医学界新聞

2012.09.24

健康的な働き方を実現する勤務体系とは?


ディスカッションのもよう
 欧州と日本の交代制勤務から看護師の健康的な働き方を考えるシンポジウムが9月1日,聖路加看護大(東京都中央区)にて開催された。本シンポジウムは日本医療・病院管理学会第308回例会として実施されたもの。日看協による『看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン』の発表を今秋にひかえ看護師の交代制勤務に関心が高まるなか,ドイツ,フランス,英国の欧州3国の交代制勤務の実態,ならびに日本から先駆的な2病院の取り組みが紹介された。

 欧州では,EU労働時間指令に基づき「休息時間は24時間ごとに連続11時間以上」「7日間あたりの労働時間は時間外を含め最大48時間」など,労働者の健康と安全を守るための労働条件が規定されている。中村綾子氏(聖路加看護大)はドイツの特徴として,「夜勤の労働時間は10時間程度」「同一勤務帯を3-4日続ける勤務体制」「有休100%消化」などを提示。フランスの制度を調査した安井はるみ氏(同)は,夜勤専門の看護師がいること,勤務予定は数か月-1年前にはほぼ決まっていることを挙げ,「日勤と夜勤の分離」「有休の計画的取得・勤務表の早期提示」などが調査から得られた示唆とした。英国については伊東美奈子氏(同)が,契約により自由な働き方が実現できていることや公正・公平な勤務表作成の実態を説明。また3か国に共通する特徴として,勤務表作成にITを活用していることや,急な欠員に対応するための代替スタッフ確保システムが整備されていることが報告された。

 引き続き,眞野惠子氏(藤田保衛大病院)と池田惠津子氏(済生会吹田病院)がそれぞれの病院の勤務体制を紹介。拘束時間12時間15分の「日中勤」「夜勤」,8時間15分の「日勤」,3時間45分の「半日勤」を組み合わせた勤務体制をとる藤田保衛大病院では,勤務をパターン化することで毎月4連休以上の休暇を確保できているとし,夜中の交代がない,生活のリズムが取りやすい,業務の時間配分がしやすいと同院の勤務体制のメリットを提示した。

 済生会吹田病院では,日勤(拘束時間8時半-17時半),中日勤(10時半-19時半),夜勤(19時-8時50分)の勤務体制を本年7月から全病棟で導入している。以前の夜勤16時間勤務の二交替制と比べ,日勤帯の人数が増えることで業務の役割分担がなされ残業時間が減少するとともに,夜勤の疲労度も軽減しているとその効果を強調した。

 その後のディスカッションでは,勤務表作成のIT化や超過勤務を減らす工夫について,発言者のほか会場を交えた議論が行われ,特に日本の勤務実態に合わせた勤務表作成支援ソフトの実現に期待が寄せられた。

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