医学界新聞

2010.06.21

第39回日本IVR学会開催


シンポジウムのもよう
 第39回日本IVR学会が5月20-22日,古井滋会長(帝京大)のもと浅草ビューホテル(東京都台東区)にて開催された。画像診断機器を用いることで,低侵襲に外科治療を行うことができるIVR(interventional radiology)は,現代の医療に不可欠なものとなっている。本紙では,IVRを安全かつ効率的に施行するために求められる放射線技師,看護師,医師の三位一体の協力について議論した,シンポジウム「実践三位一体」(司会=公立甲賀病院・坂本力氏,高知医療センター・森田荘二郎氏,阪市大病院・市田隆雄氏,静岡がんセンター・今井祐子氏)のもようを報告する。

 まず放射線技師の立場から,竹井泰孝氏(浜松医大病院)と市田氏が登壇した。竹井氏はIVRによる被曝に焦点を当て,放射線からの患者防護のためにはX線透視・撮影条件の最適化が必要と主張。そのためには,IVRチーム内でのコミュニケーションが重要とした。市田氏は放射線技師ができる画像支援に言及,適切な画像支援が迅速な臨床判断を可能とし,手術時間の短縮にもつながると述べた。

 引き続き,看護師の立場から福嶋敬子氏(愛知県がんセンター中央病院),野口純子氏(東医大病院)が発言した。福嶋氏は,IVR室でのチーム医療は多職種の「協働」が土台となっているため,その心構えを持つことが大切と説明。看護師はチームのムードメーカー的な役割を担うべきと強調した。野口氏は,チーム医療におけるIVR看護師の役割として患者の不安軽減を挙げ,看護師が適切に対応することで治療の質が向上するとの見解を示した。

 医師からは森田氏が,チーム医療をより高めていくための方策として,ピアレビューと航空機における安全訓練プログラムであるコックピット・リソース・マネジメントをIVR室に応用することを提案。また,森田穣氏(Office-IVR北海道)が三位一体のIVRの絶対条件として,低侵襲・低コスト・高効果によって患者にとってより良いIVRを提供することを挙げた。

 総合討論では,演者からの提案をそれぞれの施設に持ち帰って実践できるような環境づくりを司会の4氏が聴衆に呼びかけ,総括となった。

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