医学界新聞

寄稿

2010.12.13

視点

「健康スポーツナース」で
地域住民の健康を守る

帖佐悦男(宮崎大学教授・整形外科学)


 宮崎大学では,スポーツ選手・スポーツ愛好家・地域住民を医学の面から支える「スポーツメディカルサポートシステム」()を展開している。現在,主に医師や理学療法士などがスポーツ現場での支援に当たっている。さまざまな分野をサポートするには,医師,トレーナー,看護師,栄養士などの各専門分野の連携が必要であるが,マンパワー不足という問題を抱えているのが実状だ。

 そこでわれわれは,「発育・発達」を意図した運動機能評価,「健康づくり」としての運動指導,「健康回復」への看護介入やスポーツイベントへの同行・支援を行うことを目的に,2010年10月に「健康スポーツナース」制度を創設した。その体制作りのため,宮崎大医学部看護学科,同附属病院看護部,宮崎県看護協会が中心となり,健康スポーツナースの認定・普及などに当たる「日本健康運動看護学会:日本健康スポーツ学会」を2010年2月に設立。第1回の学会・講習会を10月10日に開催した。

 看護師に着目したのは,看護師自身運動・スポーツに関心のある人が多く,これまでもスポーツ現場に派遣されている実績があり,さらに地域に最も密着した専門職であるからである。健康スポーツナースの役割については,下記の4点を軸に考えている。

(1)「運動器検診」への参加
 学校や地域における運動器検診に参加し,子どもから高齢者までの運動機能評価や相談を実施する。

(2)運動機能の維持・改善に向けた指導
 病院・施設・健康教室などにおいて,健康づくり・回復の一環として,転倒防止対策などロコモティブシンドロームやメタボリックシンドローム予防などの方法を指導する。

(3)スポーツクラブでの健康相談
 地域におけるスポーツクラブなどで,選手や愛好家の健康管理について,看護の立場から運動療法士などと相談し,指導する。

(4)スポーツイベントでの救護
 青島太平洋マラソンなど,イベントにおいて救護に当たる。

 より専門的知識を修得した健康スポーツナースが運動やスポーツの現場にかかわることで,スポーツ外傷・障害,ロコモティブシンドローム,生活習慣病などの予防に貢献し,健康寿命の延伸(元気に老いる!)につながることを期待したい。

 スポーツメディカルサポートシステム

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