医学界新聞

2010.05.24

こころの健康政策構想会議が発足


会議のもよう
 年間の自殺者が3万人を超えるなど国民のこころの健康の危機が懸念される今,精神保健医療改革を実現すべく,当事者やその家族,臨床家や研究者らが集い,ビジョンと具体案を検討するこころの健康政策構想会議(座長=都立松沢病院・岡崎祐士氏)が 4月3日に発足した。全8回の会議を経て,5月末には最終起草案が厚生労働大臣に提出される予定となっている。本紙では,都立松沢病院(東京都世田谷区)で4月10日に行われた第2回会議のもようを取材した。

 第2回の会議では主にうつ・自殺対策が話し合われた。まず自殺未遂の当事者から,早期のサポート・カウンセリングの必要性が訴えられた。次に河西千秋氏(横市大)が,同大救命救急センターにおける自殺未遂者への全例介入について報告し,良質な精神保健・福祉モデルの導入が,自殺予防に効果的であると話した。勝又陽太郎氏(国立精神・神経医療研究センター)は,自殺既遂者の事例から年齢別にその特徴・問題点を分析。中高年の自殺の背景としてアルコール依存による借金等の社会的問題などを指摘した。日本司法書士会連合会からは木下浩氏が,多重債務・過払いなど経済苦による自殺の予防・遺族救済について報告。うつ病に関しては,社会復帰をめざす当事者から「ちょっとした作業に取り組めたり日中を過ごせる場所があれば」との声が聞かれた。最後に大野裕氏(慶大)がセッションを総括し,自殺予防について死亡診断書の活用などデータ面での環境整備と地域での精神障害者支援の必要性を提言し,うつ病の対策としては治療ガイドラインの策定と薬物療法のアドヒアランスの充実,そして認知行動療法の均てん化を喫緊の課題とした。

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