医学界新聞

2010.07.26

第6回クリニカルパス教育セミナー開催


セミナーのもよう
 第6回クリニカルパス教育セミナー「そこが知りたい! 地域連携パス運用・活用のノウハウ」(主催=日本クリニカルパス学会・医学書院,司会=前橋赤十字病院・池谷俊郎氏,女子医大・齋藤登氏)が,7月3日に学術総合センター一橋記念講堂(東京都千代田区)にて開催された。

 セミナーでは,はじめに座長の池谷氏が連携パスの基本概念について解説を行った。氏は,地域医療連携においては,連携体制構築のためのコンセンサス,連携体制の運営を支える組織体制,情報共有システムが必要だとし,これらをすべて充足できるのが地域連携パスであると説明。連携パスを用いたスムーズな地域連携によって,患者,医療提供者双方が満足できる良質な医療を実現すべきと述べた。

 続いて米原敏郎氏(済生会熊本病院)が,熊本における脳卒中地域連携パスについて紹介。患者がリハビリテーションと治療を継続できるように,どの症例でもどの地域でも実践できるパスの作成をめざすとともに,「熊本在宅ドクターネット」を構築し連携におけるルールを明確にするなど,さまざまな工夫を行っていると述べた。

 太田惠一朗氏(国際医療福祉大三田病院)がチーフを務める東東京緩和ケアネットワークでは,東京都医療連携手帳に緩和ケアが組み込まれていないことから,緩和ケア地域連携パスとして患者・家族携帯型の「マイカルテ」を作成。DNRの同意書や緊急受診先が掲載されており有用との声が会場から聞かれるなど,充実した内容となっている。今後は,氏らが開発した病院から在宅ケア移行における退院基準と連携システムについての臨床研究を実施するという。

 村木泰子氏(武蔵野赤十字病院)は,医療者は地域連携を推進する際ツールに目を向けがちだが,患者にとって重要なのは,通院治療と生活を両立できることであると強調。外来に勤務する看護師がかかりつけ医や訪問看護師,ヘルパーと協働することで,外来化学療法室スタッフが把握しにくい患者の普段の生活を知ることや,また患者日誌や申し送りノートを通じて情報共有を行うことができると説いた。

 高金明典氏(函館五稜郭病院)は,胃がん術後補助化学療法連携パスを例に挙げ,パス作成のポイントを紹介。見やすく記載しやすいこと,役割分担がはっきりしていること,バリアンスを記載することなどを挙げた。今後は,インターネットを介した連携ネットワークシステムの構築に取り組んでいくという。

 本セミナーは次回,7月31日(土)に千里ライフサイエンスセンター・ライフホール(大阪府豊中市)にて開催される。詳細は,下記URLから。
 http://www.igaku-shoin.co.jp/seminarTop.do

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