医学界新聞

2015.11.30



第23回総合リハビリテーション賞決定


田中創氏
 第23回総合リハビリテーション賞の授賞式が9月29日,医学書院(東京都文京区)にて行われた。今回は,田中創氏(名古屋市総合リハビリテーションセンター作業療法科)他「高次脳機能障害者の自動車運転における行動特徴と機能特性」[総合リハビリテーション.2014;42(5):455-62.]が受賞した。

 本賞は,『総合リハビリテーション』誌編集顧問の上田敏氏が東大を退官する折(1993年)に金原一郎記念医学医療振興財団に寄付された基金を原資として発足。今回は,2014年発行の『総合リハビリテーション』誌に掲載された投稿論文36編を選考対象とし,最も優れた論文に贈られた。

 田中氏らの論文は,医師より自動車運転検査の指示が出された高次脳機能障害患者23人と年齢・性別をマッチングさせた健常者23人を対象として,Trail Making Test,棒反応時間測定,体幹・下肢運動反応検査,ドライビングシミュレーターによる運動行動評価を行ったもの。高次脳機能障害者の運転適性を考える上では,配分性注意と情報処理速度に焦点を当てた機能評価と,複雑な状況判断が求められる運転行動評価を組み合わせることが有用であると考察した。

 『総合リハビリテーション』誌編集委員を代表して橋本圭司氏(国立成育医療研究センター)は,「高次脳機能障害者の自動車運転評価は,時代のニーズにマッチしたもの。結果・考察ともに明解な本論文は,今後この分野の貴重な資料となるであろう」と講評した。受賞のあいさつに立った田中氏は,「現在試行錯誤しながら高次脳機能障害者の自動車運転に対応している医療機関や,公安委員会,自動車教習所の方々に,今回の研究結果を役立てていただきたい。次は,自動車教習所と連携して,実車での研究を目標としたい」と今後の抱負を語った。

 『総合リハビリテーション』誌では本年も,掲載された投稿論文から第24回総合リハビリテーション賞を選定する。詳細については,『総合リハビリテーション』誌投稿規定を参照されたい。

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