活動編(1)歩行,杖,歩行器(横井郁子)
連載
2009.05.25
【Pictogram】
いのちを見守るコミュニケーションデザイン――医療看護支援ピクトグラム
■活動編(1)歩行,杖,歩行器
横井郁子(東邦大学医学部看護学科教授)
おばあちゃん,この人みたいにちゃんと手すりをもって歩くんだよ。
まだおぼつかない「歩行」を意識して,手すり,前かがみの人がデザインされました(上)。上記は本当にあったひとコマで,患者さんが「4歳の孫にこんなことを言われた」とうれしそうに話してくださったとのこと。医療看護支援ピクトグラム(以下,医療ピクト)を導入している旭川赤十字病院の前田章子看護副部長が真っ先に教えてくださいました。医療ピクト導入の最大の目的が,少しずつ花開いています。
歩行に関する医療ピクトには,他に「杖」(左下),「歩行器」(右下)があります。杖はすべての杖を含むつもりなのですが,松葉杖まで推測できないという声があります。ピクトグラムの中にはある程度学習が必要なものもあると思います。そんなひとつになるのかもしれません。
「歩行器」の人の背が,他の2つに比べてスッと伸びているのにお気づきですか。「歩行器で歩くときって,背筋が伸びている感じがするんだけど。背の角度を変えてみたら」という,開発過程で出された検討委員のひと言にはっとしました。一般的にピクトグラムのデザインは無駄がなく,とてもシンプルです。それで「誰にでもわかる」をめざすのですから至難の業。検討委員のみなさんは病院だけを手がけているデザイナーではありません。なのに,病院,患者さんの状況をよく把握していらっしゃる。すごいです。
このピクトグラムに関するお問い合わせは下記まで。 ベッドまわりのサインづくり研究会(横井) 医療看護支援ピクトグラム |
(つづく)
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