医学界新聞

2010.06.14

京大にiPS細胞研究所が開設


竣工式(写真上)とオープンラボ
 2010年4月1日付けで「iPS細胞研究所」(初代所長=山中伸弥京大教授)が京大の附置研究所として設立された。本研究所は研究者が実質山中氏1人であった同大のiPS細胞研究センターを改組したもの。iPS細胞研究に特化した研究所は世界初となる。iPS細胞研究の競争が世界的に激化するなかで,より長期的なビジョンを持って安定した研究を行うことを目標としている。教員枠も拡げられ,主任研究者17名,総研究者数が120名を超える布陣となった。

 大所帯となるなかでも各研究者が不自由なく研究に打ち込めるよう,同年2月,京都大学の病院西構内に同研究所の拠点となる新研究棟が竣工した。地上5階,地下1階の研究棟のうち3フロアの大部分が仕切りを取り払った「オープンラボ」となっている。研究者たちが1つの空間を共有することができ,研究者同士のコミュニケーションが活発になることが期待される。「オープンラボ」は螺旋階段でつながっており,フロアの行き来も自由である。青い天井,黒と白のシックなデザインのデスクとラックが並び,山中氏がめざす「研究者が楽しくなる研究所」にふさわしい空間となっている。

 5月8日に行われた開所式において山中氏の会見が開かれ,自身のこだわりから本研究所の英語名称「Center for iPS Cell Research and Application(CiRA;サイラ)」に「application」を加えたことを挙げ,あくまでも臨床応用が目標であることを強調した。また,現在,iPS細胞の臨床応用は再生医療が主として語られることが多いが,「難病の病態メカニズムの解明や治療薬の開発が本研究所の最大の目標である」と述べ,特に全国に数百名しかいない希少難病の患者に福音をもたらすことが大学の研究機関としての使命であると表明した。

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