医学界新聞

2010.07.19

『逝かない身体』第41回大宅壮一賞贈呈式


壇上で挨拶をする川口氏。右は選考委員席。
 『逝かない身体――ALS的日常を生きる』(医学書院)が第41回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞し,贈呈式が6月18日,帝国ホテル(東京都千代田区)にて開催された。

 著者の川口有美子氏は,受賞者挨拶にて「タイムマシーンに乗って,15年前の私や家族に,『大丈夫だよ』と言いに行きたい」と受賞の喜びをかみしめ,「母の葬儀の際,方丈に『お母さんのつないだ縁を大切にしなさい』と言われた。母がALSにならなかったら出会えなかった人がたくさんいる。病気とは,人類に試練として与えられたものだと思う」と語った。選考委員の猪瀬直樹氏は,「『蘭の花を育てるように身体を見守る』という表現は自分の語彙にはなかったもの。新しい言葉,新しい現実をALSの世界の向こう側から突きつけてくれた」と賞賛し,「今後,ALSの実情を伝える宣教師のような役割を担っていくのでは」と期待を寄せた。

 贈呈式後のパーティーでは,川口氏や,招待されたALS当事者らを囲んで歓談の輪が広がり,喜びを分かち合う光景が続いた。

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