今月の主題 「理解のための34題」 |
問題 1 関節リウマチについて,正しい組み合わせはどれか。(1)ペプチド中のシトルリン残基はPADI(peptidylarginine deiminase)がアルギニン残基に作用して作られる。(2)抗CCP抗体の疾患特異性は高く,RA診断に有用な血清学的検査である。 (3)TNF-αなど炎症性サイトカインを標的にした生物学的製剤のみならず,CTLA4-Igや抗CD20抗体もRAに有効である。 (4)関節リウマチの疾患感受性遺伝子としてはHLA-B27が重要である。 A:(1),(2),(3)
問題 2 わが国の関節リウマチ患者数はおよそいくらか。A:5万人
問題 3 診療ガイドラインに関して,正しい記述はどれか。(1)臨床医と患者の意思決定を支援するものである。(2)近年ではEBMの手法を用いて作成される。 (3)扱うテーマによっては,高いレベルのエビデンスが得られない場合がある。 (4)診療ガイドラインで推奨されている治療法は,どんな患者にも用いるべきである。 A:(1),(2),(3)
問題 4 RAの薬剤経済評価について,正しいものの組み合わせはどれか。(1)RAの疾病コストは,直接コストのほうが間接コストよりも一般的に高額になる。(2)ICERが「1人救命あたり100万円」であれば,一人の患者に100万円つぎ込めば必ずその人を救命できる。 (3)生物学的製剤はRAの薬剤費を押し上げるが,その他のコストは削減できる可能性がある。 (4)薬剤経済評価は,高額な薬剤の使用を一律に否定するものではない。 (5)薬剤経済評価の結果がdominantにならないときは,そのような薬は使うべきでない。 A:(1),(2)
問題 5 RAの診断について,正しい組み合わせはどれか。(1)ACR1987年改訂分類基準は早期診断に適している。(2)リウマトイド結節はRA早期から出現し,感度,特異度ともに高い。 (3)RA症例では抗CCP抗体は関節炎発症前から検出されることがある。 (4)骨MRI検査で検出される骨浸蝕像は,単純骨X線検査で検出される骨浸蝕像に先行してみられる。 (5)抗CCP抗体陽性の関節炎症例は後にRAと診断される確率が高い。 A:(1),(2),(3)
問題 6 関節リウマチで比較的特異的に腫脹してくる関節はどれか。(1)仙腸関節(2)膝関節 (3)手指DIP(遠位指節間)関節 (4)足趾MTP(中足趾節)関節 A:(1),(2),(3)
問題 7 関節リウマチの画像診断について,正しいものはどれか。(1)X線分析法としては,Steinbrocker法,Larsen法,Sharp法がある。(2)Sharp法は,骨びらんと関節裂隙を評価してスコア化する。 (3)超音波法では,軟部組織の詳細や血流の程度まで把握できる。 (4)MRI法は,軟部組織,骨髄病変,組織の性状評価や,早期RA発見にも有用である。 A:(1),(2),(3)
問題 8 RAの鑑別すべき下記の疾患のなかで誤っているものはどれか。A:全身性エリテマトーデス(SLE)による手指尺側変形には骨びらんがない。
問題 9 RAの外来診療で使用される薬剤と副作用の関連で誤っているものはどれか。A:NSAIDs──胃潰瘍
問題 10 RA疾患活動性の評価と予後の予測について,正しい組み合わせはどれか。(1)体重減少,発熱,朝のこわばり時間,易疲労感などは疾患活動性の指標となる。(2)関節外症状(多発性単神経炎,指趾潰瘍,間質性肺炎,腸管梗塞など)をもつRA患者の生命予後は悪い。 (3)RAの身体機能評価法について,ACRコアセット,DASのとき赤沈,CRPの測定は必要であり,mHAQ,VASでは血液検査は不要である。 (4)ACRコアセットでは,各患者の評価を比較できるがDASではできない。 (5)抗CCP抗体はRAの特異抗体であり診断時価値が高い,MMP-3は滑膜細胞でのみ産生され6~12カ月後の骨破壊予測因子である。 A:(1),(2),(3)
