今月の主題 「理解のための30題」 |
問題 1 国際頭痛分類第2版(ICHD-II)で診断基準が確定できなかった頭痛はどれか。(1)月経に伴う片頭痛(2)前兆のない片頭痛 (3)前兆のある片頭痛 (4)慢性片頭痛 (5)薬物乱用頭痛 A:(1),(2),(3)
問題 2 正しい組み合わせはどれか。(1)日本人の片頭痛の有病率は,米国より低い。(2)一般に片頭痛の有病率は,女性の方が高い。 (3)日本では,片頭痛より緊張型頭痛の方が多い。 (4)頭痛の疫学調査には,米国頭痛学会の診断基準が用いられている。 (5)片頭痛患者では,肩こりを伴うことは稀である。 A:(1),(2),(3)
問題 3 頭痛の問診で正しいのはどれか。(1)正確な病歴は問診票を駆使して行えば一回の診察で得ることが可能である。(2)一次性頭痛でありそうであっても一度は,頭部CT・MRI・MRAを撮影しておくことが必要である。 (3)MIDASは頭痛の支障度,重症度を評価する自己記入式質問票である。 (4)片頭痛スクリーナーには肩こりの除外という項目がある。 (5)国際頭痛学会分類改訂版(ICHD-II)日本語版は学問的な頭痛分類法で,主に研究に役立つ。 A:(1),(2)
問題 4 頭痛の補助診断検査として適切なものはどれか。(1)脳波(2)筋電図 (3)頭部CT (4)腰椎穿刺 (5)脳血流シンチ A:(1),(2)
問題 5 頭痛,意識混濁,右半身不全麻痺のある患者。可能性のある疾患はいずれか。(1)片頭痛(2)ウイルス性髄膜炎 (3)急性硬膜下血腫 (4)群発頭痛 A:(1),(2),(3)
問題 6 片頭痛に関して正しいものをひとつ選べ。A:Spreading depressionが関与すると考える説は三叉神経血管説と呼ばれている。B:片頭痛の病態に頭蓋血管の反応性の異常は関与しない。 C:Spreading depressionは脳局所に存在する神経細胞に起こる過分極である。 D:Spreading depressionに伴い脳血流量は増加しその後の血流低下は起こらない。 E:Spreading depression後,三叉神経血管系の活性化が起こるかどうか確証は得られていない。 問題 7 片頭痛治療薬に関して正しい記述はどれか。A:アセトアミノフェンは妊婦には禁忌である。B:酒石酸エルゴタミンは妊娠後期に使用する。 C:トリプタンの主作用はセロトニン受容体遮断である。 D:トリプタンは片頭痛が重度になってから使用する。 E:月経時片頭痛では鎮痛薬とトリプタンの併用が有用である。 問題 8 前兆のある片頭痛の患者が受診した。視覚前兆は約30分続き,その後,嘔気や時に嘔吐を伴う頭痛発作が出現するという。頭痛発作はピークに達するまでに約1時間以内と比較的早い。発作回数は月に4~5回ぐらいあり,恐怖感とともに日常生活に支障をきたしているために,予防薬として塩酸プロプラノロール(インデラル®錠)を処方した。この患者の発作時のトリプタン製剤として有効と思われるものの組み合わせを選べ。(1)スマトリプタン点鼻薬(2)リザトリプタン口腔内崩壊錠 (3)ゾルミトリプタン口腔内速溶錠 (4)エレトリプタン錠剤 A:(1),(2),(3)
問題 9 片頭痛の予防治療について正しいものはどれか。(1)頭痛発作の頻度が高い場合,急性期治療薬が使用できない場合が予防療法の適応となる。(2)頻用される薬剤は,塩酸ロメリジン,アミトリプチリン,プロプラノロール,バルプロ酸である。 (3)予防薬は少量より開始し効果発現まで増量する。 (4)いずれの予防薬も1週間以内に効果が発現する。 A:(1),(2),(3)
問題 10 片頭痛の病態から有効性が期待できる薬剤はどれか。A:ガンマアミノ酪酸受容体阻害薬B:ドパミン受容体作動薬 C:カルシトニン遺伝子関連ペプチド拮抗薬 D:皮質性拡散抑制作動薬 E:一酸化窒素合成酵素刺激薬 問題 11 緊張型頭痛の治療について,正しい組合せはどれか。(1)急性期治療で有用性が証明されているのは鎮痛薬と抗うつ薬である。(2)急性期治療でNSAIDsにカフェインの併用はエビデンスがある。 (3)アミトリプチリンは反復性緊張型頭痛に有効性が認められていない。 (4)予防療法は2週間程度使用し評価すべきである。 (5)頭痛体操は副作用はないが,エビデンスに乏しく勧められない。 A:(1),(2)
問題 12 群発頭痛の急性期治療として有効なものはどれか。(1)ベラパミルの静脈注射(2)スマトリプタンの皮下注射 (3)プレドニゾロンの静脈注射 (4)純酸素吸入 A:(1),(2),(3)
問題 13 群発頭痛で認められる自律神経症状はどれか。(1)結膜充血(2)前頭部の発汗 (3)鼻漏 (4)散瞳 A:(1),(2),(3)
問題 14 薬物乱用頭痛について正しい組み合わせはどれか。(1)片頭痛患者に多い。(2)トリプタンは薬物乱用の原因とはならない。 (3)多種類の急性期治療薬を組み合わせれば薬物乱用とはならない。 (4)治療は予防薬も含めいっさいの薬物を中止することである。 (5)急性期治療薬を毎週2日以上服用していれば薬物乱用を疑う。 A:(1),(2)
