第17回日本言語聴覚学会開催
2016.07.04
第17回日本言語聴覚学会開催
瀧澤透学会長 |
相談相手となることが教員との連携の鍵
シンポジスト登壇に先立ち,高井小織氏(京都光華女子大)が京都市立小学校での言語・難聴通級指導教室と言語聴覚士の連携の現状を報告した。調査対象の通級担当者25人のうち,約7割は言語聴覚士と連携を取っており,言語聴覚士を講師とした研修会が2年間で12回,民間主催の研修会も6か月で4回行われたが,さらなる連携が求められていることを明らかにした。
続いて登壇したのは岡崎宏氏(医療専門学校水戸メディカルカレッジ)。特別支援教育の推進に関する中央教育審議会の報告(2012年)で「言語聴覚士等の専門家の活用」が明記されたことを踏まえ,特別支援教育の充実に向け,学校に言語聴覚士の活躍の場があると解説した。氏は,言語聴覚士が客観的な評価能力を生かしながら指導計画の策定を支援することで,授業の主体者である教員と連携できると述べた。
京都言語障害研究会で活動を行ってきた松尾友久氏(京都市児童福祉センター発達相談所)は,教員と言語聴覚士が互いの専門性を認め合う環境構築を呼び掛けた。そこで氏は,教員は子どもの成長発達支援への長期的視点を持つのに対し,言語聴覚士は短期的に効果を上げる専門知識・技術を持つと分析。相互の強みを生かす連携のためには,教員と言語聴覚士による事例検討会の開催が有用との見解を示した。
補聴器等の進歩により,難聴児童も通常学級に在籍して学べるようになっている。難聴児童を担当する教員の聴覚相談を行っている言語聴覚士の立場から太田裕樹氏(京都府立宇治支援学校/京都府スーパーサポートセンター)は,言語聴覚士ができることを教員に対してさらに周知するべきと提言。例として難聴児童の発見,座席配置といった必要な配慮の説明,構音障害や摂食・嚥下に関する保護者からの相談への対応を挙げた。言語聴覚士が教育の現場に足を運び,教員が気軽に相談できる専門職だと知ってもらうことが,学校との連携における第一歩だと主張した。
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