問題 11 関節炎/関節リウマチに特化したQOL評価指標は次のうちのどれか。(1)EuroQOL(2)Arthritis Impact Measurement Scales (AIMS) (3)MOS Short Form 36(SF-36) (4)Health Assessment Questionnaire (HAQ) A:(1),(2),(3)
問題 12 関節リウマチの治療に用いる生物学的製剤について,正しい組み合わせはどれか。(1)シクロオキシゲナーゼ活性阻害作用を有する。(2)サイトカイン産生阻害作用を有する。 (3)軟骨保護作用を有する。 (4)骨破壊進行を阻止する。 (5)血栓症誘発作用を有する。 A:(1),(2),(3)
問題 13 関節リウマチ患者に病気を説明する場合,以下の中から正しいものを選択せよ。(1)病気が難治であることを理解させ,一生病院から離れられないことを強調する。(2)数年以内に関節が破壊され,関節の手術が必要となることを理解させる。 (3)初期治療がきわめて大事なので,しっかりと腰を据えて治療に専念することを理解させる。 (4)薬の効果と副作用について説明し,自分でも薬の管理ができるよう指導する。 (5)健康人になるべく負けないようしっかりとリハビリテーションを受けるよう指導する。 A:(1),(2)
問題 14 抗リウマチ薬(DMARDs)について,正しい記載はどれか。(1)RAの発症3カ月以内に抗リウマチ薬の投与を開始するべきである。(2)RAの治療としてメトトレキサートの少量間歇投与が有用である。 (3)メトトレキサートの間質性肺炎の頻度は用量に依存する。 (4)サラゾスルファピリジンの効果発現は3カ月以上を要する。 (5)ブシラミンの副作用の代表的なものに蛋白尿がある。 A:(1),(2),(3)
問題 15 NSAIDs誘発性胃潰瘍について,以下の記述から正しい組み合わせを選べ。(1)プロトンポンプ阻害薬は無効。(2)H2ブロッカーが有効。 (3)通常の胃潰瘍より各種症状が高率に出現する。 (4)ミソプロストールが有効。 (5)心・血管病変の合併者でリスクが高い。 A:(1),(2)
問題 16 RAに対するメトトレキサート(MTX)療法時の葉酸製剤投与法について,正しいのはどれか。(1)葉酸製剤はMTX最終服用後24時間以降に服用させる。(2)急性間質性肺炎の際はロイコボリン救命法を行う。 (3)フォリアミン週5mgの併用ではRAに対する治療効果が減弱することはない。 (4)70歳以上の高齢者では副作用の予防目的で葉酸を併用する。 (5)葉酸併用により肝酵素上昇,口内炎の発生頻度は減少する。 A:(1),(2),(3)
問題 17 メトトレキサートの副作用でないのはどれか。A:口内炎
問題 18 少量長期ステロイド投与時に特に,注意すべき副作用はどれか。(1)骨壊死(2)骨粗鬆症 (3)動脈硬化 (4)精神障害 (5)ステロイド筋症 A:(1),(2)
問題 19 生物学的製剤について,正しいものはどれか。A:インフリキシマブは10%マウス蛋白からなるキメラ型抗体である。
問題 20 臨床試験において,関節リウマチによる炎症所見の改善を評価する指標はどれか。正しい組み合わせを選べ。(1)ACR20(2)DAS28 (3)Larsenスコア (4)Sharpスコア (5)MRI所見 A:(1),(2)
問題 21 以下のうち,誤っている記述はどれか。(1)RAに伴う慢性の間質性肺炎は,治療を要しないことが多い。(2)RAに伴う急性の間質性肺炎は,治療を要しないことが多い。 (3)RAに伴う閉塞性細気管支炎はステロイド薬が奏功することが多い。 (4)RAに伴う胸膜病変は,治療を要しないことが多い。 (5)肺内リウマトイド結節は,治療を要しないことが多い。 A:(1),(2)
問題 22 関節リウマチの眼合併症について,正しい組み合わせはどれか。(1)白内障(2)緑内障 (3)強膜炎 (4)角膜潰瘍 (5)ドライアイ A:(1),(2),(3)
問題 23 関節リウマチに合併する皮膚病変について,正しい組み合わせはどれか。(1)リウマトイド結節は肘関節伸側付近に好発する。(2)リウマトイド血管炎は壊死性(アレルギー性)血管炎の病理組織像をとる。 (3)リウマトイド血管炎やrheumatoid neutrophilic dermatitisの治療にジアフェニルスルホンが用いられる。 (4)リウマトイド結節は関節リウマチ患者の約80%にみられる。 (5)特異疹の組織には一般に好酸球と肥満細胞の浸潤がみられる。 A:(1),(2),(3)
