医学界新聞

2010.12.13

理想の病院,形にします


 さる8月2日,聖路加看護大学の一室に,野田有美子氏(同大 看護管理学)の声かけで12人の看護学生が集まった。進行を務めるのは筧淳夫氏(国立保健医療科学院施設科学部長)ならびに小菅瑠香氏(同 研究員)。「今日は皆さんに“患者さんと看護師双方にとって理想的な病院とは?”をテーマに考えてもらいます」。

 月刊誌『病院』では,2011年1月号より1年間,「看護学生と若手設計者が考える“理想の病院”」という連載を掲載する(編集協力:筧氏,千葉大工学部教授・中山茂樹氏)。看護学生が考えた理想の病院像を基に,12人の若手設計者がイマジネーションを膨らませて,スケッチやイメージを描くという企画だ。

連載第1回「自然を感じる病院」
小藤一樹氏((株)日本設計),CG・岩永啓吾氏

 最初に,筧氏が用意したさまざまな写真がスライドで映し出された。病院の写真だけではない。歴史的建造物に近未来的な建物,森や海といった自然,外国の風景……。“病院”という枠にとらわれず,どのようなとき,人が“快適さ”や“癒し”を感じるのか,想像力を刺激される。

 その後,4人ずつのグループに分かれて,ディスカッションが始まった。学生たちは3-4年生なので,実習等で病院の雰囲気は知っている。「窓が閉まっていて閉塞感がある」「院内には家族の居場所がない」「医師や看護師のいるところと,患者さんのいる病室が隔離されすぎている」。既存の病院に対する,学生の視点からの率直な意見が飛び交う。一方で,「リゾートみたいな感じで」「そうそう,病室がコテージ!」と盛り上がっているグループも。

 そして各グループのプレゼンテーションを経て,選考の結果,理想の病院について下記の通り,12のキーワードが決められた(順不同)。

(1)ゆとりがある
(2)文化を感じる
(3)子どもがわくわくする
(4)四季を感じる
(5)赤毛のアン
(6)家族とともに
(7)医療者と患者の壁がない
(8)地域と交流のある
(9)アットホームな
(10)リゾート風な
(11)自然を感じる
(12)時を感じる

 これらのキーワードを形にする若手設計者12人は,それぞれ医療・福祉建築の世界で高い評価を得ている設計・建築会社に所属。これまでの経験を踏まえて,看護学生の「こんな病院あったらいいな」に設計者はどう応えるのか,ぜひ楽しみにしていていただきたい。

ディスカッションを終えて

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