医学界新聞

2013.08.19

第47回日本作業療法学会開催


 第47回日本作業療法学会が,6月28-30日,長辻永喜学会長(藍野大)のもと大阪国際会議場(大阪市)にて開催された。今学会のメインテーマは「地域に暮らす――生活を支える作業療法」。学会場は6000人を超える参加者で賑わった。

◆作業療法士はがん患者にどうかかわるか

長辻永喜学会長
 学会長講演「民のまち大阪:リハビリテーションのあゆみ」で長辻氏は,自身も長く勤務した大阪府立身体障害者福祉センター(2007年に大阪府立急性期・総合医療センターと統合)の歴史をたどりながら,大阪のリハビリテーションの軌跡を振り返った。氏はセンターでの作業療法の主な目標の変遷を三つの時期に分けて説明。第一期は職業更生,第二期は生活自立と作業への適応,第三期は重複障害を持つ対象者の生活の場の確保とQOL向上の時期と位置付け,各期がオーバーラップしつつ大きく移り変わってきたと解説した。

 シンポジウム「がんとともに生きる人を支える作業療法」では,目良幸子氏(東名古屋病院附属リハビリテーション学院)の進行のもと三氏が登壇。田尻寿子氏(静岡県立静岡がんセンター)は,がん患者・がんサバイバーが生活する上での作業療法の役割を具体的に紹介し,就労支援の必要性を訴えた。島﨑寛将氏(ベルランド総合病院)はがん患者への作業療法アプローチを病期と場面に分けて解説。真のニーズを引き出すためにはコミュニケーション・スキルが重要と述べた。和田文香氏(広島大病院)は小児がん患者への作業療法と遺族会の取り組みを紹介。小児では家族とのふれあいや発達,復学の視点が重要となること,遺族会には家族のグリーフケアになる役割と同時に作業療法士自身のバーンアウトを防ぐ側面があると述べた。

 会場からの質疑応答では,作業療法士ががん患者にかかわるようになって病院全体の意識が変わったことも報告された。最後に目良氏が「作業療法士だからこそできることを明確にしていきたい」と今後の可能性に期待を寄せて,シンポジウムを締めくくった。

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