問題 24 関節リウマチにおいてみられる腎障害について,正しいものはどれか。(1)免疫複合体沈着によって起こるものがほとんどである。(2)ブシラミンによる腎障害は,組織学的には膜性腎症を呈する。 (3)非ステロイド性抗炎症薬によって大量蛋白尿を呈することがある。 (4)早期関節リウマチにはアミロイドーシスがみられる。 (5)尿細管性蛋白の測定は腎障害発見には意味がない。 A:(1),(2)
問題 25 悪性関節リウマチ(MRA)について正しいものはどれか。(1)胸膜炎を認めることがある。(2)血管炎の組織所見が診断に必須である。 (3)リウマチ因子は通常高値を示す。 (4)皮膚症状の頻度が最も高い。 A:(1),(2),(3)
問題 26 Felty症候群について,正しい組み合わせはどれか。(1)G-CSFは感染症を合併している症例では有効である。(2)治療法は摘脾が第一選択である。 (3)好中球は長期の経過で漸減する。 (4)感染症が予後を左右する。 (5)関節外症状が強い。 A:(1),(2),(3)
問題 27 Sjögren症候群の診断に必要なものはどれか。(1)リウマトイド因子(2)補体 (3)抗DNA抗体 (4)抗核抗体 (5)抗SS-A抗体 A:(1),(2)
問題 28 関節リウマチの手術療法で誤った組み合わせはどれか。(1)環軸椎亜脱臼─椎体固定術(2)手指伸筋腱断裂─腱端々縫合術 (3)股関節臼底突出症─骨盤骨切り術 (4)手関節ムチランス変形─人工手関節置換術 (5)前足部槌趾変形─関節切除形成術 A:(1),(2),(3)
問題 29 関節リウマチに対するリハビリテーションで,正しいのはどれか。(1)リハビリテーションは関節に障害が起こってから始める。(2)リハビリテーションは大きく理学療法と作業療法に分けられる。 (3)内科系リウマチ医は,炎症反応や内臓合併症に専念すれば良い。 (4)リハビリテーションは関節リウマチの初期から末期までかかわる。 A:(1),(2),(3)
問題 30 関節リウマチに合併する呼吸器疾患で,正しい組み合わせはどれか。(1)関節リウマチに伴う間質性肺炎をまず考える必要がある。(2)NSAIDsでは薬剤性肺障害は起きない。 (3)DMARDsを使用している患者は,感染症に注意する必要がある。 (4)メトトレキサート肺炎に葉酸は無効である。 (5)メトトレキサート肺炎は,開始後6カ月間以内に発症する。 A:(1),(2)
問題 31 ステロイド内服中の関節リウマチ患者が発熱,腹痛,下痢,血圧低下を訴えて来院し,輸液,昇圧剤などの初期治療に反応しない場合,最も考えなければならない疾患を1つ選べ。A:Ca拮抗薬中毒
問題 32 以下のうち間違っているものの組み合わせを選べ。(1)関節リウマチに合併する環軸椎前方亜脱臼は頸椎前屈位で増悪する。(2)歯突起が病的骨折を起こすことにより頭蓋内陥入が増悪する。 (3)腱反射の亢進は錐体路徴候であり,脊髄症を示唆する。 (4)環軸椎前方亜脱臼による四肢麻痺の急速な悪化に対しては,まず頸椎装具による保存治療を試みる。 A:(1),(2),(3)
問題 33 関節リウマチについて正しい組み合わせはどれか。(1)関節リウマチは血清学的に診断できる。(2)抗ガラクトース欠損IgG RF(CARF)は関節リウマチに特異度の高い検査である。 (3)血清MMP-3は上気道炎などの非特異的炎症で上昇する。 (4)血清MMP-3は乾癬性関節炎で上昇する。 (5)抗CCP抗体は関節リウマチの診断に有用である。 A:(1),(2)
問題 34 身体障害者手帳で利用できるサービスはどれか。(1)更生医療(2)特定疾患医療費制度 (3)障害年金 (4)介護保険制度 (5)支援費制度 A:(1),(2)
(解答は本誌掲載)
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