医学界新聞

2015.08.31



第21回日本看護診断学会開催


 第21回日本看護診断学会学術大会が2015年7月18-19日,長谷川智子大会長(福井大)のもと「的確なアセスメントから生み出される正しい看護診断」をテーマに開催された(会場=福井市・フェニックス・プラザ)。本紙では,大会長講演「的確なアセスメントから生み出される正しい看護診断」の模様を報告する。

いま一度「アセスメント」の在り方を考える

長谷川智子大会長
 医療の高度化・専門化に伴い,看護師の役割と責任が拡張し,在宅での看護師の役割もさらに重要性を増している。長谷川氏は,「患者と診断の適合性を熟考した上で的確な介入につなげていくためにも,いま一度アセスメントの在り方を考えたい」と述べた。

 アセスメントを行う上で多くの看護師を悩ませているのが“記録”だという。例えば,氏がよく受ける相談は,「簡潔に書くことができない」というもの。一方で,「記録が長くなり過ぎないように」と意識するあまり,症状やケアの個別性が見失われ,自分がつくったパターンに形式的に当てはめてしまう傾向もある。「何をどのように見て,どう判断したのか」ということを,適切な言葉で,簡潔に,記録に残さないと人には伝わらない。そのためには「内面を語る表現力」や「共感的な理解を促す記述力」が重要であり,思考を表現していくことを絶えずトレーニングする必要がある。「わが国では,記録についてのこうした教育が十分ではない」と強調した。

 さらに,アセスメント・看護問題の明確化(看護診断)・計画・実施・評価といった5段階の看護過程では足りないと指摘。まずは「アウトカム」の段階を追加すべきだと提案した。目標に到達したかどうかで看護は評価されるので,アウトカムを明記する必要があり,実際に「解決すべき問題は何か」から「到達すべき目標は何か」に焦点をシフトさせている施設は多くあるという。そしてもう1つ追加すべき段階として「説明と同意」を挙げた。患者に何が起きていて,患者自身はどこをめざしたいのか。そして看護師としてはどこをめざしていくべきなのか。患者の同意を得た上で,同じゴールに向かうべきだと強調した。

 最後に,「どのような状況であっても,患者と一緒に頑張れることを見つけ,そのアウトカムに向かって進んでいきたい」と,看護の未来に向けた抱負とともに講演を締めくくった。

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