1つ選べ.

A:糖尿病性腎症の患者で血尿がみられたため,血糖コントロールを厳格にした.
B:尿中アルブミンが陽性になったが,血圧管理を見直す必要はない.
C:肥満を有する糖尿病性腎症第3期Bの患者にメトホルミンの投与は勧められる.
D:インスリンは肥満を助長するため,なるべく使用しない.
E:腎症第3期Bの患者にアンギオテンシン受容体拮抗薬の投与を開始した.


問題06

COPDと併存症について,間違っているものはどれか.1つ選べ.

A:COPD患者の死因として呼吸不全が最多であり,心血管障害はごく稀である.
B:心選択性の高いβ遮断薬は閉塞性換気障害のある場合でも比較的安全性が高いといわれている.
C:COPD増悪時に心不全との鑑別にはBNPが有用であり,BNPが500fmol/mlを超えるときはほとんどの場合,左心不全が存在する.
D:COPDに冠動脈疾患の併存が多い理由として,喫煙だけでなく全身性炎症との関連が推察されている.
E:COPDでは肺癌の合併も多く,禁煙と日常診療での早期発見が重要である.


問題07

偽膜性腸炎について,正しいものはどれか.2つ選べ.

A:症状は腹痛と血性下痢が主体である.
B:原因となる抗生物質はセフェム系が最も多い.
C:大腸内視鏡検査は禁忌である.
D:バンコマイシンの経口投与が有効である.
E:下痢に対して抗コリン薬や麻薬を積極的に用いたほうがよい.


問題08

本邦で最も頻繁に用いられている降圧薬はカルシウムチャネル拮抗薬であるが,その副作用について正しいものはどれか.1つ選べ.

A:便秘を起こしやすいものもある.
B:下肢浮腫を起こしやすい.
C:胃食道逆流症状の増悪をもたらすことがある.
D:徐脈は起こしやすいが頻脈は起こさない.
E:頻脈も徐脈も起こすものがある.


問題09

ワルファリンの作用を増強するのはどれか.1つ選べ.

A:ビタミンK
B:カルバマゼピン
C:フェノバルビタール
D:リファンピシン
E:エリスロマイシン


問題10

プレドニゾロン10mg/日の内服とインフリキシマブを投与されている60歳女性の関節リウマチ患者が肺結核を発症した.リファンピシン,イソニアジド,エタンブトール,ピラジナミドの4剤で結核治療を開始することになった.次のうち,誤っているものはどれか.1つ選べ.

A:プレドニンは抗結核薬の効果を減弱させるため,直ちに中止した.
B:エタンブトールの副作用チェックのために眼科受診を依頼した.
C:肝酵素上昇に注意しながら治療を行った.
D:ビタミンB6を併用した.
E:インフリキシマブを直ちに中止した.


問題11

潰瘍性大腸炎の緩解を維持するための治療法として,正しいものを2つ選べ.

A:プレドニゾロン
B:メサラジン注腸
C:白血球除去療法
D:アザチオプリン
E:シクロスポリンA


問題12

75歳の女性.左膝関節痛を訴えて整形外科を受診し,変形性関節症と診断された.検診結果で血清クレアチニン1.8mg/dlであったため,鎮痛薬の投与に関して内科医としての判断を求められた.整形外科医への返答として誤っているものはどれか.1つ選べ.

A:アセトアミノフェンは慢性腎臓病の症例には比較的安全に投与できる.
B:消炎鎮痛薬の湿布薬は,全身的な副作用が少ない.
C:尿量の維持のために利尿薬を開始したほうがよい.
D:非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が必要である場合には,少量から開始する.
E:ヒアルロン酸の関節内注射は,慢性腎臓病の症例でも可能である.


問題13

造影剤腎症を予防するために無効な薬剤はどれか.2つ選べ.

A:輸液負荷
B:アセチルシステインの投与
C:フロセミド(ラシックス®)の投与
D:マンニトールの投与
E:より低い浸透圧の造影剤の使用


問題14

推定GFR20ml/min/1.73m2の60歳男性に冠動脈造影検査を予定している.検査の医学的適応がある場合に,適切な対処はどれか.1つ選べ.

A:造影剤腎症の発症リスクが高いので,透析導入まで検査を保留する.
B:造影剤腎症を予防するために生理的食塩水を検査前後6時間以上,体重当たり1ml/時の速度で投与する.
C:造影剤腎症を予防するために,Nアセチルシステインを経口投与する.
D:造影剤腎症を予防するために,検査終了後1時間以内に血液透析を実施する.
E:造影剤腎症の発症を予防するためにヨード造影剤ではなく,ガドリニウム含有造影剤を使用する.


問題15

薬剤溶出性ステント(DES)留置患者に対する抗血小板療法について,誤りはどれか.1つ選べ.

