医学界新聞

2008.04.28



PCAPS統合化システムの普及に向けて


 厚生労働科研「医療安全と質を保証する患者状態適応型パス(PCAPS)統合化システム開発研究(主任研究者=東大・飯塚悦功氏)」平成17-19年度最終成果報告シンポジウムが3月8日,東大本郷キャンパス(東京都文京区)において開催された。

 会場前のホワイエには,標準診療計画系が運用されるさまがわかるように,PCAPS統合化システムプロトタイプが実診療室をイメージして24インチ液晶ハイビジョンモニター2画面構成で展示された。また構造化・標準化・電子化された多数の診療計画系の一部をポスターとして展示。領域ごとに必要とするコンテンツの種類と整備予定が明示されており,PCAPS構造を持つパスコンテンツの充実が着実に進行していることが伺えた。

 午前の部では,統括班が臨床知識構造化手法であるPCAPSを3年間の研究成果として解説。その後,コンテンツ開発班からの報告とパネルディスカッションが行われ,臨床プロセスの可視化・標準化や,患者状態適応型診療に関するチーム医療の実現可能性に対する期待を述べた。開発型医療としてのPCAPS生体肝移植コンテンツ開発の進捗について,田中紘一神戸市先端医療センター長らは「PCAPSは,高度先進医療を質安全保証して開発・普及させていくために有用である」と報告した。

 午後は,PCAPS統合化システムについて,システム概要と標準コンテンツのPDCAサイクルの解説がなされた。PCAPS標準電子コンテンツ開発をASP方式で展開可能な状況にしたてあげたPCAPSビルダーの機能紹介とシステムデモや,計画系コンテンツに時間軸の概念を組み込んで実臨床で運用していくPCAPSアドミニストレーターの機能紹介,虚血性心疾患コンテンツを用いた医師・看護師の診療デモなどで会場はにぎわった。また,PCAPSアナライザーのGISを駆使した機能紹介と多様な分析可能性が提示された。今後はコンテンツ整備プロジェクトの進展とシステム導入が期待される。

 PCAPS統合化システムは,今後(1)電子カルテ・オーダリングシステムへのアドオン,(2)ASP方式+紙運用,(3)その他,と多様なパターンでのシステム導入が検討されている。

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