医学界新聞

2015.11.02



「全国のお産を安全に守る」ために多職種が集結

第1回ALSO-Japan 年次集会開催


新井隆成会長
 第1回ALSO-Japan 年次集会が9月26-27日,新井隆成会長(恵寿総合病院)のもと金沢都ホテル(金沢市)にて開催された。

 ALSO(Advanced Life Support in Obstetrics/略称:オルソー)とは,周産期救急に効果的に対処できる知識や能力を発展・維持するための教育コース。1990年代に米国で開発され,現在は米国のほとんどの分娩施設において,分娩に携わる医療プロバイダーのALSO受講が義務付けられている。また,ALSOコースは世界的に普及活動が行われており,日本では現在,NPO法人周生期医療支援機構がALSO-Japanとして運営している。

ALSO導入施設の全国ネットワークを構築,さらなる連携の強化に向けて

 記念すべき第1回年次集会のテーマは「ALSOをいかに臨床に生かすか?」。シンポジウム「助産師がALSOを受講する意味――助産師のALSO受講が実践をどう変えたのか」や特別講演4題が企画されたほか,一般演題は52題が採択され,周産期医療に携わる多職種約200人が一堂に会しての熱い議論が交わされた。

 学術集会長講演「ALSOをいかに臨床に生かすか――これまで,そして今後の戦略」の冒頭では,ALSO受講者数の推移を新井氏が報告。2008年のコース導入以後,国内のALSOプロバイダーコース受講者数は4497人(2015年8月1日時点)に達し,産婦人科医,初期研修医,医学生,救急医,プライマリ・ケア医(内訳は順に25%,11%,8%,5%,4%)のほか,近年では助産師(41%)の受講が急増している。また,医療安全の推進に成果を挙げてきたフレームワーク「チームSTEPPS」が12年に導入されたことにより,チームトレーニングに対する産婦人科医の認識が向上。多職種から成る産科医療チーム体制の構築が進展したことを成果に挙げた。今後は,「全国のお産を安全に守る」という使命のもとに,ALSO導入施設の全国ネットワークの構築,病院や地域を超えた連携の強化などの戦略を実行していきたいと抱負を語った。

 特別講演「PCOG(Primary Care OB-GYN)の今後の活動について」では,日本プライマリ・ケア連合学会PCOGプロジェクト代表の伊藤雄二氏(地域医療振興協会総合診療産婦人科養成センター)が登壇した。プライマリ・ケア医の産婦人科研修と実践の普及を目的に,今年4月より活動を開始した同プロジェクトの概要を説明。へき地・離島など地域のお産を守るために,ALSO-Japanや産婦人科施設との連携を図るなど,今後の見通しを明らかにした。

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