A:ステント血栓症の予防には,アスピリンとチエノピリジン(チクロピジンやクロピドグレル)の併用が必須である.
B:アスピリンとチエノピリジンの併用は1年間投与することが望ましい.
C:アスピリンはできる限り,永続的に投与することが望ましい.
D:チエノピリジンはアスピリンよりも胃潰瘍の発生が少ない.
E:胃潰瘍合併例ではアスピリンとチエノピリジンを両方とも中止する.


問題16

低用量アスピリンによる消化性潰瘍発症の確実なリスク因子として,誤っているものはどれか.1つ選べ.

A:70歳の高齢者
B:喫煙者
C:ステロイド内服者
D:潰瘍の既往歴
E:非ステロイド消炎鎮痛薬併用者


問題17

うつ病で治療中のC型慢性肝炎にIFNを投与する場合,最も注意すべきものはどれか.2つ選べ.

A:ウイルスの型
B:うつ病の重症度
C:ウイルス量
D:患者の希望
E:内科医と精神科医との連携


問題18

C型慢性肝炎のインターフェロン治療に伴って,最も多く出現する副作用はどれか.1つ選べ.

A:神経症状(知覚異常など)
B:間質性肺炎
C:精神症状(うつ状態など)
D:糖尿病あるいはその悪化
E:自己免疫性疾患


問題19

ステロイド糖尿病の治療で間違っているものはどれか.2つ選べ.

A:インスリン抵抗性が主体であるため,インスリン抵抗性改善の投与が好ましい.
B:インスリンの絶対欠乏を伴うことが多く,インスリン治療が必要となる.
C:インスリン治療開始後も食事療法を継続し,体重増加を惹起しないように努める.
D:朝の空腹時血糖が正常である場合は.朝の投薬を避けるほうが好ましい.
E:ステロイド糖尿病の治療法に関するエビデンスは,ほとんどみられない.


問題20

次のうち,糖尿病患者における血糖コントロールに最も影響の少ないものはどれか.1つ選べ.

A:メトトレキサート
B:デキサメタゾン
C:タクロリムス
D:ガチフロキサシン
E:トリクロルメチアジド


問題21

高齢者への薬物投与と転倒・骨折の関係で,正しいものはどれか.1つ選べ.

A:転倒に寄与するリスク要因として,強い順に筋力低下,バランス機能低下,物的環境,そして第4位に薬物が挙げられる.
B:高齢者に用いる薬物のなかで抗コリン薬,抗不整脈薬,頻尿治療薬にも転倒の危険性があり,投与に際しては用量などについて慎重性が必要である.
C:ベンゾジアゼピン系薬剤のなかでも,トリアゾラム(ハルシオン®)やエチゾラム(デパス®)は精神・神経機能障害が強い一方,筋弛緩作用はない.
D:睡眠導入薬のなかで,消失半減期が30時間以上に及ぶ長時間作用型(例;フルラゼパム)には強い幻覚作用があり,このことが転倒の危険因子となっている.
E:在宅高齢者よりも施設高齢者において転倒率が高いのは,ベンゾジアゼピン系薬剤の処方率が特に高いことによっている.


問題22

次のうち,PEGの絶対禁忌と考えられる病態はどれか.1つ選べ.

A:誤嚥性肺炎患者
B:腹水患者
C:摂食障害患者
D:補正できない出血傾向の患者
E:認知症患者


問題23

ヨード造影剤に関して,不適切なものはどれか.1つ選べ.

A:低浸透圧性造影剤の浸透圧は,血清より高い.
B:造影剤腎症を防ぐため,救急室では造影剤の使用を決定した時点で,生理食塩水の投与を開始する.
C:メトホルミンを内服している場合は,乳酸アシドーシスの危険がある.
D:腎機能障害があれば,造影CTは行わない.
E:造影剤過敏症はアナフィラキシー様反応である.


問題24

72歳,会社を経営している男性.「数年前から週に1回程度,数分続く動悸を自覚してきたが,動悸が止まらなくなった」と来院した.貧血はなく,心電図では心房細動を認めた.高血圧で近医より降圧薬を処方されており,HbA1c6.3%程度で食事指導も受けているが,毎年の人間ドックではほかに健康上の問題は指摘されていない.日本循環器学会のガイドラインに従い,この患者に対する抗血栓療法として,第一に推奨する方法を選べ.

A:抗凝固薬・抗血小板薬とも不要である.
B:アスピリン100mg/日を処方する.
C:チクロピジン200mg/日・分2を処方する.
D:ワルファリンを処方する.目標とするPT-INRは1.6~2.6である.
E:ワルファリンを処方する.目標とするPT-INRは2.0~3.0である.


(解答は本誌掲載)