Editorial

日本一楽しい「おしっこドリル」
柴﨑俊一
ひたちなか総合病院 救急・総合内科

 「覚えにくい腎臓病、わかりにくい腎臓病をとっつきやすくする」。本家“〇〇〇ドリル”にも負けない、そんな熱い願いを込めて、今回の企画はスタートしました。

 ご存知のとおり、慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)は罹患者数が1,000万人以上を超える、いわば“国民病”です。病棟管理をしていたら「低ナトリウム血症」などの電解質異常は頻発で、外来をしていれば健診異常で「血尿」や「蛋白尿」で多くの方が受診されます。そんなコモンディジーズが多い腎臓領域ですが、非専門の先生方が手軽に学べる入門書はきわめて限られているのが現状です。

 「ならば、若手らでつくってやろうじゃないか!」と、今回、腎臓領域などで若くしてご活躍の先生方にご執筆をお願いしました。現在、まさに現場の最前線に立っている先生方の鋭い視点で、実臨床に明日から活かせるようなトピックを中心にドリルを組んでいます。たまに出会うも敬遠されがちな透析領域や腎移植領域もトピックに選ぶなど、挑戦的な内容も盛り込みました。

 この「おしっこドリル」が腎臓領域の入門・復習として多くの読者の方々に役立つこと、ひいては本家“〇〇〇ドリル”並みの社会的ブームが来る?!ことを願ってやみません。改めまして、このような夢ある企画を山中克郎先生と共同編集させていただけて光栄です。また、本特集にご寄稿いただいた先生方に、心より感謝申し上げます。


山中克郎
諏訪中央病院 総合内科

 酸塩基異常の原因を調べるために細かい計算を行わなければならない腎臓内科は、私にとって不得意な領域です。『日本一楽しい うんこ漢字ドリル』(文響社)が小学生に大人気と聞いて、臨床医が楽しく学べる「おしっこドリル」があったらいいなと思いました。

 松村真司先生(松村医院)と矢吹 拓先生(栃木医療センター内科、p.1578)が編集された『外来診療ドリル─診断&マネジメント力を鍛える200問』(p.1555)や『MKSAP®』(米国内科学会の生涯教育問題集)をイメージして、本特集を企画しました。どちらも臨床でよく出会う問題をどんどんこなすことで、自分のウイークポイントを知り知識を強化していく問題集です。

 多くの合併症を抱え、たくさんの薬を服用している高齢者の診療では、腎・泌尿器疾患の早期発見や適切な治療が要求されます。ご執筆の先生方には「電解質異常」「尿失禁」「尿路感染症」など、できるだけコモンな疾患に関して出題していただきました。

 本特集は、プライマリ・ケア医が身につけておくべき「腎・泌尿器科領域における必須知識の習得」を目指しています。特集の質を最高レベルに高めるため、私が最も信頼する若手腎臓内科医である柴﨑俊一先生に共同編集を依頼しました。総合内科専門医(日本内科学会)試験の準備にも最適な内容となったと思います。

医学の勉強を始めたら、
それを終えることはできない 。

──Charles H. Mayo(1865~1939)
* 米国外科医、メイヨー・クリニック創設者の1人

 勉強を生涯続ける気がないなら、もっと楽な仕事を選ぶべきである。