問題 15 突然発症の激烈な頭痛が生まれて初めて起きた成人男性,頭蓋内疾患を疑い,全身状態,神経症状を評価,把握後,まず行う検査は以下のうちどれか?A:腰椎穿刺B:頭部MRI C:頭部CT D:血液検査 E:胸部単純X線 問題 16 特発性低髄液圧性頭痛で認めることがある症状はどれか。(1)項部硬直(2)耳鳴 (3)聴力低下 (4)光過敏 A:(1),(2),(3)
問題 17 頸椎由来の頭痛に関して正しい組み合わせはどれか。(1)大後頭神経の刺激症状としての頭痛の頻度は高い。(2)関節リウマチによる上位頸椎病変ではしばしば頭痛を伴う。 (3)転移性頸椎腫瘍に伴う頭痛は激烈である。 (4)頭痛は頸部のブロック療法で軽快することが多い。 A:(1),(2),(3)
問題 18 急性緑内障発作について正しい組み合わせはどれか。(1)近視眼に多い。(2)閉塞隅角である。 (3)瞳孔は散大している。 (4)両眼同時発症が多い。 (5)治療はアトロピン点眼である。 A:(1),(2)
問題 19 以下のうち,正しいものはどれか。(1)慢性副鼻腔炎による頭痛は稀ではない。(2)副鼻腔には真菌症はありうる。 (3)アレルギー性鼻炎に伴う副鼻腔炎は稀でない。 (4)副鼻腔癌による頭痛は起こりうる症状である。 A:(1),(2),(3)
問題 20 頭蓋周囲の圧痛を伴う緊張型頭痛の診断基準である頭蓋周囲の圧痛を有する筋肉のなかで,咀嚼筋に分類される筋肉はどれか。(1)前頭筋(2)側頭筋 (3)咬筋 (4)外側翼突筋 (5)胸鎖乳突筋 A:(1),(2),(3)
問題 21 精神科疾患と痛みについて正しいものはどれか。A:うつ病と片頭痛はしばしば併存する。B:疼痛性障害に対して抗うつ薬は無効である。 C:心気症に関しては器質的検索の必要はない。 D:うつ病の治療には安静よりも運動が重要である。 E:精神疾患による頭痛は,精神病性障害による頭痛とてんかんによる頭痛に分けられる。 問題 22 典型的三叉神経痛について,正しい組み合わせはどれか。(1)発作性の痛みで5秒から240秒持続する。(2)トリガー域から発生するかまたはトリガー因子により発生する。 (3)血管による三叉神経根圧迫が原因である (4)しばしば両側性の激痛,鋭い痛みである。 (5)発作間歇期に,感覚障害を認めることは稀でない。 A:(1),(2)
問題 23 高血圧と頭痛について,正しい組み合わせはどれか。(1)脳血流は平均血圧60~160mmHgの範囲で一定に保たれる。(2)高血圧性脳症では,側頭葉中心に浮腫性変化を認めることが多い。 (3)高血圧性脳症の脳病変では,MRIにおけるADCが低下している。 (4)高血圧がなくても,頸動脈内膜剥離術後に高血圧性脳症様の病態が出現することがある。 (5)頭痛患者に高血圧が存在する場合は,降圧したほうがよい。 A:(1),(2),(3)
問題 24 アロディニアに関して正しい組み合わせはどれか。(1)片頭痛に特異的な症候である。(2)痛くて髪が触れなくなる。 (3)手がしびれる (4)発現に中枢性感作が関与する。 (5)トリプタンはアロディニアが出現してから使用する。 A:(1),(2),(3)
問題 25 片頭痛のなかで将来脳梗塞を発症する危険率が最も高いのはどれか。A:前兆のある片頭痛男女B:前兆のない片頭痛男女 C:45歳未満の片頭痛男性 D:45歳未満の片頭痛女性 E:経口避妊薬を使用している前兆のある片頭痛女性 問題 26 小児片頭痛の急性期治療薬としてエビデンスの確立している治療薬について,正しい組み合わせはどれか。(1)トリプタンの錠剤(2)エルゴタミン (3)アセトアミノフェン (4)スマトリプタン点鼻薬(12歳以上) (5)イブプロフェン A:(1),(2),(3)
問題 27 妊娠・授乳期の頭痛治療の際に,使用することが可能な薬剤はどれか。(1)トリプタン(2)呉茱萸湯 (3)プロプラノロール (4)アセトアミノフェン (5)エルゴタミン A:(1),(2),(3)
問題 28 頭痛発作と睡眠段階の関連で正しい組合せはどれか。(1)レム睡眠-片頭痛(2)レム睡眠-群発頭痛 (3)レム睡眠-発作性片側頭痛 (4)ノンレム睡眠-睡眠時頭痛 A:(1),(2),(3)
問題 29 労働安全衛生法で定められている産業医の責務について,正しいものはどれか。(1)時常50人以上を使用する事業者は,産業医を選任しないと罰則がある。(2)常時50人以上を使用する事業者の50人のなかにパート労働者は含まれない。 (3)産業医は自ら所轄労働基準監督署に届け出る。 (4)産業医の職場巡視は,3カ月に1回でよい。 (5)有害作業の管理上,惹起した問題は安全衛生委員会に取り上げて,管理業務執行上の解決を図る。 A:(1),(2)
問題 30 頭痛外来,病診連携について不適切な選択肢はどれか。A:頭痛専門外来を開設し,広報を行うと頭痛患者は4倍程度の増加が見込まれる。B:頭痛外来を訪れる頭痛患者の8割は片頭痛である。 C:頭痛外来の来院目的の2割は「頭痛の原因を知りたい」である。 D:頭痛クリニックの患者満足度は9割程度である。 E:薬物乱用頭痛を回避するために頭痛診療は医師が主導して行う。 (解答は本誌掲載)
|