医学界新聞

連載

2009.08.24

【Pictogram】

いのちを見守るコミュニケーションデザイン
――医療看護支援ピクトグラム

■食事編
 食事禁止 朝,昼,夜
 飲食禁止 下段左2点

横井郁子(東邦大学医学部看護学科教授)


前回よりつづく

302の田中さんの食事が出ているけど,配膳しなくていいのね?
そう。昨日遅くに検査が決まったから,朝食止めができなかったの。

 「急遽,検査が入ったので,明日の田中さんの朝食は止めてください」という指示が医師から夜勤の看護師に伝えられることは急性期病院ではしばしばあり,実際の食事変更が間に合わないことがあります。食事トレイには患者さんの名前がついているので配膳は誰もが行える業務と思いきや,そうはいかない理由がここにあります。気軽に手を貸せることが増えるといいのに,そうすれば笑顔も増えるのに,と思います。

 

 ベッドまわりは生活の場であるため,禁止マークはできるだけ作らない。これは,ピクトグラム開発の最も早い段階で取り決めたことです。しかし,上記のような場合,ひと口でも食べてしまえば検査は延期となり,治療の遅れにつながります。「待った!」もかけられるようになれば,誰もが手を貸すことができるようになる,と考え食事の禁止マークは作られました。

 一般的にピクトグラムには文字を入れないとのことで,日本サインデザイン協会の委員会ではこのデザインが問題になりました。「朝」「昼」「夜」の代わりに太陽と月を使ったデザインも候補に挙がりましたが,瞬時に「待った!」をかけられるものとなると漢字の視認性は高く,患者に高齢者が多い現状からも例外的に導入されました。

 

研究会のホームページが新しくなりました。
http://www.lab.toho-u.ac.jp/project/kango/healthcare_pict/

ベッドまわりのサインづくり研究会(横井)
E-mail:care_pict@med.toho-u.ac.jp
電話:03-3762-9881(東邦大医学部看護学科代表)

医療看護支援ピクトグラム
(社団法人日本サインデザイン協会推奨)

つづく

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