MEDICAL LIBRARY 書評・新刊案内
2015.05.25
Medical Library 書評・新刊案内
篠崎惠美子,藤井徹也 著
《評 者》菊池 和子(岩手県立大教授・基礎看護学)
コミュニケーションスキルを根拠に基づき学べる参考書
看護職者は,対象となる人々と対人関係を構築しながら援助を行っています。その前提としてコミュニケーションスキルが必須のものとなります。また,コミュニケーションスキルは看護職者間や多職種との連携においても必要不可欠なものです。
本書は,著者らが聖隷クリストファー大で過去5年間にわたり教授なされた看護コミュニケーション論の授業内容をまとめたものです。
まず,第1部「コミュニケーション論」では,コミュニケーションとは何か,コミュニケーションの種類,コミュニケーションに影響するもので構成され,根拠を示しながらコミュニケーションの基本的技術を解説しており,初学者にとってわかりやすい内容となっています。
第2部「看護におけるコミュニケーション」では,医療(看護)におけるコミュニケーション,良好なコミュニケーションに必要な技法として質問技法と関係構築の技法,積極的傾聴と共感,看護面接のプロセスの13 STEP,看護面接のトレーニングについて会話例を挙げながら,より具体的にイメージできるように挿絵が挿入され,わかりやすく書かれてあります。用語の解説があることで初学者にとっては理解が深まり,看護職者には,知識を再確認できるように工夫されて書かれています。
看護面接のプロセスの13 STEPでは,演習に使用できるシナリオや振り返りが盛り込まれて丁寧に解説がなされ,実際に演習することでコミュニケーションスキルの修得に活用できます。これは,著者らが模擬患者を活用し実際に教育した内容であり,より具体的で実際的に書かれてあります。
第3部「高度なコミュニケーション」では,臨床場面で遭遇すると考えられる困難事例への対応や,多職種連携時のコミュニケーションの実際について,実習場面や臨床場面をイメージして学べるように解説がなされています。
本書は,各章の冒頭に学修目標が示されており,最後に確認テストが設けられています。それらを用いて学習の修得状況がチェックでき,ステップを踏みながら,コミュニケーションの知識と技術を確認し修得していくことができます。
看護学生にとっては,コミュニケーションスキルを学ぶ最適な本であり,看護職者として働いている方々にとっても,その学び直しができるだけでなく,高度なコミュニケーションを学ぶことができます。コミュニケーションの基礎から応用まで,根拠に基づき臨床に根ざした具体例が示された本書を,臨床場面に生かすことのできる参考書として推薦します。
B5・頁144 定価:本体1,800円+税 医学書院
ISBN978-4-260-02063-3
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